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祝祭
宮廷が演じたヨーロッパの夢
原書: Aula et Ars in Europa I, FESTUM: Somnia Europea Acta ab Aulis
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2025年10月1日
- 書店発売日
- 2025年9月29日
- 登録日
- 2025年9月1日
- 最終更新日
- 2025年9月21日
紹介
ルネサンスからバロックを舞台に、ブルゴーニュ公シャルルの〈婚宴〉、カトリーヌ・ド・メディシスの〈華燭の祝宴〉、フェリーペ四世のブエン・レティーロ宮の〈祝祭空間〉、ダーフィト・テニールス/ウィーンの〈名画の饗宴〉、教皇庁とベルニーニの〈祝祭芸術〉、太陽王ルイ一四世のヴェルサイユの〈祝祭〉、ザクセン選帝侯公子アウグスト二世の〈婚宴〉、これら七つの代表的な宮廷をとりあげ、それぞれが互いに競いあい、また影響を与えあいながら紡いできた「祝祭」という王権演出の系譜をたどるものである。
フランク王国のカール大帝の時代に萌芽を見た宮廷文化は、中世後期の君主たちのもとで著しい発展を遂げ、一五世紀に栄えたヴァロワ朝ブルゴーニュ公の宮廷は、その絢爛たる豪華さにおいて他を圧倒していた。とはいえ、その財力を支えていたのは、毛織物産業によって繁栄したネーデルラント諸都市の富であり、広大かつ多様な所領の領民や臣下たちに対して権威を示し、統治の正統性を維持するためには、壮麗な祝祭の挙行が不可欠であった。一方、同時期のイタリア都市国家の宮廷は、物質的な華美においてはブルゴーニュにおよばなかったものの、古典的教養と市民的美徳を融合させ、芸術を総動員して「壮麗さ」という君主の徳を可視化する独自の祝祭文化を築きあげた。
こうした文化的遺産は、ルネサンスからバロックへと受け継がれ、教皇庁をはじめ、イングランド、スペイン、フランス、ドイツさらには東欧諸国の宮廷においても、壮大な祝祭として結実していくこととなる。華麗なる宮廷文化の系譜をたどる本書の旅路は、その最初の頂点とも称すべき、ブルゴーニュ公国の宮廷から幕を開ける。
目次
プロローグ 王宮と祝祭──宮廷が演じたヨーロッパの夢 望月典子
Ⅰ ブルゴーニュ公シャルルの結婚式と祝宴の「豪華」──ブルゴーニュ宮廷の伝統と継承をめぐって 今井澄子
Ⅱ 華燭の祝宴──カトリーヌ・ド・メディシスの宮廷祝祭 田中久美子
Ⅲ フェリーペ四世とブエン・レティーロ宮──スペイン王室の祝祭空間 楠根圭子
Ⅳ 絵画の祝祭あるいは名画の饗宴──ダーフィット・テニールス(子)と『絵画劇場』 木川弘美
Ⅴ ローマ・バロックの祝祭──ローマ宮廷とベルニーニの祝祭芸術 新保淳乃
Ⅵ 太陽王からルイ大王へ──ヴェルサイユの祝祭に映しだされた王の表象 望月典子
Ⅶ ザクセン宮廷の祝祭──ザクセン選帝侯公子フリードリヒ・アウグスト二世の結婚式 金沢文緒
エピローグ 壮麗さの軌跡──祝祭に刻まれたヨーロッパ近世の権力と倫理 望月典子
註
人名索引
前書きなど
ルネサンスからバロックを舞台に、ブルゴーニュ公シャルルの〈婚宴〉、カトリーヌ・ド・メディシスの〈華燭の祝宴〉、フェリーペ四世のブエン・レティーロ宮の〈祝祭空間〉、ダーフィト・テニールス/ウィーンの〈名画の饗宴〉、教皇庁とベルニーニの〈祝祭芸術〉、太陽王ルイ一四世のヴェルサイユの〈祝祭〉、ザクセン選帝侯公子アウグスト二世の〈婚宴〉、これら七つの代表的なヨーロッパの宮廷に見る、互いに競いあい、影響を与えあいながら演じられてきた、古典的教養と市民的美徳を融合させ、芸術を総動員して「壮麗さ」という君主の徳を可視化する「祝祭」という王権演出の表象を明らかにする。
上記内容は本書刊行時のものです。
