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出版者情報
ポスト・オーバーツーリズム
界隈を再生する観光戦略
- 初版年月日
- 2021年1月1日
- 書店発売日
- 2020年12月19日
- 登録日
- 2020年10月21日
- 最終更新日
- 2020年12月5日
書評掲載情報
2022-08-13 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 東徹(立教大学教授) |
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紹介
市民生活と訪問客の体験の質に負の影響を及ぼす過度な観光地化=オーバーツーリズム。不満や分断を招く“場所の消費”ではなく、地域社会の居住環境改善につながる持続的なツーリズムを導く方策について、欧州・国内計8都市の状況と住民の動き、政策的対応をルポ的に紹介し、アフターコロナにおける観光政策の可能性を示す
目次
第1章 オーバーツーリズムとは何だったのか
1. パンデミックに揺れる観光
2. 巨大産業化しつつあった観光産業
3. 現代的都市問題としてのオーバーツーリズム
4. オーバーツーリズムの遠因
5. オーバーツーリズムの近因
6. オーバーツーリズムが地域にもたらす弊害の現代的側面
7. 都市社会運動の展開
第2章 日本の観光政策の現段階
1. 近代以降のわが国の地域と観光の関係史
2. 平成の観光史
3. 新型コロナウイルス感染症流行後の観光政策
4. 歴史から見る現代の観光政策とオーバーツーリズム現象
第3章 ヴェネツィア──テーマパーク化からの脱却を目指す古典的観光都市
1. 観光都市ヴェネツィアの輪郭
2. 「ディズニーランド化する」ヴェネツィア
3. 観光に抗議する住民運動の展開
4. 過熱する観光の抑制を目指す政策的対応
5. 観光のプライオリティを下げることのできないジレンマ
第4章 バルセロナ──都市計画を通した観光活動適正化の試み
1. 豊富な観光資源で観光客を魅了し続ける都市
2. 観光都市としての急成長:背景と政策の経緯
3. オーバーツーリズムの状況
4. 「都市への権利」を問う自律的市民運動
5. 界隈の居住環境保全を図る観光戦略
6. 観光の包摂的発展に果敢に挑む
第5章 ベルリン── DMOを軸に観光の質を追求する
1‘Capital of Cool’─刺激的な文化発信の拠点
2. ベルリンの観光のトレンド
3. オーバーツーリズムの状況
4. 市民からの反応
5. 市行政による政策的対応
6. 質の高い観光の成長を前提とした穏健な政策モデル
第6章 アムステルダム──住民生活の優先を明確化した網羅的な政策対応
1. アムステルダムのオーバーツーリズム前夜
2. アムステルダムにおけるオーバーツーリズムの状況
3. 市民からの問題提起
4. オーバーツーリズムに対する政策的対応
5. City in Balanceの評価と課題
第7章 サントリーニ島──歴史的町並み保全制度の奏効と観光インフラ整備の推進
1. サントリーニ島の盛衰と観光発展の背景
2. サントリーニにおけるオーバーツーリズム
3. オーバーツーリズムと地域住民
4. 新行政によるオーバーツーリズムの緩和・回避対策
5. 歴史と伝統の上に描く観光地デザイン
第8章 京都──オーバーホテル問題に直面する世界的観光都市の岐路
1. 日本を代表する伝統的観光都市
2. 京都市におけるオーバーツーリズムの状況
3. 市民からの異議表明と共存を探る試み
4. さらなる成長を促す政策的対応
5. 多用される「地域との調和」とは何か?
第9章 由布院──生活型観光地が模索する暮らしと観光の距離感
1. 定住人口と1日当たりの交流人口がほぼ同じ町
2. 生活と観光の均衡変化と想定外の環境変化
3. 観光計画に基づく地域間の戦略的互恵関係の構築と官民協働体制の再構築
4. 環境変化への対応と地域の意思の明示
5. 交流を通じた持続可能な地域づくり
第10章 倶知安── 外国化した地域の主権を取り戻す地域住民の模索と努力
1. 国際的なスキーのまち
2. ニセコひらふ地区が国際観光地に至るまで
3. 過度な観光開発がもたらした地域の変化と取り組み
4. 外国人による土地・建物所有や事業がもたらした地域の変化と取り組み
5. 中心市街地への影響波及
6. 倶知安町一体となった観光マネジメント
第11章 オーバーツーリズムから包摂的な観光へ
1. オーバーツーリズムの教訓
2. 先行報告におけるオーバーツーリズム改善の方向性
3. COVID-19は観光にどのような影響を及ぼしているか
4. オーバーツーリズムからパンデミックへ
5. 界隈を再生する観光戦略
6. 観光の脱成長へ
上記内容は本書刊行時のものです。