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多文化間カウンセリング・ハンドブック
異なる文化的背景をもつクライアントの支援のために
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年1月15日
- 書店発売日
- 2026年1月9日
- 登録日
- 2025年12月9日
- 最終更新日
- 2025年12月22日
紹介
精神科医、臨床心理士、公認心理師、各種カウンセラー、精神保健福祉士、看護師など、対人援助に携わる心理臨床専門家を対象に、日本ではあまり馴染みのない多文化間カウンセリングの知識や気づき、技術の獲得を目的とした実践的ハンドブック。
目次
はじめに
第1章 自己の文化を知り、気づきを得る
1 文化とは
2 文化に気づく
3 自己の文化への気づき
4 多文化とは
5 文化の交差性
第2章 多文化関連領域
1 マジョリティとマイノリティ
2 差別と偏見
3 特権
4 カルチャーショック
5 アカルチャレーション
第3章 多文化間カウンセリング・コンピテンス(MCC)とは
1 多文化領域の発展
2 多文化間カウンセリングとは
3 コンピテンスと多文化間カウンセリング・コンピテンス
4 なぜ多文化間カウンセリング・コンピテンスが必要か
5 多文化間カウンセリング・コンピテンスを測定する
6 日本語版MCI:多文化間カウンセリング尺度
7 日本語版MCIの使用方法と留意点
第4章 多文化間カウンセリングの理論
1 Sue & Sueモデル
2 Sue & Sueモデルの限界と課題
第5章 日本のカウンセリングにおける「多文化」とは?
1 カウンセリングにおける身近な「多文化」
2 外国人・難民支援
3 性的マイノリティ支援
4 障がい者支援
5 多文化間カウンセリングで使える臨床ツール
第6章 MCC獲得と向上のために
1 コンピテンスの獲得とは
2 気づきのトレーニング
3 知識のトレーニング
4 技術のトレーニング
5 関係性のトレーニング
6 因子間の関連性
第7章 MCCを獲得し向上するトレーニング
1 トレーニングを企画する
2 トレーニングの事例
3 トレーニングの効果
4 プログラム化されたトレーニングで学ぶメリット
まとめ
引用文献
前書きなど
まとめ
本書では、多文化間カウンセリングに必要な視点と実践について、多角的に学びを深めてきた。
第1章では、「文化」とは何かという基本的な概念から出発し、すべての人が多文化的存在であるという前提に立ったうえで、自らの文化的背景に気づき、他者との違いを理解する重要性を確認した。また、文化的要素が複雑に交差して個人を形作るという「交差性」の視点を通じて、表面的な属性にとらわれない多文化理解の基盤を築いた。
第2章では、マジョリティとマイノリティ、差別や特権、アカルチャレーションなどの多文化近隣領域に焦点を当て、心理臨床家として必要な社会的・歴史的文脈への理解を深めた。対人援助職としての倫理的姿勢や、自身の文化的バイアスに省察的に向き合うことの必要性についても、あらためて認識した。
第3章では、多文化間カウンセリング・コンピテンス(MCC)の定義や意味について理解を深めた。MCCは、支援者が文化的に適切で倫理的な援助を行うために欠かせない枠組みであり、感覚的な態度にとどまらず、測定可能な臨床的スキルとして捉える視点が重要であることを確認した。
第4章では、MCCの理論的基盤として広く参照されてきた、Sue & Sueモデルを取り上げ、その3要素――「カウンセラーの、自己の文化やバイアスに対する気づき」「カウンセラーの、クライアントの世界観への気づき」「文化的に適切な心理学的援助ストラテジー(戦略)」――を中心に、MCCに必要な態度・知識・技術の統合的理解を促した。あわせて、このモデルを日本の臨床文化に適用する際の課題や補完の視点についても検討した。
第5章では、日本の臨床場面における「多文化」として、外国人、難民、性的マイノリティ、障がい者といった多様な背景をもつクライアントへの支援を取り上げ、それぞれの支援に活用可能な6つの臨床ストラテジーを学んだ。文化的理解が不十分であることを自覚し、必要に応じて他の専門家にリファーする判断も、臨床家としての誠実な実践のひとつであることを確認した。
第6章では、MCCを構成する4つの因子──「気づき」「知識」「技術」「関係性」──それぞれに対応したトレーニングの特徴と方法について学んだ。トレーニングは単なる知識習得ではなく、省察や実践、相互作用を通じてMCCの基盤を育むものであり、因子間の相互作用によってより深い理解と支援力の向上が可能になることが示された。
第7章では、実際に実施されたMCC向上のためのトレーニングやプログラムの事例を通じて、系統的なトレーニングの有効性を確認した。短期集中型ワークショップや通年ゼミを通じて、MCIスコアが有意に向上したことは、経験則に頼らない教育的介入の効果を示す実証的な根拠となった。また、プログラム化されたトレーニングには、目的と到達目標が明確であること、効果が可視化されること、組織的に普及しやすいことなど、多くの利点があることがわかった。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。
