書店員向け情報 HELP
地域社会学入門
現代的課題との関わりで
- 初版年月日
- 2019年9月10日
- 書店発売日
- 2019年9月10日
- 登録日
- 2019年9月4日
- 最終更新日
- 2021年10月11日
紹介
地域社会学の「入り口」のいくつかを示し、地域社会学の世界へと誘っていく初学者向けの入門テキスト。
まず、都市研究、過疎農山村研究、それぞれの切り口から地域社会学への理解を深め、
過疎農山村生活選択論(大分県中津江村の人口還流(Uターン)、地域意識の調査)について、
地域生活構造(農村家族、結婚研究、高齢者の生きがい調査)、
地域活動・地域組織(地域福祉・社会福祉協議会・高齢者の見守り活動)など、
さまざまな事例とともに課題に接近する。
また、調査に必須となるさまざまな社会調査方法の基礎知識についても解説し、
新たな地域社会調査法のT型集落点検(住民参加型・ワークショップ型)の紹介、
性的マイノリティの調査事例(福岡市)についても掲載する。
【執筆者】
山本 努、ミセルカ・アントニア、松本貴文、吉武由彩、井上智史
目次
はじめに
第1章 地域社会学入門/都市研究から
1.地域社会とは:社会学的地域社会と経済学・地理学的地域社会 / 2.社会学の中での地域社会学の課題
/ 3.生活とは/社会学の立場から / 4.地域社会には都市と農村がある
/ 5.都市の良い(悪い)ところ,農村の良い(悪い)ところ:祖田の見解
/ 6.都市の良い(悪い)ところ,農村の良い(悪い)ところ:徳野の見解
/ 7.アメリカ都市社会学にみる都市認識
:ソローキン&ツインマーマンの都市・農村認識,パークの「社会的実験室としての都市」
/ 8.アメリカ都市社会学にみる都市認識
:フィッシャーの「都市の下位文化理論」
/ 9.アメリカ都市社会学にみる都市認識
:下位文化の有用性,新しい文化を生み,マイノリティを支える
/ 10.日本の都市社会学にみる都市認識:都市の異質性についての福式の理解
/ 11.日本の都市はどのような都市か:山口の都市分類
/ 12.日本の都市社会学にみる都市認識:矢崎の統合機関論
/ 13.日本の都市社会学にみる都市認識:鈴木の結節機関論
/ 14.日本の都市社会学にみる都市認識:磯村・第三空間論と鈴木・正常生活(人口)論
/ 15.さまざまな都市の見方,都市の姿
第2章 地域社会学入門/過疎農山村研究から
1.高度に都市化した社会における農山村の位置 / 2.半農半都市化:農村・都市の相違の縮小(同型化)
/ 3.半農半都市化:その歴史的趨勢,農村の都市化,都市の農村化
/ 4.高度経済成長と暮らしの変化:「自然」からの離脱(=産業化)
/ 5.高度経済成長と暮らしの変化:都市での「物」に囲まれた暮らしの主流化(=都市化)
/ 6.過疎問題の出現 / 7.過疎問題の変容 / 8.過疎問題の等閑視
/ 9.「過疎問題の発生」の時期に対応した農山村社会学
/ 10.「過疎問題の変容」の時期に対応した,新しい農山村社会学⑴:限界集落論
/ 11.限界集落論への経験的批判 / 12.限界集落論の生活状態の把握への批判
/ 13.限界集落論への概念的批判とその改訂
/ 14.「過疎問題の変容」の時期に対応した,新しい農山村社会学⑵
:農業,農村の多面的機能(公益的機能)の問題
/ 15.「農業,農村の多面的機能の問題」への違和感から,農山村社会学への問題へ
/ 16.農山村生活拒否論(農山村流出論):経済学への説明 / 17.農山村生活拒否論:社会学の説明
/ 18.過疎農山村生活選択論:土着と流動,定住経歴の現状
/ 19.過疎農山村生活選択論:運命的とも,機能的とも違う暮らしの可能性 / 20.むすび
第3章 過疎農山村生活選択論への接近
―大分県中津江村の人口還流と地域意識の調査からの例解―
1.農山村生活選択論の課題 / 2.過疎農山村の地域意識
/ 3.中津江村における人口還流(Uターン):転出年齢,帰村年齢
/ 4.中津江村における人口還流(Uターン):村を出て最も長く過ごした地域
/ 5.人口還流(Uターン)の動機 / 6.人口還流(Uターン)の最大の動機 / 7.むすび
/ 8.付論1:人口Uターンの動機にみる性別の違い―広島県北広島町調査からの補遺―
/ 9.付論2:人口Uターンの動機にみる年齢別の違い―広島県北広島町調査からの補遺―
/ 10.付論3:離島(徳之島)の人口還流・定住経歴と生きがい意識の基礎分析
第4章 地域生活構造への接近⑴……農村家族,結婚研究から
1.はじめに / 2.家族と世帯 / 3.生活構造 / 4.少子化の進展と地域格差
/ 5.出生率の地域間格差と生活構造 / 6.高齢化によって集落は滅ぶのか
/ 7.空間を超えて広がる家族関係と修正拡大集落 / 8.未婚化・晩婚化がなぜ進んだのか
/ 9.未婚化・晩婚化の地域間格差
/ 10.過疎農村における結婚難と未婚者の生活構造―熊本県山都町での調査事例から―
/ 11.結婚促進事業と生活構造 / 12.おわりに
第5章 地域生活構造への接近⑵
1.高齢化の進展 / 2.「高齢者」とは / 3.生きがいの定義 / 4.主観的幸福感
/ 5.生きがい研究の難しさ / 6.生きがいを感じる割合:都市高齢者
/ 7.生きがいの源泉:都市高齢者 / 8.どのような場合に生きがいを感じるのか:都市高齢者
/ 9.生きがいを感じる割合:農村高齢者 / 10.生きがいの源泉:農村高齢者
/ 11.生きがいと前期高齢者/後期高齢者:都市高齢者
/ 12.生きがいと前期高齢者/後期高齢者:農村高齢者 / 13.まとめにかえて
第6章 地域活動,地域組織への接近……地域福祉の展開,高齢者の見守り運動と社会福祉協議会
1.はじめに / 2.地域福祉への期待の高まり / 3.地域の多重性と重層的な圏域設定
/ 4.近隣関係:都市高齢者 / 5.地域における住民組織・集団の諸類型
/ 6.地域活動,地域組織:都市高齢者 / 7.近隣関係:農村高齢者
/ 8.地域活動,地域組織:農村高齢者 / 9.地域住民による高齢者の見守り活動 / 10.社会福祉協議会
/ 11.見守り活動の事例:山口下関市豊北町における地域福祉活動 / 12.地域実態把握の必要性
/ 13.おわりに
第7章 社会調査―方法を理解する―
1.社会調査とは / 2.社会調査の説明:個性記述と法則定立
/ 3.社会調査のデータ:量的データと質的データ / 4.社会調査の4つの方法
/ 5.文献調査⑴:文献(paper)からの知見 / 6.文献調査⑵:意義と有効性
/ 7.現地調査⑴:人々(people)の観察,参与観察を例にとって
/ 8.現地調査⑵:その類型軸,参与と統制 / 9.現地調査⑶:その類型
/ 10.現地調査⑷:実験の意義,質問紙調査の位置 / 11.むすびにかえて:8章⑴⑵の作品紹介のために
第8章 地域社会調査の事例
1.T型集落点検 / 2.都市の下位文化調査―福岡市における性的マイノリティの事例から
上記内容は本書刊行時のものです。