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非行少年に対するトラウマインフォームドケア ジュダ・オウドショーン(著) - 明石書店
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非行少年に対するトラウマインフォームドケア (ヒコウショウネンニタイスルトラウマインフォームドケア) 修復的司法の理論と実践 (シュウフクテキシホウノリロントジッセン)
原書: Trauma-Informed Juvenile Justice in the United States

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発行:明石書店
A5判
472ページ
上製
価格 5,800円+税
ISBN
978-4-7503-5675-4   COPY
ISBN 13
9784750356754   COPY
ISBN 10h
4-7503-5675-1   COPY
ISBN 10
4750356751   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0011  
0:一般 0:単行本 11:心理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年11月10日
書店発売日
登録日
2023年10月17日
最終更新日
2023年12月22日
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紹介

本書は、若者が非行や犯罪に至った背景にあるトラウマに着目し、コミュニティや社会制度におけるトラウマティックな歴史や価値観を見直すトラウマインフォームドな少年司法について概説した最良のテキストであると同時に、広く対人援助職に役立つ実践書である。

目次

 日本語版にあたっての序文[藤岡淳子]
 謝辞
 巻頭によせて[ハワード・ゼア]

序章 癒しのための少年司法
 本書の概要
 本書の目的――私の責任と思い

第1章 トラウマインフォームドな少年司法の枠組み
 少年司法制度は若者を見捨てている
 トラウマインフォームドな少年司法の導入
 トラウマインフォームドな少年司法の価値観
 トラウマインフォームドな少年司法のための修復的司法の世界観
 結論――関係性の修復と希望の発見

第2章 トラウマインフォームドな少年司法の理論 なぜ若者は犯罪を起こすのか?
 若者の犯罪に対する理論的説明の歴史
 トラウマインフォームド理論――若者の犯罪の説明としてのトラウマ
 結論――トラウマインフォームドなレンズの限界

第3章 個別的トラウマを理解する
 トラウマ
 トラウマの影響
 トラウマとメンタルヘルス
 トラウマとアディクション
 トラウマと人間関係――アタッチメント
 トラウマとアイデンティティ
 結論

第4章 集合的トラウマ、白人至上主義、男性の暴力
 集合的トラウマ
 少年司法の場において、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、ネイティブ・アメリカンの若者が不当に扱われる根本的な原因としての人種差別(白人至上主義)
 少年犯罪の根本的な原因である家父長制
 男とは?
 集合的トラウマは政治的なものである
 結論――集合的トラウマはコミュニティの健康、ウェルビーイング、ケアに影響を及ぼす

第5章 刑務所、リスク、罰 トラウマを誘発する司法制度
 現在における少年司法の実践はトラウマに配慮したものになっているか?
 刑務所――最悪の加害者
 リスクアセスメント――少年司法の焦点の誤り
 刑事司法に対する被害者の(不)満足度
 罰の問題
 結論

第6章 修復的司法 トラウマインフォームドな少年司法の世界観
 修復的司法
 修復的司法の歴史
 修復的司法の実践
 修復的司法に対する批判
 結論――修復的司法は、若者にとって効果的な介入である

第7章 トラウマインフォームドケアとしての少年司法
 個人へのトラウマインフォームドケア――関係性を通じたレジリエンス
 トラウマインフォームドケアのモデル
 被害者へのトラウマインフォームドケア
 加害者に対するトラウマインフォームドケア
 加害者のトラウマインフォームドな説明責任
 加害者に対するトラウマインフォームドな自由の制限
 コミュニティにおけるトラウマインフォームドケア
 結論――トラウマインフォームドケアの新たな理解に向けて

第8章 トラウマインフォームドな予防 暴力の連鎖をなくすために
 法の支配とは?
 トラウマインフォームドな予防――賠償
 トラウマインフォームドな予防――脱植民地化
 トラウマインフォームドな予防――少年司法におけるコミュニティ・オーナーシップ
 トラウマインフォームドな予防――家父長制の解体
 結論――絶望から希望へ

第9章 被害者を中心とした司法
 被害者を傍観者にしてきたこれまでの歴史
 ある事例――住居侵入の被害者
 被害者運動の歴史
 被害者を中心としたトラウマインフォームドな少年司法
 サバイバーの語りから
 結論――修復的司法と被害者

終章 トラウマインフォームドな少年司法の原則
 原則1:実践のための価値観を共有する
 原則2:先住民、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、すべての民族の女性が、構造的暴力を解体するためにリーダーシップを担う
 原則3:修復的司法を枠組みとする
 原則4:トラウマインフォームドケアと予防を実践する
 原則5:司法プロセスは被害者を中心とする
 本書の限界
 結論――暴力は波紋を広げるだけだが、優しさは新たな波(機運)を作る

 注
 文献
 索引
 監訳者あとがき
 監訳者・訳者紹介

前書きなど

日本語版にあたっての序文

 (…前略…)

 本書のタイトルを直訳すると「米国におけるトラウマインフォームドな少年司法」となる。ところが著者は、カナダの修復的司法の実践者であり、前節で述べたような米国におけるTIJJ進展の経緯や内容について述べているわけでもない。冒頭で「米国の少年司法制度はうまくいっていない」などとカナダ人が言ってしまうのもいかがなものかと思ったりもした。本書が出版されたのは、2016年であるので、TIJJとはどのようなものか?ということがちょうど議論されており、その提案の一つとして本書が執筆されたのであろうかと推察する。邦題が、「非行少年に対するトラウマインフォームドケア――修復的司法の理論と実践」となっていて、「少年司法」という言葉を入れていないことは、ある意味、適切に思える。
 とはいえ、非行少年への対応としてトラウマインフォームドな介入が不可欠であることには相違ないし、その枠組みとして従前の処罰を重視する応報的司法ではなく、個人と関係性とコミュニティの傷つきからの回復を目標とする修復的司法のパラダイムを持ってくることは首肯できる。特に初学者にとっては、本書1冊でトラウマインフォームドケア、修復的司法、そして少年非行について基本から学ぶことができ、1粒で三度美味しい状態になりうる。加えて、日頃、非行問題には関心の薄い一般の人々にトラウマや修復的司法について知ってもらい、社会をより安全・安心な方向へと動かしていく力を発揮してもらうのに有益な出版ともなりうる。近頃のジャニーズ問題にも見られるように、もちろん直接の加害者の責任は最も重いとはいえ、それを見て見ぬふりをした周囲の人々、無関心な第三者の責任も実際には重い。加害者には、修復的責任として、説明、謝罪・賠償、再犯防止の責任を負う必要があるが、そのためには、周囲の人々とコミュニティの人々もその責任を果たしていくことが求められている。
 日本においても精神保健サービスや児童福祉サービス、司法サービス等の領域で、トラウマケアへの関心が高まりつつあり、より多くの情報と知見とが求められるようになりつつある。今後の方向性として、本書やTIJJから学ぶことは大いにある。

著者プロフィール

ジュダ・オウドショーン  (ジュダ オウドショーン)  (

カナダ・オンタリオ州キッチナーにあるコネストガ大学の教授であり、コミュニティと刑事司法、平和・紛争研究を専門とする。カナダ矯正局の修復的司法メディエーター、トレーナーとして豊富な経験を有し、Internet Journal of Restorative Justice(『修復的司法インターネット・ジャーナル』)の編集委員も務める。カナダ矯正サービス、コミュニティ司法機関(Community Justice Initiatives:CJI)の「リヴァイヴ・プログラム」、オンタリオ・メノナイト中央委員会の「サポートと説明責任のサークル(Circles of Support and Accountability:CoSA)」の実践から、性暴力の被害者、加害者、コミュニティと関わるほか、トロントの青少年やファースト・ネーションズ(先住民族)と共に、寄宿学校に関連する問題に取り組んできた。司法制度をトラウマインフォームドなものにすること、男性による暴力を根絶するための取り組みに尽力している。本書Trauma-informed Juvenile Justice in the United States(2016年)のほか、The Little Book of Restorative Justice for Sexual Abuse: Hope through Trauma(Good Books、2015年)、Trauma-informed Youth Justice in Canada: A New Framework Toward a Kinder Future(Canadian Scholars Press、2015年)の著書がある。ホットコーヒーと冷えたビール、暖かい日差しと座り心地のよい椅子を好む、父親であり夫でもある。

野坂 祐子  (ノサカ サチコ)  (監訳

大阪大学大学院人間科学研究科臨床教育学講座教育心理学分野教授、博士(人間学)。
公認心理師・臨床心理士。2004年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達科学専攻博士後期課程単位取得退学。大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター専任講師、同センター准教授を経て、2013年より現所属。専門は発達臨床心理学・トラウマ。児童福祉領域・教育現場において、虐待・ネグレクトや犯罪被害等によるトラウマの理解と支援に関する研究と臨床実践を行う。主に、性暴力の被害・加害に取り組んでいる。主著に『トラウマインフォームドケア――“問題行動”を捉えなおす援助の視点』(日本評論社、2019)、『保健室から始めるトラウマインフォームドケア――子どもの性の課題と支援』(共著、東山書房、2022)など。訳書に『複雑性PTSDの理解と回復――子ども時代のトラウマを癒すコンパッションとセルフケア』(金剛出版、2022)、『犯罪被害を受けた子どものための支援ガイド――子どもと関わるすべての大人のために』(監訳、金剛出版、2016)、『あなたに伝えたいこと――性的虐待・性被害からの回復のために』(共訳、誠信書房、2015)、『性加害行動のある少年少女のためのグッドライフ・モデル』(監訳、誠信書房、2015)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。