- ISBN
- 978-4-7592-6228-5
- Cコード
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C0036
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一般 単行本 社会
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年9月1日
- 書店発売日
- 2019年9月10日
- 登録日
- 2019年7月24日
- 最終更新日
- 2020年3月27日
書評掲載情報
2020-03-06 |
世界
2020年4月号 評者: 田中 宏×辛 淑玉 対談 「在日朝鮮人の人権保障を求め続けてー人として当たり前のことを、無手勝流に」 |
2019-11-18 | 人権と生活 vol.49 |
2019-11-08 |
朝鮮新報
2019年11月8日 16212号 評者: 崔寛益 氏 |
2019-09-13 | 東洋経済日報 |
紹介
様々な差別に対して声をあげ、立ち上がった在日朝鮮人たち。1960年代以降、彼彼女らの闘いに伴走してきた田中宏さんへのロングインタビューを通し、グロテスクなこの日本の成り立ち、そして現状と今後の課題について考える。
目次
まえがき
第1章 「原点」としての「アジア文化会館」
第2章 韓国人被爆者、孫振斗のたましい
第3章 「国籍」という差別装置
第4章 「日立」から「民闘連」へ
第5章 「憲法の番人」の人権感覚を撃つ
第6章 在日韓国人弁護士第一号、金敬得が遺したもの
第7章 指紋押捺拒否――日本の公民権運動
第8章 指紋押捺拒否2
第9章 「忘れられた皇軍」たちの叫び
第10章 戦後補償裁判から弔慰金法へ
第11章 「当然の法理」とは何か
第12章 外国人参政権という「起点」
第13章 朝鮮学校の大学受験資格問題
第14章 「はじまり」としての枝川朝鮮学校裁判
第15章 二一世紀の4・24、高校無償化排除との闘い
第16章 無償化裁判の新段階――縦軸で観るということ
補論 日本人の戦争観・アジア観についての私的断想――田中 宏
書簡 この度の朝鮮高校無償化問題に寄せて――権 順華
参考文献
あとがき
版元から一言
日本の朝鮮植民地化で「皇国臣民」とされ、強制労働はもちろん、戦争終盤には「宗主国」の戦争にまで狩りだされた朝鮮人たち。たが敗戦後、日本はその歴史的責任を負うどころか、サンフランシスコ講和条約の発効の契機に彼彼女らの国籍を一方的にはく奪。外国籍を「理由」に一切の戦後補償やほぼ全ての社会保障から排除し、この国で生きる展望を奪ってきた。
いわば「国籍」を軸に再編されたレイシズムとの闘いは1960年代終盤に始まる。その担い手の多くは、日本で生まれ育った在日二世だった。
在外被爆者への医療保障。司法研修所の国籍条項、公務員や教員からの排除。日本の公民権運動「指紋押捺拒否」、日本敗戦までは朝鮮人にもあった参政権、戦後補償、さらには民族教育への弾圧……。反差別の闘いの大半に伴走してきたのが田中宏さんである。
その田中さんへのロングインタビューを記録したのが本著である。彼の軌跡が描き出すのは、他者と共に生きる上では不可欠な「歴史認識」と「反差別」という二つの規範を確信犯的に擲ち、「日本人による日本人の、日本人のための国」を作り上げてきたこの国のグロテスクな在り様である。レイシズムと歴史修正主義が社会の隅々にまで蔓延した現在だからこそ、彼の闘いの半世紀を紐解き、先人たちの思いに思いを馳せ、在日外国人の権利伸長運動の現在を正確に踏まえ、そして「共に生きる社会」実現に向けた今後の課題について考えたい。