書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
小児がん経験者の就労参加をひらく
新潟・愛媛に学ぶ協働プロジェクト
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年10月2日
- 書店発売日
- 2026年10月2日
- 登録日
- 2026年8月25日
- 最終更新日
- 2026年9月28日
紹介
医療の進歩により小児がんは治癒が期待できる病気となった一方で、治療後の就労や社会参加には多くの課題が残されている。本書は、地域における先駆的な実践をもとに、「支援」から「参加」へという視点で、ともに生き、働く共生社会のあり方を考える。
目次
はじめに
序章 就労参加をひらくとは
第1節 小児がん経験者の就労への焦点化
1 治療後の生活と就労をめぐる課題
2 「働くこと」の意味をともに探る
第2節 就労支援から「就労参加」のプロジェクトへ
1 当事者を起点とする就労参加
2 就労参加を担う多様なアクター
3 地域にひらかれる協働のプロジェクト
4 都道府県行政へのフィードバック
第3節 本書の構成
第1章 小児がん経験者の支援と関連政策の構造
第1節 研究動向の概観
1 長期フォローアップと学際的研究の進展
2 ライフステージに応じた自立支援と親子関係へのアプローチ
3 教育保障と職業的自立支援の模索
4 相談支援の研究の現状
5 小児がん経験者のウェルビーイングと福祉研究
第2節 関連分野の政策と課題
1 障害者雇用・福祉の概要と課題
2 難病・小児慢性特定疾病対策の概要と課題
3 関連分野のまとめ
第3節 小児がん経験者の就労支援と政策上の位置づけ
1 がん対策における関連施策
2 実施体制――国・都道府県など
3 厚生労働科学研究とプロジェクトとの関係
第2章 先行する実践と研究の設計――アクター間の相互作用への着目
第1節 就労参加における先行実践の概要
1 当事者の親のネットワークの形成
2 自立して生きていく力を育む就労参加プロジェクト
第2節 本研究の設計
1 本研究の目的
2 アクター調査の設計
3 2つの分析の軸――プロジェクトの地域比較と協議・協働の場
第3章 当事者アクターが立ち上げた「就労参加プロジェクト」
第1節 全国初の小児がん経験者の職業訓練(新潟)
1 当事者アクターの特徴――認定NPO法人ハートリンクワーキングプロジェクト
2 プロジェクトはどうマネジメントされたのか
3 「はーとりんく喫茶」の場
4 「支えられる人」から「支える人」へ――働きやすい環境を目指して 経験者A氏
第2節 地域協働で育むジョブプロジェクト(愛媛)
1 当事者アクターの特徴――認定NPO法人ラ・ファミリエ
2 プロジェクトはどうマネジメントされたのか
第3節 「就労参加プロジェクト」への研究アクターの参加
1 地域実践を全国へひらく研究アクター(愛媛)
2 施策化への道をともに歩む研究アクター(新潟)
第4章 企業アクターと当事者アクターとのプロジェクト開発
第1節 地域発プロジェクトにみる企業アクターとの協働(新潟)
1 地元企業と当事者アクターによる実践展開
2 雇用の現場からみえた可能性――小児がん経験者が持つ力
3 「心の支え」――みんなが笑顔に 経験者B氏
4 地域経済と支援がつながる場――商工会議所との協働可能性
第2節 地域発プロジェクトにみる企業アクターとの協働(愛媛)
1 コンソーシアムによる地元企業の連携と推進力――子どもたちに出会いをつくる協働の力
2 地域に根ざす“自分ごと”の種まき
3 治療と仕事の両立支援からみる企業の当事者性
第5章 行政アクターの参加促進に向けて――多様な協働の成果
第1節 2地域にみる行政アクターの取り組みと連携の可能性
1 新潟県における行政の動きと課題
2 愛媛県における行政との接点と展望
3 行政アクターとの連携にみる可能性
第2節 行政との関係形成を支える研究アクターの役割
1 がん対策の構造比較と行政参加の契機
2 行政アクターの参加によって広がるプラットフォーム
3 連携からみえる福祉研究アクターの役割と使命
終章 多様なアクターによる就労参加の協働――ともに生き、ともに働く共生社会をひらく
第1節 「就労参加プロジェクト」が生み出す〈協議・協働〉の相互作用
1 2地域のプロジェクトの展開
2 〈協議の場〉の機能と相互作用の累積
第2節 多様なアクターの役割と施策化プロセス
1 アクターの役割とアクター間・地域間の相互作用
2 施策形成プロセスへの影響
第3節 就労参加をひらくための展望
1 協議・協働を担う多様なアクターが育つ場を整える
2 多様なアクターとともに築く「就労参加プラットフォーム」
3 既存施策を活かし、連携・独自事業へと広げる
4 国制度の運用を問い直し、柔軟な仕組みへ
第4節 共生社会を形づくる研究課題
1 参加型調査による関係性変化の記述(参加型記述)
2 媒介・調整者としての研究アクター
3 施策形成研究の複眼的視点
4 就労参加を問い続ける――共生社会の基盤として
文献
索引
前書きなど
序章 就労参加をひらくとは
(…前略…)
第3節 本書の構成
本書は序章・終章を含め全7章で構成され、小児がん経験者の「就労参加」がどのように生み出され、地域の実践として育まれてきたのかをたどるものです。先駆的実践に学びながら、地域ごとの文脈のなかで取り組みがどのように展開されてきたのかを描きます。その道筋として、当事者の経験や願いを起点とする就労参加の実践に着目し、当事者・企業・行政・研究アクターの相互作用を通じて、地域実践が施策形成へと接続されていく過程を明らかにします。
第1章では、小児がん経験者の就労参加をめぐる支援の枠組みと関連政策の構造を整理します。研究動向と関連施策の概要を踏まえ、就労参加をめぐる政策的課題を明らかにします。第2章では、当事者や家族の実践の展開過程を概観し、それが「就労参加プロジェクト」へとつながっていく経緯を描きます。また、本研究の設計と、当事者・企業・行政・研究アクターが相互に影響し合うアクター調査の方法と意義を示します。
第3章では、新潟県と愛媛県における当事者アクター発の取り組みを描き、地域で取り組みが形づくられるプロセスを明らかにします。第4章では、企業アクターとの協働によるプロジェクト形成を取り上げ、「ともに働く」経験を通じて築かれる関係性と協働の可能性を考察します。第5章では、行政アクターの参加と連携のあり方に着目します。2地域の比較を通じて、地域の独自性を活かした都道府県レベルでの政策的展開の可能性を探ります。
終章では、小児がん経験者の「働くこと」を支える協働の形を再構成し、共生社会に向けた実践や政策的課題を整理します。「協議の場」がもたらす相互作用や支援の広がりに注目しつつ、全国への展開可能性について展望します。また、研究アクターの役割と課題を整理し、今後の実践と知の循環のあり方を示します。
本書は、こうした実践と理論の接点を浮かび上がらせながら、小児がん経験者とともに「働くこと」を支える社会のあり方を問い、地域から支え合いの仕組みを育んでいくための一つの足場となることを目指します。
上記内容は本書刊行時のものです。
