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出版者情報
耐震木造技術の近現代史
伝統木造家屋の合理性
- 書店発売日
- 2018年3月1日
- 登録日
- 2018年1月16日
- 最終更新日
- 2018年2月21日
紹介
伝統木造家屋は激震に耐える! 先人は苛酷な震災に遭遇する度に、修理を通して耐震技術を蓄積してきた。果たして、近現代の日本は伝統木造の英知を活かせているだろうか? 繰り返される在来木造の大被害、その要因を木造耐震化の歴史を振り返って明らかにし、地震国日本が培ってきた伝統木造技術の復権を論じる渾身の一冊。
目次
序章 わが国の耐震構造の原点
1 震災と構造技術
2 伝統木造と在来木造
3 在来木造の定義
4 兵庫県南部地震の木造被害を考える
4・1 伝統木造はあったのか?
4・2 兵庫県南部地震の木造被害を振り返って
4・3 直下地震での木造建築の被害例
4・4 直下型地震特有の被害と原因──「ホゾ抜け」について
古代・中世から文明開化へ
第1章 和風木造と洋風木造
1 構造からみた洋風と和風木造
1・1 和風木造の現状
1・2 消えつつある和風木造の背景
1・3 洋風と和風木造の仕組みの違い
1・4 和風木造住宅と洋風木造住宅
1・5 洋風の伝統木造について
1・6 西洋の伝統的土壁について
2 古建築の構造技法
2・1 民家の軸組
2・2 茅葺屋根の仕組み
2・3 古代の社寺建築のサス組
2・4 古代の社寺建築の大釘
◆1 頭貫と柱の結合大釘
◆2 国宝薬師寺東塔の大釘
◆3 古代釘について
◆4 古代釘と長押について
2・5 古代の筋違
2・6 貫工法について
◆1 貫の導入
◆2 社寺建築の貫構造
江戸末期~明治初期
第2章 耐震研究の黎明──幕末の地震活動
1 地震学事始め
2 安政の大地震
3 安政奈良地震を巡って
4 小田東がくの木造耐震対策案
明治中期
第3章 濃尾地震後の木造家屋耐震化の機運
1 濃尾地震について
2 震災後の調査活動
3 濃尾地震での木造被害を巡って──和風か洋風か
4 震災後の耐震木造論
4・1 J・コンドルの見解
4・2 『地震』にみる横河民輔の見解
4・3 米国建築師、伊藤為吉について
4・4 『日本建築構造改良法』の見解
◆1 安全建築鉄具の提案
◆2 水害地適用地震耐家屋
◆3 四つの標本家屋
4・5 『地震家屋』にみる佐藤勇造の見解
◆1 被害率評価の概要
◆2 耐震建築一三カ条について
◆3 土蔵の耐震性について
◆4 火の見櫓の耐震性を巡って
◆5 洋風木造の耐震性と伝統家屋の耐震化の方策
◆6 耐震家屋試験盤の考案
5 佐藤勇造と伊藤為吉を巡って
明治中期~末期
第4章 震災予防調査会の活動
1 わが国初の地震研究機関“震災予防調査会”の創設と木造家屋の耐震研究
1・1 濃尾地震前夜
1・2 耐震研究の世論形成
1・3 地震研究機関の創設への世論
1・4 菊池大麓の建議と震災予防調査会の創設
1・5 福澤諭吉と菊池大麓
2 震災予防調査会における耐震木造の研究
2・1 震災予防調査会の研究方針について
2・2 人為地震台について
2・3 耐震研究施設の整備事業
2・4 辰野金吾の耐震煉瓦造建物
2・5 水平・上下二方向の人為地震台
◆人為地震台のメカニズム
2・6 人為地震台の試験建屋
3 大型の耐震架構モデル“木造耐震建築雛形”について
3・1 鳥居について
3・2 棟門について
3・3 日本家屋について
3・4 洋風家屋について
4 世界初の大型振動台“人為地震台”を巡って
4・1 人為地震台の製作
4・2 木造家屋の耐震研究の推移
4・3 人為地震台の稼働について
4・4 当初の振動台の性能について
4・5 人為地震台の改修について
4・6 煉瓦造耐震建屋と人為地震台試験施設の変遷
◆明治中期の帝国大学理科大学の施設拡充について
4・7 大森式地震計を巡って
4・8 耐震煉瓦造建築のその後
5 日清戦争期の地震災害と木造家屋耐震論
5・1 震災予防調査会での耐震木造家屋の研究動向
5・2 東京地震と庄内地震
5・3 野口の震災復旧調査
5・4 中村太助の接合法
5・5 地業の改善
5・6 捨算盤地業について
5・7 木造家屋の耐震対策を巡って
◆1 曽根達蔵の見解
◆2 野口孫市の見解
5・8 野口孫市と坂静雄の貫理論
◆1 坂静雄の貫の研究──国宝法隆寺金堂壁画保存を巡って
◆2 野口の貫理論
6 耐震木造校舎の試案“耐震雛形”を考える
6・1 義務教育制度と木造校舎建設
6・2 学校教育の近代化の歩み
6・3 文部大臣官房会計課建築掛と各種の学校建築規則
6・4 小学校建築図案について
◆1 通達の背景
◆2 構造方説明概略の概要
◆3 附図について
6・5 東京地震と「学校建築上震災予防方」
6・6 三島通良の学校建築研究
6・7 「学校建築図説明及設計大要」について
6・8 洋風と和風の窓開口について
◆1 上げ下げ窓
◆2 引き違い戸
6・9 震災予防調査会と文部省会計課建築掛の関与
7 各種の耐震木造建築の試案について“耐震木造雛形”を考える
7・1 耐震木造雛形のその後
7・2 震災予防調査会創設時の研究計画と成果
7・3 庄内地震後の耐震家屋木造雛形
◆1 町家一棟改良構造仕様について
◆2 農家改良構造仕様について
7・4 改良日本風木造家屋の建設
◆1 根室の耐震標本家屋
◆2 深川猿江の耐震標本家屋
7・5 野口孫市の日本風住宅改良構造仕様
◆1 伝統木造に対する基本姿勢
◆2 日本風住宅改良構造仕様について
8 再び伊藤為吉を巡って
8・1 造家学会との関わり
8・2 耐震煉瓦造との関わり
8・3 帝国大学工科大学での耐震木造の研究
◆1 研究従事の時期について
◆2 震災予防調査会嘱託員の時期について
8・4 金物接合批判
8・5 耐震的鉄具──ボルト接合雛形の構造実験の顛末
8・6 わが国初の大型構造実験
8・7 ボルト接合の改善策
8・8 伊藤の耐震木造工法──新式大工工法を考える
◆1 敷土台と床束なし工法──基礎免震の提唱
◆2 滑り支承について
◆3 火打木を用いた切組
8・9 伝統木造への回帰
9 世界初の“人為地震台実験”を巡って
9・1 完成した人為地震台と振動実験の本格化
9・2 J・ミルンと大森房吉の世界初の振動実験
9・3 人為地震台を用いた煉瓦造柱の振動実験
◆1 振動実験システムについて
◆2 煉瓦造試験の概要
◆3 等一耐震力曲線について
9・4 等一耐震力曲線の応用
◆1 耐震煉瓦構造への適用について
◆2 東京タワーと磐城無線送信塔
◆3 伝統木造構造物にみる等一耐震力曲線
9・5 大森式地震計と振動計測装置のアナロジー
大正~昭和(戦前・戦後)
第5章 激震に耐える木造建築
1 地震活動期を迎えて──木造家屋の耐震法令史
1・1 近年の直下型地震での木造家屋の被害率
1・2 耐震強度と法令
1・3 市街地建築物法の時代
◆1 当初の市街地建築物法施行規則
◆2 市街地建築物法施行規則の大改正
◆3 施行規則の見直し
◆4 室戸台風の被害と終局設計理論の展開
1・4 戦時建築規則について
◆1 木造建築の戦時統制について
◆2 積載荷重の見直し
◆3 許容応力度の変遷
1・5 戦後の建築基準について
◆1 建築規格3001号
◆2 建築基準法の構造規定とその背景
2 柱の太さを考える
2・1 屋根の荷重と柱の太さ
2・2 物法施行規則第五三条について
2・3 改正物法施行規則第五三条と建築基準法施行令第四三条
2・4 細い柱の構造リスク
2・5 二乗則・三乗則・四乗則
◆1 軸方向力に対する強さ
◆2 曲げモーメントに対する強さ
◆3 曲げに対する剛性
◆4 コストを考えると
2・6 「太めの柱」と「貫」「鴨居」のすすめ
2・7 「金物接合」のアキレス腱
3 土台と基礎の緊結を考える
3・1 伝統木造建築の移動現象
3・2 初の加速度型地震計の開発と地震加速度の実相
3・3 地震動の破壊力を巡って
3・4 基礎移動に関する戦前のコンセンサス
◆真島健三郎の柔構造建築
3・5 佐野利器・武藤清の免震基礎論
3・6 高い基礎と低い基礎
◆アンカーボルトの義務化について
3・7 戦前の基礎免震木造システムの評価
4 伝統木造家屋の耐久性を考える
4・1 川村清一の見解
4・2 聴竹居を訪れて
5 伝統木造建築の復権を目指して
あとがき
耐震年表
註・参考文献
上記内容は本書刊行時のものです。