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出版者情報
スマート・テロワール
農村消滅論からの大転換
- 書店発売日
- 2014年12月14日
- 登録日
- 2015年8月13日
- 最終更新日
- 2015年8月13日
書評掲載情報
2015-12-20 |
毎日新聞
評者: 藻谷浩介(株式会社日本総合研究所主席研究員) |
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紹介
限界集落、市町村消滅!?本当だろうか。実は農業・農村にこそ成長余地がある。実現を阻んでいるのは、「瑞穂の国」幻想だ。余っている水田や休耕田を畑や放牧地に転換し、域内の工場で加工すれば、味はもちろん、価格も輸入原料による商品に負けないものができる。契約栽培で市場価格の30%オフを実現したカルビー元社長の提案。
目次
はじめに
1章 成長余地があるのは農業・農村──食料自給率の逆説
1 日本農業の潜在需要と伸びしろ
2 農村・農業のお寒い実態
3 供給過剰時代の農業の四つのジレンマ
4 新たな自給圏「スマート・テロワール」構想
5 自給圏で加工場を持つ効果
6 スマート・テロワールは日本の難問を解決する
2章 「瑞穂の国」幻想を捨て、スマート・テロワールを構築する
1 「瑞穂の国」幻想を捨てる
2 人こそ農村の最大の資源
3 加工食品メーカーと競争する
4 供給者主導の市場経済から消費者主体の経済システムへ
5 イノベーション・トライアングルへの挑戦
6 スマート・テロワールへのビジョンを描く
3章 スマート・テロワールの思想
1 不足から過剰へ──時代の転換
2 トーマス・ライソン『シビック・アグリカルチャー』
3 重商主義と重農主義
4 カール・ポランニー『大転換』
5 日本とヨーロッパ、食料過剰時代への対応の違い
4章 スマート・テロワールと地元愛
1 ワールドカップ・フランス大会で「最も美しい村」に出会う
2 「フランスで最も美しい村」協会の歴史と心
3 「美しい村」に通じる「世界遺産」の心
4 日本の「最も美しい村」連合の使命
5 スマート・テロワールが再ローカル化の要
5章 スマート・テロワール構築の鍵──地域の身の丈に合った食品加工場で珠玉の製品を作る
1 スマート・テロワール実現の手順
2 コスト積み上げの発想を変え、コスト・ゼロを見つける
3 マーケティング戦略の出番
4 日本の製造業が開発したノウハウを農村に導入する
6章 スマート・テロワール構築のマニュアル
1 「スマート・テロワール構築準備会」の創設
2 「農村計画図」作成でビジョンを〝見える化〟
3 スマート・テロワール内における基礎的な事業展開
4 数値目標の設定
5 従来農地の転換
7章 スマート・テロワールを支える仕組み
1 地域の食産業システムの改革をリードする大学の使命
2 自給圏には、地域に応じたプラットフォームが必要
8章 農村の文明開化──ドイツとオーストリアに学ぶ
1 メルケンドルフ
2 レッテンバッハ
3 ギュッシング
4 未利用資源の徹底活用
5 日本の最大の未利用資源は「人材」
9章 アルカディアへの道
1 一九九〇年以降の日本の課題──デフレスパイラルからの脱却と一言で言われますが?
2 「八百万の神」の宿る里山資本主義を
3 アルカディアを夢から現実にするために
あとがき
スマート・テロワール文献紹介
末松玄六『中小企業成長論』(一九六一)
林周二『流通革命』(一九六四)
ジャン・ボードリヤール『消費社会の神話と構造』(一九七〇、今村仁司・塚原史訳、一九七九)
カール・ポラニー『大転換』(一九四四、野口建彦・栖原学訳、二〇〇七)
トーマス・ライソン『シビック・アグリカルチャー』(二〇〇四、北野収訳、二〇一二)
エリック川辺『草地の生態系に基づく放牧と酪農経営』(二〇一一)
宗田好史『なぜイタリアの村は美しく元気なのか』(二〇一二)
ナヤン・チャンダ『グローバリゼーション 人類5万年のドラマ』(友田錫・滝上広水訳、二〇〇九)
山本義隆『一六世紀文化革命』(二〇〇七)
福澤諭吉『文明論之概略』(一八七五)
スマート・テロワール補論
シングルマザーの帰郷で「農村再生」
「テロワール」とは
農村の自立を阻んできた「瑞穂の国」幻想
農業基本法が変えた讃岐うどんの原料小麦の産地
日本農業のSWOT(強み・弱み・機会・脅威)分析から見えてくるもの
もはや「工業立国」ではない日本
契約栽培のススメ
カルビーの鮮度戦略の父、ミルトン・V・ブラウンさんのこと
既存システムを破壊することから始まったカルビーのポテトスナックビジネス
㈱小泉商店から学ぶ三つのイノベーション
福島県がスマート・テロワールの先頭に立つ
スマート・テロワールの住民の役割を考える
国産神話の罠
真善美
美味しいものは、どこで差がつくか?
もっとも精緻な農産加工品は「酒」
都市は「かせぎ」の場、農村は「つとめ」の場
軽井沢に見る都市の企業と農村
上記内容は本書刊行時のものです。