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恋の短歌 コレクション1000
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2022年2月21日
- 登録日
- 2021年12月14日
- 最終更新日
- 2022年2月21日
紹介
万葉集から現代のSNS短歌まで、短歌の根底に流れるテーマは「恋」と言って過言ではありません。この短歌の本質でもある恋を詠んだ作品を現在活躍中の歌人6名で1000首厳選。出逢いから別れまであらゆるシーン別に分類した作品集。難解な作品も解読しやすいよう脚注も豊富に掲載しました。
目次
Ⅰ恋の予感
Ⅱ恋の始まり
Ⅲ恋のいろいろ
1恋人よ
2恋する二人
3片恋
4恋の悲しみ
5恋のよろこび
6恋のゆらめき
7恋のせめぎ
8恋のおどろ
9結ばれた恋
Ⅳ恋の終わり
Ⅴ恋の思い出
Ⅵ恋とは畢竟
掲載歌人さくいん
前書きなど
短歌の源流を「万葉集」まで遡っても恋歌(相聞歌)は盛んです。心の感動を留めるものが短歌である以上、極めて自然なことです。わたくしたち人類は、異性を求め、交流を重ねる間の喜怒哀楽を極大な形から微細な動きまでを時代とともに歌い続けてきました。千三百年を辿ってみますと、それぞれの恋の歌には、それぞれに、時代のものの見方が滲んでいます。また、恋の対象は異性に限りませんので本書ではそちらにも視線を向けています。
これらを通観しながら、ここに、恋の短歌一〇〇〇首をまとめました。このこと自体無謀なことに違いありません。摩訶不思議な恋は、多くの人々に多様多彩な短歌を作らせました。人類が今日までに繰り広げた恋は数限りなく、その折々に発せられた歌の数は、それを大幅に上回りますから。
ここに、古代から今日までの色々な恋が一斉に光を放っています。メンバー六名が二年にわたってさまざまな知見を撚り合わせた産物です。企画に当たっては、先ず、大きな網を打ちました。古典にはじまる幾多の名著、あまたの青春歌集から昭和万葉集や評伝、加えて本著のための公募作に至るまで、多方面からの収集を始めました。また、全ての歌が恋歌であるような歌人の作品からは厳選する一方で、ほとんど恋歌のない歌人の歌集からは希少歌を発掘しました。
その上で、恋を、まず遠景から近景、そして再び遠景という構図の中に捉え直し、その無限の色彩を多彩のまま収めました。ジグソーの千のピースは全て相互に異なっています。虹は七色と言われていますが、それは便宜的にそう呼ぶだけのことであって、スペクトルの色合いは赤から紫までひと続き、実際には無限です。本書も十四の節に分けましたが、これも一連の無限のスペクトルを観点に沿って分けたに過ぎません。また、赤という同じ色相の中でも明るさの度合い、鮮やかさの度合いはさまざまです。七色を超えて赤外線、紫外線もあるかも知れません。まさに恋歌然としたものに混じって、喩から恋心を窺わせるものまで濃淡を楽しんでいただきたい。
掲載されている四八五名からなる一〇〇〇首を、ときには皆さんご自身の体験と、並べてみてください。もとより、恋と恋歌のあいだの相違も楽しみながら。「あるある」もある半面で、どの一首もピタリと当てはまらないかも知れません。
身近に置いていただき、折々さまざまな恋を追体験していただければ、これに勝る喜びはありません。多少の手引きを施しましたのでお役に立てていただければと思います。
コロナ禍もウィズコロナの時代に差し掛かり、世の中は大いに変わりつつあります。この中で、「変わりゆくもの」の中に「不変のもの」を見出していただければ幸いです。
上記内容は本書刊行時のものです。