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出版者情報
風景の思想
- 初版年月日
- 2012年6月
- 書店発売日
- 2012年6月15日
- 登録日
- 2016年10月16日
- 最終更新日
- 2016年10月16日
紹介
「日本人は風景をどのように見てきたのか」「これから風景とどのように関わり合っていけばよいのか」について論じた意欲作。哲学、中世史、美術史、民俗学、生態学、農学、景観、都市計画、建築学、河川工学、土木デザインの専門家が、根源に立ち返り、風景とのかかわり合いをいかに主体的に回復していくのかを明らかにする。
目次
はしがき 西村幸夫
第1部 日本人の風景の思想
第1章 風景の中世史 身近な風景と身体 五味文彦
1 中世都市の風景の類型
2 都市京都の風景の誕生
3 風景と身体
4 中世都市の風景の展開
5 都市の衰退と復活
第2章 広重に見る江戸の都市イメージ~武蔵野図の残像 大久保純一
1 描かれた都市のイメージ
2 江戸の都市イメージ
3 広重の見た江戸の町
4 武蔵野図の残像
第3章 風景のフォークロア~街角に残る巨木と都市の記憶 伊藤廣之
1 街角の巨木
2 永代浜とクスノキ
3 クスノキの思い出
4 第二次大戦後の街の変遷とクスノキ
5 「心の中の風景」とその構造
6 巨木のある風景
第2部 場所の風景とその思想
第4章 郊外の風景~文明・文化の表象としての生活像 中島直人
1 文明の表象―コスモスとしての風景
2 文化の表象―郊外生活文化の風景
3 設計の陥穽―郊外化の風景
4 記憶の蓄積からの展望―郊外の風景のこれから
第5章 地方の中心商店街と中山間地域の風景~暮らしの風景とは何か、現状と今後 温井 亨
1 両者の風景の特徴
2 暮らしの風景の現状を事例から見る
第6章 農と風景 ~風景としての百姓仕事の発見 宇根 豊
1 風景が見えない
2 風景の発見
3 内側からの眺めである「様子」と、外側からの眺めである「風景」
4 風景と景観のちがい
5 様子の中に仕事を見つける
6 仕事を「風景」として表現する
第7章 都市計画における風景の思想~百景的都市計画試論 西村幸夫
1 眺めるものとしての「都市風景」から操作対象としての「都市景観」への移行
2 二〇世紀初頭における都市計画の出現と都市風景意識の後退
3 都市風景をとりもどす新しい都市計画の試み
4 建築物からなる都市計画とインフラからなる都市計画を結ぶもの
5 共有されたイメージとしての都市風景
6 賑わいが醸し出すものとしての都市風景
7 百景的都市計画のこころみ
第3部 風景づくりの実践とその思想
第8章 文化的景観と風景~生活・生業の風景の持続と継承 井上典子
1 文化的景観保護制度
2 文化的景観の役割
3 文化的景観における保存と活用
第9章 河川風景の思想~自然と人為が織り成す風景 島谷幸宏
1 個性的な河川の風景
2 システムとしての河川の風景
3 人の暮らしが作る風景─洪水のリスクと水の恵み
4 河川整備の技術と思想と風景
第10章 身近な自然と風景~里地里山の再生による風景づくり 深町加津枝
1 里地里山とは
2 里地里山の歴史
3 里地里山の再生にむけた市民活動
4 里地里山に対する住民の風景認識
5 これからの里地里山
第11章 「生きた風景」へ~まちづくりと公共空間デザインの現代的意義 中井 祐
1 まちづくりの時代
2 景観まちづくりの目的
3 コロンビアでの経験─デザインの真の役割とは
4 現代日本の心の問題
5 人間・自然を抽象化する近代
6 抽象化した都市空間と緊張を強いられるわたし
7 わたしのよりどころとなる場の喪失
8 「生きた風景」へ─まちづくりとデザインの現代的意義
第12章 豊かな風景づくりへの哲学~まなざしの賑わい 桑子敏雄
1 「まなざしの賑わい」から「風景道」へ
2 広重のまなざし
3 人の生きる道としての風景道
上記内容は本書刊行時のものです。