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出版者情報
京都の町家に学ぶ たしかな暮らし
改修のプロが伝える、木・土・紙・石の住宅論
- 初版年月日
- 2023年11月15日
- 書店発売日
- 2023年11月13日
- 登録日
- 2023年10月2日
- 最終更新日
- 2024年1月11日
紹介
不便で時代遅れとされる町家であるが、一方で心地いいと感じることがある。それは都市にありながら、常に自然を感じられるからである。町家を再生し、その生活を見直すことは、行き過ぎた技術や贅沢さから、健全な生活空間を取り戻す手がかりとなるのだ。町家建築の改修のプロによる、いま、私たちが取り戻したい暮らしとは。
目次
はじめに
今、なぜ町家なのか
その1・町家は長寿命住宅である
持続可能な住まいとは/町家はなぜ使い続けられたのか
その2・町家は柔軟性のある住宅である
災害に備える家/予防は工学ではなし得ない/住人を守る知恵/生活の変化に対応する
その3・町家は免疫力の上がる住宅である
環境由来微生物/家の中の生物多様性/庭があるということ
■第1章 町家はどのようにして誕生したのか ~成り立ちと変遷~
町家のルーツは平安時代?!
船岡山と都/「まちや」の始まり/中世戦国期の町家の生活/秀吉の大改造
【column 1】人間の感覚と「方丈の庵」の大きさ
江戸時代と地続きの家
町家スタイルの確立/江戸期の町家の生活/明治~昭和初期の設備の大変革
【column 2】今につながる江戸時代の暮らし
町家は絶滅危惧種?
戦後の生活様式/エアコンが庭を追い出した
【column 3】民家と町家・長屋
■第2章 「木・土・紙・石」から作られた住まい ~先人の叡智と技術が結集した建築空間~
町家の構造
在来軸組工法/伝統木造構法/耐震機構
町家のパターンと空間
間取りから見たパターン/道路面のデザインパターン/特徴的な空間と意匠/
内部空間の機能を示す要素
【column 1】打ち水の効果
町家に使われている素材
木/土/藁/和紙/竹/ベンガラ/柿渋
【column 2】チェロの音色を奏でる家
■第3章 その魅力は「中間領域」にあり ~日々の暮らしに与える影響~
町家暮らしにあるもの
現代での町家暮らし/祈りの場があるということ/意識が上に向かう家/「家の声」を聞く/清浄感の前提にあるもの
【column 1】町家がつなぐご近所との関係
町家の中に流れている時間
社会的時間と自然の時間/一日の流れと体内時計の調節/一年の時の流れ/
一生の流れ-ハナレの意味-/人の一生に寄り添う家/「しつらえ」ということ
町家に備わる中間領域
内と外の間/庭側の内と外の間/道路側の内と外の間/山と里の間/人間は里山なのだ/家も里山がいい
【column 2】家の境界線と中間領域
■第4章 未来へつなぐために今できること ~町家を生かす再生方法~
町家再生の考え方
町家の特徴をどう生かすか/もとの姿を認識する/何を足していくか
町家と構造計算
安心と安全/町家と建築基準法/町家の改修構造設計/町家という大先輩
【column 1】柱がまっすぐになった
変化してきた設備と現代生活への対応
井戸とおくどさんの復元/天窓の工夫/炭のチカラ/暑さ寒さをしのぐ知恵/天井を張らずに梁を見せる/風を通すことを意識する
【column 2】バリアフリーと元気な高齢者
自然素材の新しい使い方
ストローベイル/和紙のスクリーン/ペレットストーブ/周りにある自然の力を利用する
【column 3】「おおきに迎賓館」を手掛けて
◇対談・町家とゴリラ
山極壽一(総合地球環境学研究所所長・野生ゴリラ研究家)×松井 薫
■第5章 町家的スローライフを考える ~たしかな暮らしを続けるために~
腹八分目で生きるということ
腹八分目とは/ある高校生の話/腹八分の住宅/プラグを抜いて手を動かす
【column 1】町家的生活のヒント
利便性と環境の間で ~人間は何を選択するのか~
「ちょっと便利」は恐ろしい/都市を作ってはみたものの/サイクルの最初と最後/エネルギーから見た現代生活
人間も自然の一部である
五感を大切にする/家からエコを考える/やっぱり町家/生態系に適合した住宅/都会の村人を目指して
【column 2】「個」と「孤」の間で
あとがき
※本書の中での「町家」という表現は、主に「京町家」を指しています
上記内容は本書刊行時のものです。