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フレスコ画の身体学
システィーナ礼拝堂の表象空間
原書: Exploratio Imaginum III SCIENTIA CORPORIS AFFRESCI: Spatium Repraesentatum Cappellae Sixtinae
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年12月
- 書店発売日
- 2012年12月7日
- 登録日
- 2012年11月29日
- 最終更新日
- 2012年11月29日
紹介
芸術神ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂に描いた壮麗なる絵画的宇宙、すなわち、ルネッタとヴェーラに描かれたキリストの祖先たち、ペンデンティヴに描かれた預言者とシビュラたち、大ペンデンティヴに描かれた旧約聖書の四つの神話、天井に描かれた『創世記』の語る天地創造の九場面、そして、祭壇に描かれた究極の《最後の審判》、これらの雄渾な視覚を凌駕する表象を丹念に読み解き、その内部に込められた創造の秘跡を探検する!
目次
序 章 システィーナ礼拝堂の五〇〇年Ⅰ──《最後の審判》まで 金井直
第1章 〈モーセ伝〉と〈キリスト伝〉 足達薫/喜多村明里
第2章 キリストの祖先たち──ヴェーラとルネッタ 上村清雄/石井朗
第3章 預言者とシビュラ──キリスト教の普遍性と教会の革新をめぐって 伊藤博明
第4章 大ペンデンティヴにおけるミケランジェロの神学理解と造形
──《ダヴィデとゴリアテ》、《ユディットとホロフェルネス》、《ハマンの懲罰》、《青銅の蛇》 喜多村明里
第5章 《アダムの創造》──天井に描かれた『創世記』連作九場面 金山弘昌
第6章 《最後の審判》──ブオン・フレスコ美学と復活のヴィジョン 足達薫
終 章 システィーナ礼拝堂の五〇〇年Ⅱ──見えることと見えないこと 金井直
註
ミケランジェロの道──あとがきにかえて 上村清雄
人名索引
前書きなど
国そのものが世界遺産であるヴァティカン市国には、名所・名建築も数多いが、中でもシスティーナ礼拝堂の知名度、人気のほどは格別である。ヴァティカン内にとどまらず、ヨーロッパで最も有名な礼拝堂のひとつといっても過言ではない。システィーナ礼拝堂への関心は、ローマ・カトリックに帰依する者に専有されるわけではなく、むしろ同礼拝堂訪問は、信仰の異同を超えた、都市ローマ・ヴァティカン観光のハイライトとも言えるだろう。実際にヴァティカン美術館を訪れれば、このことは明らかだ。古代彫刻の宝庫「ベルヴェデーレの庭」やラファエッロの傑作がならぶ「署名の間」といった、美術史上必見の名所さえさっと駆け抜けた善男善女が、観覧コースの終わりに組みこまれたシスティーナ礼拝堂に入るや、感嘆の声をあげつつ、天を見上げ、しばし茫然と立ち尽くす。堂内は群衆であふれかえり、ざわめきが反響する。大多数の来訪者の目当ては、言うまでもなくミケランジェロ・ブオナローティのフレスコ画である。『創世記』を中心に、旧約聖書の世界を雄渾な筆致で描きあげた天井画や、数多の身体が発するパトスが壮大な渦をなす《最後の審判》を、人々は一目自らの眼で見ようと押し寄せてくるのである。この礼拝堂の主役は、したがって、審判の日のキリストや、アダムを創造する神と同等に、「神のごとき」ミケランジェロその人と言えるだろう。システィーナは、ルネサンス芸術の最も高い巓なのである。
上記内容は本書刊行時のものです。