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チェコを知るための60章
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年3月30日
- 書店発売日
- 2024年4月9日
- 登録日
- 2024年3月12日
- 最終更新日
- 2024年5月27日
紹介
プラハ城をはじめ数々の歴史遺産が現代に息づくチェコ。チェコスロヴァキア独立運動から社会主義化・崩壊への道、EU加盟から現在の政治動向までを明解に描き出し、特に個性あふれるチェコの芸術・文学等に焦点をあて大幅にグレードアップしたチェコ理解の必読書!
目次
はじめに
地図「チェコとその周辺諸国」
Ⅰ 中世~近世のチェコ
第1章 国土と名称――なかなか複雑な歴史的由来
第2章 中世ヨーロッパとチェコ――モラヴィア国家からプシェミスル朝時代まで
第3章 ルクセンブルク朝とチェコ――帝国辺境から皇帝の本領へ
第4章 中世・近世の宗教事情――フス派戦争とその後
【コラム1】ヤン・フス
【コラム2】コメニウス 売りは教育だけじゃない
第5章 ハプスブルク朝とチェコ――中世にさかのぼる長年のお付き合い
【コラム3】ルドルフ2世とプラハ
第6章 中・近世の都市と農村――庶民が生きた世界
第7章 啓蒙主義の時代――上からの改革、そして郷土への関心
Ⅱ チェコ近代社会の形成
第8章 民族再生――現代チェコ文化の創造と「チェコ史の意味」
第9章 19世紀の社会と政治――「近代化」のなかを生きた人々
第10章 チェコ人のための政治の理想と現実――19世紀末から20世紀初頭のチェコ政党政治
第11章 モラヴィア――国になりきれなかった国
【コラム4】オロモウツ
【コラム5】オストラヴァ
第12章 女性の社会進出――「婦人のアメリカン倶楽部」の足跡をたどって
第13章 女性に教育を!――中等教育における女子ギムナジウム・ミネルヴァ設立の歩み
第14章 チェコ近代社会における芸術の制度化――ナショナルな対立の狭間で
第15章 第一次世界大戦と独立運動――マサリクと国外の義勇軍
第16章 「帝国の記憶」――聖マリア柱像の破壊と「復活」
【コラム6】チェコ芸術界におけるミュシャ/ムハ
Ⅲ チェコスロヴァキア共和国
第17章 第一共和国の政治――1920年憲法と議会政治
第18章 第一共和国時代の外交――ヴェルサイユ体制とベネシュ
第19章 ドイツ人のチェコ――いくつもの層が織りなすドイツ人とチェコ人の歴史
第20章 チェコのユダヤ人――1000年の歴史、破壊、再生
第21章 ポトカルパツカー・ルスとチェコスロヴァキア――チェコスロヴァキアの「文明化」の使命
第22章 第一共和国のジャーナリズム――女性向け紙面の拡充と女性ジャーナリスト
第23章 第二次世界大戦期のチェコスロヴァキア――亡命政権と国内のレジスタンス
【コラム7】体操は民族の魂?――ソコル運動とナショナリズム
第24章 新しい社会を目指して――共和国復興からスターリン主義社会主義へ
第25章 プラハの春と「正常化体制」――社会主義改革の試みから「反政治の政治」へ
第26章 冷戦期の社会政策――家族・住宅政策を例に
第27章 社会主義体制下におけるポピュラー音楽と政治――抵抗の手段か、権力者の道具か
第28章 チェコスロヴァキア主義――マルチ・ナショナルな国家における1つの概念の歴史
Ⅳ 体制転換以降
第29章 体制転換と連邦解体――社会主義の連邦共和国からチェコ共和国へ
第30章 チェコ共和国としての歩み――連邦解体後の政治的展開
第31章 地方自治――その特徴と歴史的変遷
第32章 経済体制――好調だが重要課題も
【コラム8】日本との経済的関係
【コラム9】クラスリツェ 楽器の街の盛衰記
第33章 チェコのロマ――シンティ呼称の追加は共生への転機となるか?
第34章 チェコと難民・移民問題――「ウクライナ戦争」は難民・移民政策変更の契機となるのか?
第35章 社会主義期の記憶と表象――映画『ペリーシュキ』は人々にどのように受容されたのか?
第36章 都市のモニュメント――記念碑に秘められた数々の物語
【コラム10】ブルノ地下に隠れた魅力
【コラム11】チェスキー・チェシーン
Ⅴ 文化・芸術
第37章 チェコ語はどのような言語か――系統・屈折・情報構造
【コラム12】チェコ語とスロヴァキア語の微妙な関係――紛らわしい話
第38章 チェコ語文学の始まり――スラヴ語、ラテン語、ドイツ語に囲まれて
第39章 19世紀の文学――翻訳、辞書、民話、そして純文学へ
第40章 20世紀前半の文学――ロボット、ポエティスム、そしてユダヤ文学
第41章 戦後の文学――チェコ文学から見たミラン・クンデラ
第42章 現代文学――越境する作家たち
第43章 社会主義時代から続く豊かな児童文学の世界――昔話の上に成り立つ自由な発想の子どもの本
第44章 プラハのドイツ語文学――「紙のドイツ語」で書いた(?)作家たち
【コラム13】日本在住のチェコ人たち
第45章 ジャポニズム――想い描かれるドリームランド、ニッポン
第46章 中世美術――ボヘミアの地霊が愛せしゴシック
第47章 チェコ近代芸術の発展――地域性の内外を往還しながら
第48章 20世紀以降の造形芸術――日常性の中のポエジー
第49章 クラシック音楽(1)――古典派からロマン派へ
第50章 クラシック音楽(2)――国民楽派とその後
第51章 演劇――わが故郷を作る劇場はいずこ
第52章 チェコの人形劇――伝統に根付くチェコの無形文化遺産
第53章 映画――市井の人々を映す
【コラム14】チェコの切手のあゆみ
第54章 チェコ・コミック――チェコ近代史とともに歩む
第55章 建築――ロマネスク建築から「ダンシング・ハウス」へ
第56章 チェコ写真の系譜――内省的なモノクローム
第57章 工芸――ガラスと陶磁器
【コラム15】チェコの藍染め
第58章 チェコのサッカー――オーストリア・ハンガリー帝国時代からビロード離婚後まで
【コラム16】チェコのアイスホッケー
第59章 食文化――伝統と進化
第60章 ビール――「典型的」なチェコの世界
チェコをもっと知るための参考文献
おわりに
前書きなど
はじめに
チェコ共和国を訪れる人たちの多くは、まず、首都プラハに代表されるような風格のある都市景観に惹きつけられるだろう。北海道とほぼ同じ面積の国土のいたるところに、この国がたどってきた歴史が深く刻みこまれている。個性的な音楽・美術・文学など、豊かな文化を誇る国としても知られている。
チェコは、第一次世界大戦が終了してハプスブルク君主国が崩壊した1918年から1992年末まで、スロヴァキアとともにチェコスロヴァキアという国を形成していた。1969年からは連邦制をしいていたが、連邦を解体した結果、1993年1月1日にチェコ共和国とスロヴァキア共和国という2つの独立国が誕生した。筆者は2003年に本書と同じエリア・スタディーズの1冊として、『チェコとスロヴァキアを知るための56章』という編著をまとめて、この2つの国を紹介した。これはいわば本書の前身にあたる。
チェコスロヴァキアは、冷戦期には社会主義陣営の一員として共産党による事実上の一党独裁体制を続けてきたが、1989年に体制転換を果たして民主化を実現させた。連邦解体後のチェコとスロヴァキアは、ほぼ順調に政治・経済・社会の変革を進め、2004年にそろってEU(ヨーロッパ連合)に加盟した。『チェコとスロヴァキアを知るための56章』刊行はその前年にあたる。「ヨーロッパの普通の民主主義国」への転換(あるいは回帰)という目標にようやくたどり着いたという時期であり、長期間の加盟交渉にともなう疲れも多少見えたものの、ともかく一種の達成感のようなものは漂っていた。この2つの国について、基本的な事項をまとめて1冊の本を作ってみるにも、ちょうど良いタイミングだったと思う。
その後早くも20年近くの時間が流れ、筆者は再び明石書店から、そろそろ内容を一新させた本を作ってはどうでしょうかという相談をいただいた。そこで新たな構想を練り、執筆を依頼できそうな方々に内々に連絡をとっていたところ、その1人の長與進氏から、今回はチェコとスロヴァキアを分けて別の本にしませんかという提案を受けた。確かに、両国とも自立した国としての道を30年近く歩んでいるわけだから、エリア・スタディーズだけいつまでも連邦を続けなければならない理由はない。明石書店もこの分割案を了承して下さったので、長與氏がスロヴァキアを、筆者がチェコを担当して、それぞれ1冊の本を作ることになった。
今回は本全体をチェコにあてることができるので、それだけ多様なテーマを扱えるし、特に2000年代に入ってからの新しい話題も取り込むことになる。しかし筆者の専門領域は中世やハプスブルク朝期など古い時代の歴史なので、あまりそうした事情に詳しくない。そこで、近・現代チェコの文化に造詣の深い阿部賢一氏に共同編集として加わっていただき、これでようやく作業も進むことになった。スロヴァキアの側でも、文化人類学を専門とする神原ゆうこ氏が共同編集として加わった。結果として4名で、適宜、情報交換しながら新しく2つの本を作ることになった。したがって、昨年(2023年)すでに出版された『スロヴァキアを知るための64章』と本書は、姉妹編のような関係にある。
本書の刊行の時点で、体制転換から35年近く、連邦解体から約30年という長い時間が流れた。その間、少なくともチェコという国自体を揺るがすような大きな変動は起きていない。チェコスロヴァキア共和国成立以来、激動の現代史をくぐり抜けてきた国としては、これは異例のことである。とはいえ、目につかない部分でチェコ社会は刻々と変化し、人々の意識も変わりつつある。冷戦期について実体験としての記憶を持たない人たちが、社会の中枢で活躍するようになった。そして何より、チェコを、そしてヨーロッパを取りまく国際情勢は大きく変動しつつある。当然、自分たちの国を見つめる視線にも微妙な変化が感じられる。
本書では、このような2000年代以降の新たな状況に注目して研究を進めている方々や、現地で活躍されている方々にも執筆を依頼して、それぞれの視点からチェコについて論じていただいた。各章は独立しており、執筆者が独自の観点から語るという体裁をとっている。本書全体でこの国について一貫した統一的な姿を描くことは、あまり意図していない。国の成り立ちや歴史的由来などについては主に前半でとりあげているので、こちらから読み進んでいただければわかりやすいかもしれないが、基本的には、好みに合わせて、どの章から読んでいただいてもかまわない。
(…後略…)
追記
【執筆者一覧】
浅岡健志朗(あさおか・けんしろう)
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程、専門は言語学、意味論。
阿部賢一(あべ・けんいち)※編著者紹介を参照。
池本修一(いけもと・しゅういち)
在チェコスロバキア日本国大使館専門調査員、日本大学経済学部教授などを経て同特任教授。主な著作として『体制転換における国家と市場の相克』(編著、日本評論社、2021年)など。
石田裕子(いしだ・ひろこ)
東欧近代史専攻。
市川敏之(いちかわ・としゆき)
東京外国語大学大学院修了、カレル大学国費留学、チェコ政府観光局公認チェコ応援サポーター2024、学芸員、切手収集家。
大野松彦(おおの・まつひこ)
東京藝術大学大学院美術研究科博士課程修了。博士(美術)。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、立教大学他で非常勤講師。主著に『黙示録の美術』(共著、竹林舎、2016年)、『祈念像の美術』(共著、竹林舎、2018年)。
大平陽一(おおひら・よういち)
天理大学名誉教授。著書に『ロシア・サッカー物語』(東洋書店、2002年)、編著書『自叙の迷宮:近代ロシア文化における自伝的言説』(水声社、2018年)、編訳書『子どもたちの見たロシア革命:亡命ロシアの子どもたちの文集』(松籟社、2019年)。
大坪晶(おおつぼ・あきら)
写真家・美術家、和光大学表現学部芸術学科准教授。プラハ工芸美術大学ファインアーツ学科写真専攻修了、東京藝術大学大学院美術研究科先端表現芸術専攻修了、京都文教大学人間学部臨床心理学科卒業。
小川里枝(おがわ・りえ)
チェコ工芸研究家、ヴィオルカ主宰。学芸員として「ボヘミアガラスの100年展」(高崎市美術館)を担当、その後『ミュシャ展』(国立新美術館)等の展覧会準備および翻訳に携わる。2014年よりヴィオルカを通じてチェコの伝統工芸を日本に紹介している。訳書に『藍染めのアポレンカ』(求龍堂、2023年)。
川島隆(かわしま・たかし)
京都大学文学研究科准教授。ドイツ文学を専門とするかたわら、ジェンダー論やメディア論を研究している。主な著書に『カフカの〈中国〉と同時代言説』(彩流社、2010年)、主な訳書にフランツ・カフカ『変身』(角川文庫、2022年)など。
木村有子(きむら・ゆうこ)
チェコ児童文学の翻訳家。幼少期プラハで暮らす。翻訳書に『こいぬとこねこのおかしな話』『長い長い黒猫の話』『火の鳥ときつねのリシカ』『きつねがはしる』など。エッセイに『チェコのヤポンカ私が子どもの本の翻訳家になるまで』がある。
京極俊明(きょうごく・としあき)
豊田工業高等専門学校准教授。「二重帝国期のオーストリアにおける言語境界地域での初等教育と民族問題」(『歴史学研究』874号、2010年、1-11頁)、「多民族帝国における多重言語能力の育成―モラヴィアにおける民族言語の相互習得をめぐる論争より―」駒込武、橋本伸也編『帝国と学校』(昭和堂、2007年、65-91頁)。
桐生裕子(きりゅう・ゆうこ)
神戸女学院大学文学部准教授。主要業績:『近代ボヘミア農村と市民社会─19世紀後半ハプスブルク帝国における社会変容と国民化』(刀水書房,2009年)、「帝国の遺産―チェコスロヴァキアの行政改革の事例から」(大津留厚編『「民族自決」という幻影 ハプスブルク帝国の崩壊と新生諸国家の成立』昭和堂、2020年)。
坂田敦志(さかた・あつし)
1980年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科特別研究員。文化人類学、中東欧地域研究。主な論文に、「ポスト社会主義のトリックスター:チェコ共和国におけるポスト社会主義からポスト社会主義以後への移行の契機」(『文化人類学』87巻1号、2022年)などがある。
薩摩秀登(さつま・ひでと)※編著者紹介参照。
佐藤ひとみ(さとう・ひとみ)
東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程。業績として、「正常化体制期における「チェコスロヴァキア主義」―1980年代のスロヴァキア知識人による歴史議論」(『東欧史研究』第44号、2022年)、「1980年代後半のスロヴァキア作家同盟におけるスロヴァキア・ネイション論」(『クァドランテ』第26号、2024年)。
佐藤雪野(さとう・ゆきの)
東北大学大学院国際文化研究科・准教授。関連業績:「チェコ共和国における外国人住民の現状と難民問題」『国際文化研究科論集』(29、2021年、87-94頁)、「チェコとスロヴァキアのロマ」『思想』(1056、2012年、92-106頁)。
篠原琢(しのはら・たく)
東京外国語大学教授、カレル大学哲学部で歴史学PhD.取得。主要業績:『ハプスブルク帝国政治文化史』(共編著、昭和堂、2012年)、『民族自決という幻想』(共著、昭和堂、2020年)、『岩波講座世界歴史21二つの大戦と帝国主義II』(岩波書店、2023年)など。
須川忠輝(すがわ・ただてる)
三重大学人文学部講師。主要業績:「体制転換後のスロヴァキアの地方自治―中央集権か地方分権かをめぐって」(長與進、神原ゆうこ編『スロヴァキアを知るための64章』明石書店、2023年)、「出先機関の制度設計:民主化後のスロヴァキアにおける地方行政の展開」(『年報政治学』2022-Ⅰ、2022年)。
須藤輝彦(すどう・てるひこ)
東京大学助教。東京大学大学院博士課程修了。著書に『たまたま、この世界に生まれて──ミラン・クンデラと運命』(晶文社)。一般向けの読み物として、集英社新書プラス、webゲンロン、『文学+』WEB版などにも寄稿している。訳書にアンナ・ツィマ『シブヤで目覚めて』(河出書房新社、阿部賢一との共訳)など。
相馬伸一(そうま・しんいち)
佛教大学教育学部教授。筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。博士(教育学)。主著に『教育思想とデカルト哲学』(ミネルヴァ書房、2001年)、『ヨハネス・コメニウス』(講談社選書メチエ、2017年)、『コメニウスの旅』(九州大学出版会、2018年)。
高松美織(たかまつ・みお)
フランス語通訳、翻訳家。邦訳した『ぺピーク・ストジェハの大冒険』のクラウドファンディング企画が成立し、2023年に日本初のチェコ・コミックとしてサウザンブックス社から出版された。
チャプコヴァー、ヘレナ(Čapková, Helena)
プラハ生まれ。立命館大学グローバル教養学部准教授。チェコ共和国・カレル大学哲学部日本学科・美術学院卒、ロンドン大学修士課程修了。ロンドン芸術大学TrAIN研究センターで博士号取得。早稲田大学国際教養学部助教を経て現職。編著書に『日本におけるアントニン・レーモンド 1948-1976――知人たちの回想』(Aula、2019年)など。
デブナール、ミロシュ(Debnár, Miloš)
1979年生まれ。龍谷大学国際学部国際文化学科准教授。社会学、移民研究。
富重聡子(とみしげ・さとこ)
一橋大学大学院言語社会研究科博士課程。東京外国語大学非常勤講師。論文「飛行機を見上げる:ヴラーチル『ガラスの雲』における人物の視線」(『言語社会』16号、一橋大学言語社会研究科、2022年)など。
豊島美波(とよしま・みなみ)
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程。訳書にヴァーツラフ・ハヴェル『通達・謁見』(共訳、松籟社、2022年)、論文に「ヴァーツラフ・ハヴェルの戯曲における『書くこと/署名』のモチーフ」(『スラヴ学論集』第27号、2024年)など。
中田瑞穂(なかだ・みずほ)
明治学院大学教授。主要業績『「農民と労働者の民主主義」―戦間期チェコスロヴァキア政治史』(名古屋大学出版会、2012年)、網谷龍介・上原良子・中田瑞穂編『戦後民主主義の青写真―ヨーロッパにおける統合とデモクラシー』(ナカニシヤ出版、2019年)など。
中辻柚珠(なかつじ・ゆず)
京都大学文学研究科非常勤講師。主な業績に「二〇世紀転換期プラハにおける芸術界とナショナリズム―マーネス造形芸術家協会を中心に」(『史林』104-6、2021年、1-35頁)、『ナショナリズムとナショナル・インディファレンス―近現代ヨーロッパにおける無関心・抵抗・受容』(共訳、ミネルヴァ書房、2023年)。
中根一貴(なかね・かずたか)
大東文化大学法学部政治学科教授。ヨーロッパ政治史、東中欧地域研究。主な業績『政治的一体性と政党間競合―20世紀初頭チェコ政党政治の展開と変容』(吉田書店、2018年)。
長與進(ながよ・すすむ)
早稲田大学名誉教授。スロヴァキアの歴史と言語。主な著作は『チェコスロヴァキア軍団と日本』(教育評論社、2023年)、〔共編〕『スロヴァキアを知るための64章』(明石書店、2023年)など。
西田泰代(にしだ・やすよ)
福岡県生まれ。チェコ在住、陶芸家。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科陶芸専攻卒業。複数のチェコの陶芸シンポジウム参加経験の後、チェコへ移住。Vladimir Grohと共同制作。滋賀県立陶芸の森、景徳鎮陶渓川国際工作室、ハンガリー・ケチケメート国際スタジオなどのレジデンス招聘作家。磁器制作を通して国際的に活動。
林忠行(はやし・ただゆき)
北海道大学名誉教授、東欧比較政治、東欧国際関係史、チェコスロヴァキア史専攻。著書:『チェコスロヴァキア軍団―ある義勇軍をめぐる世界史』(岩波書店、2021年)など。
林由未(はやし・ゆみ)
人形作家、人形劇舞台美術家。神奈川県横浜市生まれ。東京藝術大学大学院デザイン科2004年に修了。2010年にプラハ芸術アカデミー演劇学部人形劇舞台美術科修了。現在、プラハ在住。チェコ・日本にとどまらず、世界の劇場で活躍の場を広げる舞台芸術家。
パーレニーチェク、ジャン=ガスパール(Páleníček, Jean-Gaspard)
文筆家、美術展企画アドヴァイザー。チェコ国立文学館職員。日本の日常を描いたコミック『Iogi 井荻』(第15回日本国際漫画賞入賞)原作者。「チェコ・コミックの100年展」(2017~18年)では、日本で初めてチェコ・コミックを体系的に紹介した。
半田幸子(はんだ・さちこ)
東北大学大学院情報科学研究科特任助教(研究)、戦間期チェコを中心とした中欧メディア文化、特にファッション・メディア。『戦間期チェコのモード記者ミレナ・イェセンスカーの仕事―〈個〉が衣装をつくる』(春風社、2023年)。
平野清美(ひらの・きよみ)
カレル大学卒。訳書に『チェコSF短編小説集』(編訳)(平凡社)、フラバル『時の止まった小さな町』、シュクヴォレツキー『二つの伝説』(共訳)(以上、松籟社)など。
福田宏(ふくだ・ひろし)
成城大学法学部准教授。チェコとスロヴァキアの近現代史と政治。主要業績:「東欧のロック音楽と民主主義」中野聡・木畑洋一編『岩波講座 世界歴史第23巻 冷戦と脱植民地化II:20世紀後半』(岩波書店、2023年)など。
藤井真生(ふじい・まさお)
静岡大学人文社会科学部教授。主な業績:『中世チェコ国家の誕生』(昭和堂、2014年)、ヴァーツラフ・フサ『中世仕事図絵』(翻訳、八坂書房、2017年)。
ブルナ、ルカーシュ(Bruna, Lukáš)
実践女子大学文学部国文学科准教授。共著に『チャペック兄弟とその時代』(日本チェコ協会、2017年)、論考に「東洋と西洋の架橋──〈異界〉への扉を開くジャポニズム文学」(『文学+』02号、2020年)などがある。
森下嘉之(もりした・よしゆき)
茨城大学人文社会科学部准教授。主要業績:『近代チェコ住宅社会史――新国家の形成と社会構想』(北海道大学出版会、2013年)、「社会主義期チェコスロヴァキアにおける高層住宅団地の建設政策の歴史的意味――1960-80年代を中心に」『東欧史研究』(45号、2023年、86-94頁)。
上記内容は本書刊行時のものです。