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耐震木造技術の近現代史 西澤 英和(著/文) - 学芸出版社
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耐震木造技術の近現代史 (タイシンモクゾウギジュツノキンゲンダイシ) 伝統木造家屋の合理性 (デントウモクゾウカオクノゴウリセイ)

工業・工学
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発行:学芸出版社
A5判
432ページ
定価 6,000円+税
ISBN
978-4-7615-4093-7   COPY
ISBN 13
9784761540937   COPY
ISBN 10h
4-7615-4093-1   COPY
ISBN 10
4761540931   COPY
出版者記号
7615   COPY
Cコード
C0052  
0:一般 0:単行本 52:建築
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2018年1月16日
最終更新日
2018年2月21日
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紹介

伝統木造家屋は激震に耐える! 先人は苛酷な震災に遭遇する度に、修理を通して耐震技術を蓄積してきた。果たして、近現代の日本は伝統木造の英知を活かせているだろうか?    繰り返される在来木造の大被害、その要因を木造耐震化の歴史を振り返って明らかにし、地震国日本が培ってきた伝統木造技術の復権を論じる渾身の一冊。

目次

序章 わが国の耐震構造の原点

1 震災と構造技術
2 伝統木造と在来木造
3 在来木造の定義
4 兵庫県南部地震の木造被害を考える
 4・1 伝統木造はあったのか?
 4・2 兵庫県南部地震の木造被害を振り返って
 4・3 直下地震での木造建築の被害例
 4・4 直下型地震特有の被害と原因──「ホゾ抜け」について

古代・中世から文明開化へ

第1章 和風木造と洋風木造
1 構造からみた洋風と和風木造
 1・1 和風木造の現状
 1・2 消えつつある和風木造の背景
 1・3 洋風と和風木造の仕組みの違い
 1・4 和風木造住宅と洋風木造住宅
 1・5 洋風の伝統木造について
 1・6 西洋の伝統的土壁について

2 古建築の構造技法
 2・1 民家の軸組
 2・2 茅葺屋根の仕組み
 2・3 古代の社寺建築のサス組
 2・4 古代の社寺建築の大釘
  ◆1 頭貫と柱の結合大釘
  ◆2 国宝薬師寺東塔の大釘
  ◆3 古代釘について
  ◆4 古代釘と長押について
 2・5 古代の筋違
 2・6 貫工法について
  ◆1 貫の導入
  ◆2 社寺建築の貫構造

江戸末期~明治初期

第2章 耐震研究の黎明──幕末の地震活動
1 地震学事始め
2 安政の大地震
3 安政奈良地震を巡って
4 小田東がくの木造耐震対策案

明治中期

第3章 濃尾地震後の木造家屋耐震化の機運
1 濃尾地震について
2 震災後の調査活動
3 濃尾地震での木造被害を巡って──和風か洋風か
4 震災後の耐震木造論
 4・1 J・コンドルの見解
 4・2 『地震』にみる横河民輔の見解
 4・3 米国建築師、伊藤為吉について
 4・4 『日本建築構造改良法』の見解
  ◆1 安全建築鉄具の提案
  ◆2 水害地適用地震耐家屋
  ◆3 四つの標本家屋
 4・5 『地震家屋』にみる佐藤勇造の見解
  ◆1 被害率評価の概要
  ◆2 耐震建築一三カ条について
  ◆3 土蔵の耐震性について
  ◆4 火の見櫓の耐震性を巡って
  ◆5 洋風木造の耐震性と伝統家屋の耐震化の方策
  ◆6 耐震家屋試験盤の考案

5 佐藤勇造と伊藤為吉を巡って

明治中期~末期

第4章 震災予防調査会の活動
1 わが国初の地震研究機関“震災予防調査会”の創設と木造家屋の耐震研究
 1・1 濃尾地震前夜
 1・2 耐震研究の世論形成
 1・3 地震研究機関の創設への世論
 1・4 菊池大麓の建議と震災予防調査会の創設
 1・5 福澤諭吉と菊池大麓

2 震災予防調査会における耐震木造の研究
 2・1 震災予防調査会の研究方針について
 2・2 人為地震台について
 2・3 耐震研究施設の整備事業
 2・4 辰野金吾の耐震煉瓦造建物
 2・5 水平・上下二方向の人為地震台
  ◆人為地震台のメカニズム
 2・6 人為地震台の試験建屋

3 大型の耐震架構モデル“木造耐震建築雛形”について
 3・1 鳥居について
 3・2 棟門について
 3・3 日本家屋について
 3・4 洋風家屋について

4 世界初の大型振動台“人為地震台”を巡って
 4・1 人為地震台の製作
 4・2 木造家屋の耐震研究の推移
 4・3 人為地震台の稼働について
 4・4 当初の振動台の性能について
 4・5 人為地震台の改修について
 4・6 煉瓦造耐震建屋と人為地震台試験施設の変遷
  ◆明治中期の帝国大学理科大学の施設拡充について
 4・7 大森式地震計を巡って
 4・8 耐震煉瓦造建築のその後

5 日清戦争期の地震災害と木造家屋耐震論
 5・1 震災予防調査会での耐震木造家屋の研究動向
 5・2 東京地震と庄内地震
 5・3 野口の震災復旧調査
 5・4 中村太助の接合法
 5・5 地業の改善
 5・6 捨算盤地業について
 5・7 木造家屋の耐震対策を巡って
  ◆1 曽根達蔵の見解
  ◆2 野口孫市の見解
 5・8 野口孫市と坂静雄の貫理論
  ◆1 坂静雄の貫の研究──国宝法隆寺金堂壁画保存を巡って
  ◆2 野口の貫理論

6 耐震木造校舎の試案“耐震雛形”を考える
 6・1 義務教育制度と木造校舎建設
 6・2 学校教育の近代化の歩み
 6・3 文部大臣官房会計課建築掛と各種の学校建築規則
 6・4 小学校建築図案について
  ◆1 通達の背景
  ◆2 構造方説明概略の概要
  ◆3 附図について
 6・5 東京地震と「学校建築上震災予防方」
 6・6 三島通良の学校建築研究
 6・7 「学校建築図説明及設計大要」について
 6・8 洋風と和風の窓開口について
  ◆1 上げ下げ窓
  ◆2 引き違い戸
 6・9 震災予防調査会と文部省会計課建築掛の関与

7 各種の耐震木造建築の試案について“耐震木造雛形”を考える
 7・1 耐震木造雛形のその後
 7・2 震災予防調査会創設時の研究計画と成果
 7・3 庄内地震後の耐震家屋木造雛形
  ◆1 町家一棟改良構造仕様について
  ◆2 農家改良構造仕様について
 7・4 改良日本風木造家屋の建設
  ◆1 根室の耐震標本家屋
  ◆2 深川猿江の耐震標本家屋
 7・5 野口孫市の日本風住宅改良構造仕様
  ◆1 伝統木造に対する基本姿勢
  ◆2 日本風住宅改良構造仕様について

8 再び伊藤為吉を巡って
 8・1 造家学会との関わり
 8・2 耐震煉瓦造との関わり
 8・3 帝国大学工科大学での耐震木造の研究
  ◆1 研究従事の時期について
  ◆2 震災予防調査会嘱託員の時期について
 8・4 金物接合批判
 8・5 耐震的鉄具──ボルト接合雛形の構造実験の顛末
 8・6 わが国初の大型構造実験
 8・7 ボルト接合の改善策
 8・8 伊藤の耐震木造工法──新式大工工法を考える
  ◆1 敷土台と床束なし工法──基礎免震の提唱
  ◆2 滑り支承について
  ◆3 火打木を用いた切組
 8・9 伝統木造への回帰

9 世界初の“人為地震台実験”を巡って
 9・1 完成した人為地震台と振動実験の本格化
 9・2 J・ミルンと大森房吉の世界初の振動実験
 9・3 人為地震台を用いた煉瓦造柱の振動実験
  ◆1 振動実験システムについて
  ◆2 煉瓦造試験の概要
  ◆3 等一耐震力曲線について
 9・4 等一耐震力曲線の応用
  ◆1 耐震煉瓦構造への適用について
  ◆2 東京タワーと磐城無線送信塔
  ◆3 伝統木造構造物にみる等一耐震力曲線
 9・5 大森式地震計と振動計測装置のアナロジー

大正~昭和(戦前・戦後)

第5章 激震に耐える木造建築
1 地震活動期を迎えて──木造家屋の耐震法令史
 1・1 近年の直下型地震での木造家屋の被害率
 1・2 耐震強度と法令
 1・3 市街地建築物法の時代
  ◆1 当初の市街地建築物法施行規則
  ◆2 市街地建築物法施行規則の大改正
  ◆3 施行規則の見直し
  ◆4 室戸台風の被害と終局設計理論の展開
 1・4 戦時建築規則について
  ◆1 木造建築の戦時統制について
  ◆2 積載荷重の見直し
  ◆3 許容応力度の変遷
 1・5 戦後の建築基準について
  ◆1 建築規格3001号
  ◆2 建築基準法の構造規定とその背景

2 柱の太さを考える
 2・1 屋根の荷重と柱の太さ
 2・2 物法施行規則第五三条について
 2・3 改正物法施行規則第五三条と建築基準法施行令第四三条
 2・4 細い柱の構造リスク
 2・5 二乗則・三乗則・四乗則
  ◆1 軸方向力に対する強さ
  ◆2 曲げモーメントに対する強さ
  ◆3 曲げに対する剛性
  ◆4 コストを考えると
 2・6 「太めの柱」と「貫」「鴨居」のすすめ
 2・7 「金物接合」のアキレス腱

3 土台と基礎の緊結を考える
 3・1 伝統木造建築の移動現象
 3・2 初の加速度型地震計の開発と地震加速度の実相
 3・3 地震動の破壊力を巡って
 3・4 基礎移動に関する戦前のコンセンサス
  ◆真島健三郎の柔構造建築
 3・5 佐野利器・武藤清の免震基礎論
 3・6 高い基礎と低い基礎
  ◆アンカーボルトの義務化について
 3・7 戦前の基礎免震木造システムの評価

4 伝統木造家屋の耐久性を考える
 4・1 川村清一の見解
 4・2 聴竹居を訪れて

5 伝統木造建築の復権を目指して


あとがき
耐震年表
註・参考文献

著者プロフィール

西澤 英和  (ニシザワ ヒデカズ)  (著/文

西澤 英和/1951年大阪府生まれ。1974年京都大学建築学科卒業、1979年京都大学博士課程修了。
京都大学講師を経て、現在、関西大学環境都市工学部建築学科教授。
鉄骨構造学と耐震工学を主要テーマに実証的な研究を展開。
歴史的建造物の保存修復や活用のために、社寺建築や煉瓦造の近代建築などの構造強度の評価に関する研究にも力を入れる。また、文化財建造物の修復保存事業に際して、現地での構造調査や耐震補強手法に関する研究も幅広く実施。
主な著書に、『BASICによる建築構造計算Ⅰ・Ⅱ』『鉄骨構造の話』(以上共著、学芸出版社)、『構造力学』(共著、昭和堂)、『建築学の教科書』(共著、彰国社)、『地震とマンション』(共著、ちくま新書)など。

上記内容は本書刊行時のものです。