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出版者情報
事例で学ぶ 働く人へのカウンセリングと認知行動療法・対人関係療法
- 初版年月日
- 2019年5月24日
- 書店発売日
- 2019年5月16日
- 登録日
- 2019年1月11日
- 最終更新日
- 2019年3月29日
紹介
傾聴だけではカウンセリングにはなりません。さらに一歩踏み込んだアプローチでクライアントの問題解決に導きましょう。
本書では認知行動療法(CBT)と対人関係療法(IPT)をイチからやさしく学べます。序盤では各技法の特性や効能などを図表を交えながら解説します。その後、リアルな事例を通して現実的な学びを得ます。初学者はもちろん、さらに学びを深めたい人にも効果的な一冊です。認知行動療法、対人関係療法に興味があるけど難しそうだ、そう思っている方にぜひお勧めです。
目次
はじめに
第1章 個人と職場を活性化するCBTとIPT―生物・心理・社会モデル
1-1 効果的なカウンセリングは適切なアセスメントから-生物・心理・社会モデル
1-2 CBT・IPTと生物・心理・社会モデル
1-3 生物・心理・社会モデルによる他職種の支援と連携
1-4 CBTとIPTでできる社会的状況の最適化と“組織の賞味期限”
1-5 感情労働の重要性
1-6 「敵」だと思うと個人の中で組織はすぐに賞味期限を迎える
1-7 賞味期限を迎えにくい組織は集団凝集性を備えている
1-8 CBTとIPTでできること
第2章 CBTとIPTのコツ―職場での願望との上手な付き合い方
2-1 関係構築は「物語」の理解から―カウンセリングの3stepsモデル
2-2 CBTとIPTの弱点
2-3 効果的なStep0(関係構築)のコツ①最悪な対応とは
2-4 効果的なStep0(関係構築)のコツ②クライエントの願望に注目しよう
2-5 効果的なStep0(関係構築)のコツ③具体的な対応例
2-6 勤労者の願望の本質を読み解くコツ①快楽と苦痛に由来する願望
2-7 勤労者の願望の本質を読み解くコツ②好き嫌いに由来する願望
2-8 勤労者の願望の本質を読み解くコツ③ヒトの複雑さを表す願望
2-9 明らかになった願望と理由を物語として整理する
2-10 Step0からStep1(現実検討・現実受容)へ
2-11 CBTとIPTを人事担当者や上長への助言に活かすコツ
第3章 “心”を整えるCBTの上手な使い方
3-1 CBT導入の基礎のキソ
3-2 情緒的混乱が激しいクライエントの場合
3-3 CBTの「効果を謳う効果」
3-4-1 心の癖をリストラする方法:認知再構成法
3-4-2 ①認知を特定する:上司との関係に悩むDさんの3つのカラム
3-4-3 カラム1「出来事・状況」の特定
3-4-4 カラム2感情を探ろう
3-4-5 カラム3認知・心の癖のキャッチと感情と関係を分析
3-4-6 損益比較のバランスシート①損益比較への導入と心理教育
3-4-7 損益比較のバランスシート②心の癖の選択と評価
3-4-8 心の癖が正しい根拠と間違っている根拠の探索
3-4-9 新しい考え方の探索
3-5-1 「新型うつ」を思わせるEさんの行動最適化
3-5-2 活動記録表の作成
3-5-3 気分のリセットの心理教育
3-5-4 気分のリセット行動を探る
3-5-5 行動の選択と行動実験
3-6-1 感情最適化―考えたくないのに考えてしまう心の秘密
3-6-2 部下への不満から上司として適切に振る舞えないFさん
3-6-3 意識と感情の心理教育
3-6-4 嫌なこと、求めることを具体的に考える
3-6-5 気持ちを調整するマインドフルネス技法
3-7 さらにアドバンストな方法
第4章 コミュニケーションを整えるIPTを用いたカウンセリング
4-1 ヒトは“人の中で傷つき、人の中で癒やされる”生き物です
4-2 IPTにおける生物・心理・社会モデル
4-3 IPTのスローガンと有効なクライエント
4-4 IPTは内省しないクライエントにも使える
4-5 ヒトは相互作用の中に存在する-心の不調と対人関係
4-6 心がイキイキする良いスパイラル
4-7 ポジティブ・スパイラルを持続する鍵は「好意の返報性」
4-8 IPTは察するセンスからはじまる
4-9 ヒトの心は拡張物も含めて「自分」と認識する
4-10 「仲良くしたい,でも優位に立ちたい」の葛藤を生きるヒト
4-11 心は周りの人の心のセンサー
4-12 人は心を伝え合い、察し合う、だから考え続ける
4-13 嫌なことほど考えたくないのに考えてしまう
4-14 共感でクライントを心の痛みから救おう
4-15 怒りや不満に共感することでカウンセラーが抱えるリスク
4-16 カウンセラーとしてのリスク管理
4-17 「怒り」の意味
4-18 「怒り」の使い方
4-19 IPTに基づくカウンセリングの実施プロセス
4-20 誰をIPTに誘導するべきか?
4-21 怒りと不満が溢れるGさんと上長
4-22 カウンセラーから上長への提案
4-23 「話すことはない」と訴えるGさん
4-24 「軽蔑ゲーム」を仕掛けるGさんへのカウンセリングの導入
4-25 クライエントに求める役割とカウンセラーの態度
4-26 IPTが想定する4つの問題領域
4-27-1 悲哀
4-27-2 役割をめぐる不和
4-27-3 役割の変化
4-27-4 社会的孤立
4-28 Gさんの問題領域
4-29 現在の重要な人間関係に着目する
4-30 対人関係の変容を目指して「期待」を明らかにする
4-31 コミュニケーション分析
4-32 非指示的なスタンスと提案のバランス
4-33 非指示的なスタンスと提案のバランス
4-34 Gさんのその後
4-35 IPTを活用するカウンセラーが心がけること
第5章 事例の中でのCBTとIPTの効果的な使い方
5-1 自分の適性と職場の人間関係悩む30代女性のHさん
5-1-1 来談まで―新卒から転職までの10年間
5-1-2 来談まで―転職後:女子二人の世界から疎外された職場
5-1-3 柔らかい服装とキリッとしたメガネが対照的なHさん
5-1-4 キャリア・ストーリー―頼られる女性でありたい
5-1-5 頼られて楽しかった一方で緊張感もあった学生時代
5-1-6 頼りにされるHさんをめぐる対話とカウンセラーの態度
5-1-7 職場で感じる悔しさ
5-1-8 Hさんを追い詰める「合理化」とカウンセラーの支援仮説
5-1-9 Hさんのコミュニケーションの改善
5-1-10 カウンセラーの感想①-感受性が強いHさん
5-1-11 カウンセラーの感想②カウンセラーは安心できる場を提供できたのだろうか?
5-1-12 カウンセラーの感想③「頼りにされたい、でも目立ちたくない」
5-2 不安と強迫観念が強い30代男性Iさん
5-2-1 来談まで―頼りにしていた先輩や同僚が転職して調子を崩した
5-2-2 怯えたような雰囲気と鮮やかな語り口が対照的なIさん
5-2-3 暫定的な支援仮説:確認強迫は防衛機制の可能性も考えられる
5-2-4 Step1に注目しているクライエントにはStep1から
5-2-5 活動記録と確認強迫のフォーミュレーション
5-2-6 確認強迫にメリットを感じていたIさん
5-2-7 確認強迫の回数を減らすと…
5-2-8 「何も楽しめない」と訴えるIさん
5-2-9 スキーマへのアプローチ
5-2-10 スキーマへのアプローチの導入
5-2-11 スキーマの探索方法
5-2-12 自動思考からスキーマを差し引いて考える
5-2-13 会社への同一化
5-2-14 支援仮説の検討:スキーマの過剰補償
5-2-15 自動思考とスキーマの関係の検討
5-2-16 スキーマのメリット、デメリットを洗い出す
5-2-17 スキーマの過剰補償の心理教育と解釈
5-2-18 会社しかないIさんの最適な補償方法とスキーマとの付き合い方
5-2-19 Iさんは自己価値への絶対的な補償が欲しかった
5-2-20 カウンセラーの感想
索引
キーワード集
上記内容は本書刊行時のものです。