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自閉症の人の機能的行動アセスメント(FBA)
問題提起行動を理解する
原書: Functional Behavior Assessment for People With Autism: Making Sense of Seemingly Senseless Behavior
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年11月30日
- 書店発売日
- 2023年12月1日
- 登録日
- 2023年10月23日
- 最終更新日
- 2023年12月22日
紹介
破壊、暴力、自傷行為……、なぜかれらはこのような行動をとるのでしょうか。本書では、社会的に好ましくないとされる問題提起行動の発生理由と強化原因の分析をはじめ、問題提起行動を減少させ、適切な行動を増やすための評価・介入・測定といったアセスメント技法(FBA)の概要を解説します。あらゆる年齢層の人に有効で、親・教師・支援者が家庭や学校で活用できるFBAの実践書です。
目次
はじめに
第1章 問題提起行動はなぜ生じるのか
第2章 行動はいかに学習されるか
第3章 着手:機能的行動アセスメントを完了するための最初のステップ
第4章 行動の測定
第5章 誰が何を知っているかを知る
第6章 観察タイム
第7章 仮説の検証
第8章 代替アセスメント・モデル
第9章 すべてをまとめる:アセスメント・プロセスの要約
第10章 ついに行動の機能が分かった:では、どうする?
第11章 特別な状況とトラブル解決作業
文献
付録A 行動頻度記録データシート
付録B 行動持続時間データシート
付録C 行動潜時データシート
付録D 行動強度測定用データシート
付録E タイム・サンプル・データシート
付録F 永続的所産データシート
付録G A-B-Cデータシート
付録H 記述分析データシート
付録I 同意書
付録J AB機能分析データシート
付録K 先行操作データシート
付録L 機能分析データシート
索引
訳者あとがき
著者紹介・訳者紹介
前書きなど
はじめに
(…前略…)
前述の4人の子どもの行動は、自閉スペクトラム障害の子どもに見られる行動問題の、ほんの数例です。あなたが関わっている子どもは、不服従、不注意、反復行動、あるいはその他の問題を、あなたに突き付けているのかもしれません。生命を脅かすおそれのある行動もあれば、単にいらだたしいだけの行動もあります。器物損壊につながるおそれのある行動もあれば、家族や友人との関係を破綻させるおそれのある行動もあります。親によっては、これらの行動は、子どもの障害を常に痛烈に思い出させるものですし、別の親にとっては、子どもを地域社会に参加させる際の不断の障壁となるかもしれません。
それぞれの行動は、他の行動とは全く異なっているように見えますが、共通している部分があります。上記の各行動は、何の意味もないように思えます。これらの行動を取っている子どもは、テレビの視聴時間から他児との好ましいやり取りに至るまで、その子どもが大切にしているものを失いますが、それでもその行動を取るのです。アンソニーの頭突きなどの行動は、非常に苦痛であるように見えるのですが、それでもその行動は持続します。
これらの子どもたちをケアし、その安全と幸福を願い、友人や最愛の人たちに十分恵まれることを切に望む人たちにとって、これらの行動は、非常にいらだたしいものとなり、この子どもたちがいる場所と、子どもたちにいてほしいと私たちが望む場所との間の障壁になることがよくあります。本書の目的は、これらの障壁を取り除くのを助けることです。本書は、読者がこれらの厄介な行動が、どのようにして、そしてなぜ生じるのかを特定するとともに、それらを取り除く方法の基本を学ぶことを手助けするものです。さらに本書は、投薬を必要とする特定の行動(チック症など)には役立ちませんが、根底にある医学的問題の一部である行動と行動支援に反応する行動との区別を学ぶことには役立ちます。
行動研究の専門家が長年の研究と経験から学んだことは、一見無意味な行動を理解することが、それを制御するための不可欠なステップであるということでした。その意味は、そのような行動が、その主体にとっては、実はまったく理にかなっているものだということを受け入れ、その理由を特定するべきだということです。「この行動の目的は何か?」、そして「この行動は、その子どもにどのような利益をもたらすのか?」ということを自問しなければなりません。
障害者の問題提起行動1の生起に寄与する要因を、体系的に特定する確たる手順が開発されています。その手順を総称して、《機能的行動アセスメント》と呼びます。
(…中略…)
機能的行動アセスメントを理解し実行するには、行動分析の専門家である必要はありません。本書で、包括的な機能的行動アセスメントを独力で完了する方法を読者に教えます。さらに、この改訂版には、初版の発行以降に開発された方法が含まれており、これらのアセスメントの原則を家庭や学校で容易に使用できるようになっています。親、祖父母、グループホームのスタッフ、その他の支援者、教師、学校心理士、およびこの分野で特定のトレーニングを受けられなかったその他の専門家の手助けをするために、本書を書きました。本書で説明する方法は、幼児、就学前児、学齢期の児童生徒、青年、およびあらゆるタイプの自閉スペクトラム障害の成人、および他にも問題提起行動のある人に使用できます。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。