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21世紀の学習者と教育の4つの次元
知識,スキル,人間性,そしてメタ学習
原書: Four-Dimensional Education: The Competencies Learners Need to Succeed
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年9月
- 書店発売日
- 2016年9月23日
- 登録日
- 2016年8月3日
- 最終更新日
- 2021年6月16日
重版情報
4刷 | 出来予定日: 2021-06-18 |
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知識,スキル,人間性,メタ学習の4次元で,「コンピテンシー」の枠組みを提示。 |
紹介
知識だけでなく,スキル(創造性・批判的思考…)や人間性(マインドフルネス・好奇心・勇気・レジリエンス・倫理…),メタ学習(学び方を学ぶ)という4つの次元を関連させて,21世紀に求められる「資質・能力」を育成していくことの重要性を提案。OECDの次期コンピテンシーの検討に刺激を与える。日本や世界の教育改革の方向性を理解するにも最適。
◆推薦のことば
「21世紀に子どもは何を学ぶべきか」に関心があるすべての方に「最高の処方箋」になるか――ぜひ読んで「使って」確かめてほしい。(東京大学教授 白水 始)
◆主な目次
プロローグ-教育についての“何を”を再考するのはなぜ重要か
はじめに
Chapter1 変わりゆく世界に向けた教育の再設計
世界の動向と課題
Chapter2 21世紀の教育目標
教育目標の本質と進化
21世紀型カリキュラムの鍵となる特質
教育目標の統一的枠組み
知識を越えて:21世紀型コンピテンシーの枠組み
Chapter3 知識の次元
知識―伝統的なものと現代的なもの
現代的(学際的)な知識
テーマ
CCRの知識の枠組みのまとめ
Chapter4 スキルの次元
知識とスキルをともに
スキルと教育・雇用ギャップ
Chapter5 人間性の次元
なぜ人間性特徴を育成するのか?
人間性教育の目的
6つの人間性特徴
Chapter6 メタ学習の次元
メタ認知-学習の目標,方略,結果について省察する
成長的思考態度を身につける
メタ学習の大切さ
Chapter7 “どのように”について簡潔にふれる
“何を”と“どのように”の間にあるフィードバック・ループ
テクノロジーとの相互作用
Chapter8 結論
教育,根拠,アクション
社会的なメタ学習
Appendix
用語の根拠
CCRとは
CCRの評価研究コンソーシアム
解説―本書が示す教育のあり方とあらたな教育の動向
目次
プロローグ-教育についての“何を”を再考するのはなぜ重要か
はじめに
Chapter1 変わりゆく世界に向けた教育の再設計
世界の動向と課題
持続可能性
VUCAと価値観
指数関数的な進歩と未来の予測
テクノロジーが社会に与える影響
テクノロジー,自動化,外部委託と仕事
テクノのジーと教育のレース
Chapter2 21世紀の教育目標
教育目標の本質と進化
社会の目標
教育目標
教育は進化しているか?
21世紀型カリキュラムの鍵となる特質
適応力
バランス
教育目標の統一的枠組み
なぜ新しい教育の枠組みが必要なのか?
変化に関する我々の理論
CCRの進め方
知識を越えて:21世紀型コンピテンシーの枠組み
Chapter3 知識の次元
知識―伝統的なものと現代的なもの
伝統的知識に関する学問マップの進化
伝統的学問分野を適切性の観点から吟味・整理する
価値の3側面
現代的(学際的)な知識
寿命の延長
つながる人々,つながる組織,つながる惑星
スマート機器・システムの台頭
ビッグデータと新しいメディア
環境へのストレスと需要
強化された人間
テーマ
グローバルリテラシー
情報リテラシー
システム思考
デザイン思考
環境リテラシー
デジタルリテラシー
CCRの知識の枠組みのまとめ
Chapter4 スキルの次元
知識とスキルをともに
スキルと教育・雇用ギャップ
創造性
批判的思考
コミュニケーション
協働
学びの応用
Chapter5 人間性の次元
なぜ人間性特徴を育成するのか?
人間性教育の目的
6つの人間性特徴
マインドフルネス
好奇心
勇気
レジリエンス
倫理
リーダーシップ
Chapter6 メタ学習の次元
メタ認知-学習の目標,方略,結果について省察する
成長的思考態度を身につける
メタ学習の大切さ
Chapter7 “どのように”について簡潔にふれる
“何を”と“どのように”の間にあるフィードバック・ループ
テクノロジーとの相互作用
Chapter8 結論
教育,根拠,アクション
社会的なメタ学習
Appendix
用語の根拠
CCRとは
CCRの評価研究コンソーシアム
解説―本書が示す教育のあり方とあらたな教育の動向
Index
著者について
前書きなど
◆「解説─本書が示す教育のあり方と新たな教育の動向」(岸 学)
本書のタイトルである“Four-Dimensional Education”は,「新たな教育を進めるための枠組みを4つの次元によって構成する」「21 世紀に目指す学校教育のあり方を4つの次元からとらえる」という意味をもっています。この本は,Center for Curriculum Redesign(CCR)によってファデル氏(Fadel,C.)を中心に2010 年代以降に構築・改訂されてきた「教育の4つの次元」の成果を集約した内容になっています。……
……知識(knowledge)の次元とは,学校教育の教科で学習する知識とおおむね対応していますが,それだけでなく,現代社会やグローバル社会を生きていくための現代的・学際的知識も含んだ内容です。そして,この次元では,「我々は何を知り何を理解しているか」を対象としているのです。
スキル(skill)の次元とは,「知っていることをどのように用いるのか」に関するものであり,学校教育の教科を越えた,あるいは教科を横断するような共通のスキルを想定しています。代表的なのが4C’s と呼ばれる4つのC,すなわち,創造性(creativity),批判的思考(critical thinking),コミュニケーション(communication),協働(collaboration)の側面です。その他にも教科を横断するスキルとして,問題解決力(problem solving),見通す力(foresight)などの側面がいろいろな研究から提案されています。これらの側面は,これまでの学校教育でも,教科内容を越えて育成すべき力として重視され続けてきました。しかしながら,これからの教育の流れでは,重視の程度がより増大し,どのように育成すべきか,育成の成果をどのように評価するかがまさに中心の論点となってきています。
人間性(character)の次元とは,「どのように行動し,どのように世界と関わるか」に関するもので,より良い生活,人間関係,そして社会を構築・持続していくために不可欠であるとされています。具体的には,マインドフルネス(mindfulness),好奇心(curiosity),勇気(courage),レジリエンス(resilience,
復元力),倫理(ethics)などの側面が挙げられています。その他にも,受容と共感する心(acceptance and sympathy),向上心(aspiration),正しくあろうとする心(sense of justice)などの側面が提案されています。そして,日本ではおもに道徳,特別活動,総合的な学習の時間によって育成されるととらえられています。しかしながら,新しい教育の方向では,この次元の育成を特定の教科や活動に限定すべきものとはとらえず,多くの教科等によって総合的に育成するという考え方に向かうようです。
最後にメタ学習(meta-learning)の次元です。メタ学習とは「学び方の学習」であり,メタという用語は,メタ認知(認知のしかたの認知),メタ記憶(記憶しているかどうかの認知)のように,実際の学習・認知活動そのものよりも一段高いレベルの活動を説明するときに使われます。なお,本書(134 ページ)では,おもにメタ認知活動について説明されています。メタ学習は,他の3つの次元をすべて包括する位置づけになっており,知識・スキル・人間性を育成する教育の営みの中で,そのすべてをコントロールする役割があるとされています。具体的なコントロールの機能として重要なのは転移(transfer)であります。これは,習得した学習のしかたを,他の内容や状況や時期に出会う新しい学習のときに的確に適用していくことです。これにより,我々は学習の領域を質・量ともに拡大し続け,学校教育を終了しても生涯にわたって学習を深め続ける原動力となるのです。
上記内容は本書刊行時のものです。