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感染症は実在しない
構造構成的感染症学
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2009年10月
- 書店発売日
- 2009年11月6日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2020年1月20日
紹介
インフルエンザは実在しない。生活習慣病も,がんも実在しない……。そもそも「病気」とは何か? それが「実在しない」と考えることで,どのような新たな地平が開けるのか? 構造構成主義の立場から,感染症臨床の第一人者があらゆる「病気」の診断・治療の実態を明らかにしながら,「病気」という現象を読み解く。
目次
1 感染症は実在するか
病気の実在を疑う/私は実は病気だった?――症状が「ない」結核の話/結核は科学的に診断できるか/目的に合わせて判断する/潜伏結核と活動性結核に線引きはできるか/ものが実在するとはどういうことか/関心が思考の態度を決定する/病気とリンゴはどう違うのか/結核という病気はやはり実在するのか
2 病院の検査は完璧か
完璧な検査は存在しない/病気と病気でない人の間/潜伏結核は実在しない/結核という病気は潜伏結核と区別可能か/目に見えるから実在するのか
3 感染症という現象
もともと結核は現象だった/現象からものへの価値転換は必然だった/インフルエンザも実在しない/ことをものと認識する矛盾/検査と治療が混乱の原因/間違っているのは検査か、認識か/根源的な問いに立ち返る
4 なぜ治療するのか
治療が認識に混乱を与える/効くか効かないかではなく「どのくらい」効くか/サンタというキーワード/ではタミフルは「どのくらい」効くか/常に反対側も考える/異常行動の副作用(?)は本質的な問題ではない/薬に副作用があるのはあたりまえ/インフルエンザとどう対峙するか/Use it and lose it/倫理的問題の対立は原理的に解けない/こととしてのインフルエンザに立ち返る
5 新型インフルエンザも実在しない
鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ、そして新型インフルエンザ/こととしてのパンデミックフルー、ものとしての新型インフルエンザ/感染症法のどこが間違っているのか
6 他の感染症も実在しない
MRSA腸炎は実在するか/コッホの原則も答えのすべてではない
7 メタボ、がん……感染症じゃない病気も実在しない
生活習慣病は実在するか/メタボも実在しない/精神病も実在しない/腫れ物、がんなら実在するか/目に見えても実在しない
8 関心相関的に考える
人の死亡率は100%/恣意性を認め、主観を容認する/がん検診は無意味ではない/総死亡率を減らさないとダメなのか/子どもが髄膜炎になるのを容認できるか/病気になる最大の理由は長生き
9 科学的に、本当に科学的に考えてみる
科学論文とは何か/くじ引き試験が役に立つのは微妙な問題だけ/関心相関的に真のアウトカムは何か/大規模試験だから価値が低い/くじ引き試験が倫理的かは目的次第/臨床試験は人体実験/新薬の臨床試験は非倫理的か
10 医者は総じて恣意的な存在
線引きは厳密にはできない/統計分析も恣意的に決められる/医療はほとんどグレーゾーン/治療効果95%はいい薬か/正しい、正しくないでは議論しない/学術論文は英語で/読めばわからなくなる日本の新聞/一流誌の論文は無批判に受け入れられるか/瑕疵があるから価値がある/バイアスの排除は原理的に不可能
11 価値交換としての医療の価値
老化は病気か/治療しなければならないと決めつけない/病気とは価値交換/長寿国になることが目的なのか/あからさまな病気、ささやかな病気/目的を持って価値交換しよう/喫煙は絶対悪か/医療は総じてリスクとの価値交換/新型インフルエンザも価値交換/リスクの否定とルサンチマン/妊娠は病気ではないのか/予防接種はなぜ推奨されるべきか/漢方薬は効くのか/民間療法が信用できる条件/苦しみを解除・介助するために/保険適用があれば正しい医療か/価値交換を阻むパターナリズム/自殺、安楽死は容認されるべきか/脳死は認めるべきか/あいまいな根拠、明快な決断/プライマリ・ケアとは何か/薬害とは何か
12 病気という現象を見据えて、しなやかに生きていくために
これで楽になれる/その先にあるもの
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。