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生きている文化遺産と観光 藤木 庸介(著/文) - 学芸出版社
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生きている文化遺産と観光 (イキテイルブンカイサントカンコウ) 住民によるリビングヘリテージの継承

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発行:学芸出版社
A5判
縦210mm
232ページ
定価 2,600円+税
ISBN
978-4-7615-2480-7   COPY
ISBN 13
9784761524807   COPY
ISBN 10h
4-7615-2480-4   COPY
ISBN 10
4761524804   COPY
出版者記号
7615   COPY
Cコード
C0052  
0:一般 0:単行本 52:建築
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2010年3月
書店発売日
登録日
2016年10月15日
最終更新日
2016年10月15日
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紹介

安易な観光地化が進む地域では、中身のない景観的レプリカ保存や、過度な商業開発による本来の暮らしと伝統文化の崩壊が生じている。観光推進が地域活性化の突破口として注目される今、生活文化の保全といかに両立するかが重要だ。世界遺産都市から小さな村まで、観光がもたらす地域の変容と共生への道を、11の事例に探る

目次

序章 本書の意義とリビングヘリテージ
  藤木庸介

1 観光をめぐる問題の提起
2 文化遺産保護と観光の現在
3 文化遺産保護施策の経緯と観光
4 「リビングヘリテージ」とは何か?

第1部 地域活動と住民の視点
1章 伝えたいのは生きた都市─地元主体による町並み保全
  和歌山県湯浅町……神吉紀世子・湯浅町TMO

1 熊野詣と醤油の町
2 都市の構造そのものに歴史性を再発見する
3 地元主体による自主的まちづくりの歴史
4 がんばる商工部門─産品販促から町並み再生までてがけるTMO
5 町並みの再生─全体像を理解しつつ、事例ごとに考える
6 今後に向けて─地方圏の都市は継承できるか

2章 住民たちがつくる生活融合型観光
  鹿児島県奄美大島・龍郷町……福島綾子

1 大和と琉球の狭間の島
2 奄美の移住者と観光産業の特徴
3 観光、移住者、生活─共存の姿
4 ユイと多様性により支えられるリビングヘリテージのゆくえ

3章 町並みの再発見と住民による地域発掘
  和歌山県旧御坊町・塩屋町
   ……和歌山大学宮川研究室・林田研究室・御坊市教育委員会・NPOスサノヲ

1 人々の交流・往来による町の発展と地場産業とのつながり
2 旧御坊町における伝統的民家の特徴と町並み
3 塩屋町における伝統的民家の特徴と町並み
4 風土により育まれたデザインがリビングヘリテージ
5 寺内町と街道筋の町並みを活かした観光に関する取り組み
6 今後の取り組みのあり方と可能性

4章 ウチとソトの境界意識と「よりよい暮らし」の実現
  英国・コッツウォルズ……塩路有子

1 カントリーサイドとコッツウォルズ地域
2 チッピング・カムデン
3 ヘリテージとしての住まい
4 ヘリテージの町の保全と開発
5 町の観光イメージと住民意識
6 「よりよい暮らし」を実現する観光地とは

第2部 伝統産業・文化を継承するために
5章 もてなしの文化を支える地域社会
  広島県宮島・厳島神社門前町……花岡拓郎

1 旅人の島
2 リビングヘリテージとしての門前町
3 日本三景としての景観づくり
4 暮らしに息づく信仰
5 門前町を支える地域社会
6 世界遺産登録がもたらしたコト

6章 地域文化の再興と活用を目指して
  奈良県天川村……阪岡 悌・藤木庸介

1 林業と修験道の村
2 世界遺産登録と観光への取り組み
3 将来を見据えた取り組みの必要性

7章 観光開発による伝統産業の復活
  タイ・クレット島……清水苗穂子

1 タイの伝統文化と観光
2 タイの少数民族モン族と伝統産業
3 クレット島の観光振興
4 陶器産業の復活をかけた一村一品プロジェクト
5 モン族の伝統産業の継承
6 クレット島の観光開発がもたらした伝統産業への影響
7 新たな伝統文化の創造に向けて

8章 生きている棚田景観と保全をめぐる思惑
  フィリピン・ルソン島……平田隆行

1 生きられた景観
2 「社会」として立ち上がる風景
3 フィリピンの国家イメージと棚田景観
4 コルディリエラの棚田群は危機遺産か?
5 リビングヘリテージとしての棚田

第3部 生活文化保全と観光推進の間で
9章 観光地化に伴う景観の変化とコントロール
  ベトナム・ホイアン……内海佐和子

1 海のシルクロードの貿易拠点
2 歴史的町並みの構成
3 町並みの保存活動と観光変容
4 町並みの観光変容に対する条例とその効果
5 新たな展開を見せる景観の変容要因
6 発展と変容を継続するために

10章 変化を許容する巡礼都市の新たな展開
  インド・ヴァーラーナシー……柳沢 究

1 ヒンドゥー教最大の「聖地」
2 聖地・巡礼と生活の混淆
3 ヒンドゥー教のテーマパーク
4 観光開発と世界遺産登録運動
5 リビングヘリテージとしての都市
6 聖地と生活の場の共存─融合寺院の可能性

11章 戦略的観光開発と伝統的文化保全の葛藤
  中国・麗江……藤木庸介

1 茶馬古道の交易拠点
2 麗江旧市街地の居住文化
3 行政施策としての戦略的観光開発
4 観光開発がもたらしたもの
5 居住文化への影響
6 観光開発とリビンクヘリテージ保全の共生へ向けて

著者プロフィール

藤木 庸介  (フジキ ヨウスケ)  (著/文

1968年生まれ。京都精華大学美術学部建築分野卒業、シュテーデル・シューレ・フランクフルトを経てイーストロンドン大学大学院修了(M.A.)。和歌山大学大学院システム工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。和歌山大学システム工学部助手等を経て、現在、京都嵯峨芸術大学芸術学部観光デザイン学科准教授、ならびに遊工舎一級建築士事務所代表。一級建築士。共編著に『世界遺産と地域振興』(世界思想社)、編著に『名作住宅で学ぶ建築製図』(学芸出版社)ほか。

神吉 紀世子  (カンキ キヨコ)  (著/文

1966年生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了。博士(工学)。和歌山大学助教授等を経て、現在、京都大学工学研究科准教授。湯浅町伝統的建造物群保存審議会委員。共著に『田園で学ぶ地球環境』(技報堂出版)『現代住宅研究の変遷と展望』(丸善)ほか。

福島 綾子  (フクシマ アヤコ)  (著/文

1975年生まれ。専門は文化財学。早稲田大学第一文学部考古学専修卒業、早稲田大学大学院文学研究科考古学専攻修了、ペンシルバニア大学デザイン研究院歴史環境保存プログラム修了。ユネスコ北京事務所、㈱キャドセンターデジタルアーカイブ・ラボ研究員を経て、現在、九州大学大学院芸術工学研究院環境・遺産デザイン部門助教。著書に『香港の都市再開発と保全―市民によるアイデンティティとホームの構築』(九州大学出版会)。

宮川 智子  (ミヤガワ トモコ)  (著/文

1970年生まれ。英国ニューカッスル大学法律経済社会科学学部都市農村計画学科卒業後、奈良女子大学大学院人間文化研究科博士前期・後期課程修了。博士(学術)。平安女学院大学生活環境学部講師を経て、現在、和歌山大学システム工学部准教授。共著に『地域居住とまちづくり』(せせらぎ出版)『シリーズ都市再生2―持続可能性を求めて―海外都市に学ぶ』(日本経済評論社)。

花岡 拓郎  (ハナオカ タクロウ)  (著/文

1979年生まれ。九州大学大学院芸術工学府博士課程修了。博士(芸術工学)。国内外の歴史的な都市空間に息づく文化資源の活用プロジェクトに参画。現在、蘭島文化振興財団(広島県呉市)学芸員。美術館等の文化施設運営に携わる。共編著に『廿日市市厳島伝統的建造物群保存対策調査報告書』(廿日市市教育委員会)ほか。

阪岡 悌  (サカオカ ヤスシ)  (著/文

1955年奈良県天川村生まれ。1977年天川村職員となり、現在、天川村住民課長。1300年の歴史「大峯奥駈道」として世界遺産登録された天川の生活文化は、都会との関係性から成り立っており、都会の人々に対する天川の役割を「ルーラルリサーチ」(なにわと天川のネットワークを考える会)のなかで考えている。

塩路 有子  (シオジ ユウコ)  (著/文

聖心女子大学外国語外国文学科卒業、英国サリー大学大学院社会科学研究科修了(M.A.)、総合研究大学院大学文化科学研究科修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、国立民族学博物館外来研究員を経て、現在、阪南大学国際観光学部教授(ヨーロッパ人類学専攻)。著書に『英国カントリーサイドの民族誌』(明石書店)『住まいはかたる』(共著、学芸出版社)ほか。

清水 苗穂子  (シミズ ナホコ)  (著/文

近畿日本ツーリスト、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル勤務を経て、2004年大阪市立大学大学院文学研究科前期博士課程修了。文学修士。現在、羽衣国際大学産業社会学部准教授。共著に『これでわかる着地型観光』(学芸出版社)ほか。

平田 隆行  (ヒラタ タカユキ)  (著/文

1971年生まれ。神戸大学大学院博士後期課程単位取得退学。博士(工学)。現在、和歌山大学システム工学部助教。共著に『建築設計学Ⅰ― 住宅の設計を学ぶ』(学芸出版社)ほか

内海 佐和子  (ウツミ サワコ)  (著/文

1966年生まれ。昭和女子大学家政学部生活美学科卒業後、積水ハウス㈱入社。進学退職後、昭和女子大学大学院生活機構研究科修士課程ならびに同大学院博士課程修了。博士(学術)。昭和女子大学非常勤講師。昭和女子大学国際文化研究所客員研究員。共著に『ベトナム町並み観光ガイド』(岩波書店)。

柳沢 究  (ヤナギサワ キワム)  (著/文

1975年生まれ。京都大学工学部建築学科卒業、同大学院工学研究科修士課程修了。博士(工学)。神戸芸術工科大学大学院助手を経て、現在、一級建築士事務所究建築研究室および神楽岡工作公司代表、国立民族学博物館共同研究員、京都造形芸術大学非常勤講師。共編著に『世界住居誌』(昭和堂)『京都げのむ』(京都CDL)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。