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黒人たちのイギリス史
忘れられたグローバル・ヒストリー
原書: Black and Britigh: A Forgotten History
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年3月15日
- 書店発売日
- 2026年3月4日
- 登録日
- 2026年2月5日
- 最終更新日
- 2026年3月2日
紹介
イギリスでは早くも古代ローマ時代から、黒人が連綿と歴史を紡いできた。しかし奴隷貿易の時代が始まると、いつしかblackとbritishという二つの形容詞は共起不可能とまで言われるようになっていた――。黒人たちのイギリス史とは、単なる一国史に留まらないグローバルな歴史である。
目次
序文
序章 「彼方をさまよった幾年月」
――パウエルの理想の過去に反して黒人たちのイギリス史を紡ぐ
第一章 「ハムの息子たち」
――アフリカ人との遭遇、ローマ期から大航海時代までの三~十六世紀
第二章 「ブラックムーアたち」
――チューダー朝期・スチュアート朝期の黒人イギリス人、十六~十七世紀
第三章 「黒人または犬用の」
――ジョージ朝期の黒人イギリス人、十八世紀
第四章 「澄みすぎるイングランドの空気は奴隷には吸えない」
――ジョージ朝期の奴隷制訴訟、一七六五~七二年
第五章 「自由の国」
――アメリカ独立戦争からシエラレオネ植民地の建設へ、一七七二~一八〇七年
第六章 「怪物は死んだ」
――イギリス帝国における奴隷制の廃止、一七七二~一八三八年
第七章 道徳的使命
――全世界での奴隷制廃止を目指して、一八四〇年~十九世紀後半
第八章 「解放アフリカ人たち」
――イギリスによる奴隷貿易制圧作戦、一八〇七~八〇年
第九章 「綿花は王である」
――アメリカ深南部奴隷制との関係、一八三〇~六〇年代
第十章 「殺戮の中には慈悲がある」
――ジャマイカのモラント・ベイ反乱、一八六〇年代
第十一章 「最暗黒のアフリカ」
――アフリカ分割とアフリカ人の展示、十九世紀末
第十二章 「私たちは有色人の帝国」
――第一次世界大戦ヘの黒人の参戦、一九一〇年代
第十三章 「あたしたちはあの人たちの肩を持つよ」
――第二次世界大戦中の黒人米兵、一九四〇年代
第十四章 「乗っ取られる」
――第二次世界大戦後の入移民問題、一九四〇年代末~八〇年代
第十五章 「敵対的な環境」
――オリンピック開会式からBLM運動まで、二〇一〇~二〇年代初頭
結語
謝辞
解題
原注
参考文献
索引
前書きなど
序文
(…前略…)
本書は実験的な試作の書である。もしも黒人たちのイギリス史がグローバル・ヒストリーとして、さらには、もっと論争を呼ぶことにもなるが、単なる黒人の経験そのものを超えた歴史として見なされるならば、いかなる新たな物語と方法が姿を現してくるのかを見ようとする試みである。かくも長い時間枠を取り、かくも広いキャンバスに描かれる単一の著作はいかなるものであれ、それぞれのテーマや専門分野の複雑さやニュアンスのすべてを伝えることはできない。それゆえに私は、参考文献表と各章末の注を手がかりに読者が他の著作に向かってくれることを望んでいる。本書をほどほどの分量にするために私は黒人史に登場する重要人物の伝記は手短にしておく選択もした。現代の書き手がこれらの伝記を単にスケッチするだけで済む立場にあるということは、他を探せば、あれほど感動的に詳述された伝記が既にあるからである。これにはありがたく思う。私はまた先行する著作が徹底して取り上げた分野は避けようともした。ピーター・フライアーやハキム・アディをはじめとする歴史家たちが汎アフリカ主義や黒人急進主義の歴史をあれほど鮮やかに探求したので、こうした歴史にはおおかた触れないままにした。同様に、イギリス領カリブ海と北アメリカにおけるプランテーション奴隷制の歴史や仕組みにも若干触れたに過ぎない。黒人たちのイギリス史に内在する問題の中には乗り越えられないものもある。知らないことのリストは苛立たしくなるほど長くなっている。黒人の最重要人物の多くは、文書資史料の欠如のために無言か沈黙させられている。ジェンダー関連の問題もある。強制移民と自発移民の両方の移民によっておおかたが形成された歴史は不釣り合いなほど男性に片寄っている。大西洋奴隷貿易にあって、男性奴隷は女性奴隷よりも価値があった。従僕として働かせるか、金持ちの家にエキゾティックな珍奇商品として売り飛ばすために黒人の子供をイギリスに運んだ奴隷船の船長は黒人の少女より少年を好んだし、イギリス海軍に従軍して帝国じゅうに張り巡らされたのは黒人女性ではなく黒人男性だった。同じようにアフリカ人の王や首長たちも娘たちではなく息子たちをリヴァプールやロンドンの学校に留学させた。これによって、黒人たちのイギリス史の歴史家には黒人女性の声を位置づけ再現する課題が浮上している。
黒人たちのイギリス史について著述するすべての人と同様、私も先行する他の人びとの著作、観察、調査、洞察に恩恵を受けている。フライアー、ウォルヴィンその他の開拓者的な仕事と何か共通するものがあるとしたら、それはイギリスがその過去のあらゆる側面に立ち向かえる国であり、そうすることでより良き国になれる国であるという確信の中で書かれているということである。
上記内容は本書刊行時のものです。
