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大学生がレイシズムに向き合って考えてみた
差別の「いま」を読み解くための入門書
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年11月15日
- 書店発売日
- 2023年11月24日
- 登録日
- 2023年10月19日
- 最終更新日
- 2023年12月22日
紹介
身近なことからそもそもの概念、アメリカの奴隷制の歴史まで――レイシズムをめぐるさまざまな「問い」にアメリカ史ゼミの学生たちが歴史を紐解き、真摯に向き合った、レイシズムを学ぶための「超」入門書。
目次
はじめに
第1章 身近なこと編
Q1 日本にレイシズムってあるの?
Q2 民族差別って人種差別となにが違うの?
Q3 障がい者に対する差別事件はどうして起こるの?
Q4 部落差別ってそもそもなに?
Q5 なんで日本は移民・難民に優しくないの?
Q6 日本における「日本人」って誰のこと?
Q7 「日本語上手ですね」のなにがいけないの?
Q8 「ハーフ」って呼んだらダメ?
Q9 日本は人種差別を禁止しないの?
コラム1 「美白」はレイシズムって本当?
コラム2 日本は単一民族国家ってなぜ言われてきたの?
第2章 そもそも編
Q10 レイシズムはそもそもどんな考えなんだろう?
Q11 いつレイシズムが生まれたの?
Q12 レイシズムと優生思想って関係あるの?
Q13 ステレオタイプと偏見、差別ってなに?
Q14 レイシズムは奴隷貿易や奴隷制の歴史とどんな関係があるの?
Q15 植民地支配とレイシズムってどう関係しているの?
コラム3 奴隷制・植民地支配の賠償問題と人種資本主義
Q16 人種差別撤廃に向けて国際社会はどのように取り組んだの?
Q17 白人って誰のこと?
コラム4 アカデミー賞受賞者はなぜ白人が多いと批判されたの?
コラム5 文化の盗用ってなに?
第3章 アメリカ編
Q18 アメリカは「自由」と「平等」の国と言われるのに、なぜこんなにレイシズムが激しいの?
Q19 奴隷制下で黒人たちはどのように闘ってきたの?
Q20 奴隷解放ってなんだったの?
Q21 公民権運動で人種差別が終わらなかったのはどうして?
Q22 BLMってなに?
コラム6 インターセクショナリティ
コラム7 アメリカの異人種間結婚
Q23 黒人は悪いことをするから差別されるんじゃないの?
Q24 先住民はなにを奪われてきたの?
Q25 移民の国なのにどうして「不法移民」が生まれるの?
Q26 アメリカでのアジア系の人々への差別はコロナ禍をきっかけに始まったの?
Q27 日系人はアメリカでどのように差別を乗り越えようとしてきたの?
Q28 イスラム教徒はアメリカでどのように差別されてきたの?
Q29 なぜトランプが支持されたの?
座談会 私たちはレイシズムにどのように向き合えばいいの?
参考文献
あとがき
前書きなど
はじめに
(…前略…)
(……)レイシズムはアメリカをはじめとする諸外国の課題のみならず、日本社会に生きるわたしたちとも深く関係している問題です。「日本は単一民族国家である」という見方や言説は、日本社会とレイシズムの関係を見えにくくさせており、政治家などによるこの言説を肯定する度重なる発言は、民族的マイノリティ性を持ち合わせる市民を想定せず、歴史に無理解であるとして度々問題視されています。アイヌ民族、琉球・沖縄民族、在日コリアン、華僑、「ハーフ」をはじめ、日本社会にはさまざまなルーツを持つ人々がともに暮らし、ますます社会は多様化を進行させています。そして、レイシズムは民族性のみならず、実は部落差別や障がい者差別とも関係しているのです。
アメリカ社会史を専門とする一橋大学・貴堂嘉之教授のゼミ生である学部生・院生のわたしたちにとって、昨今のレイシズムをめぐる諸課題は決して看過することができないものでした。2020年のBLM運動以降、アメリカに留学し、学びを深めた者。同運動を契機に、大学院に進学を決意した者。国内からでもアジアン・ヘイトを含めあらゆる差別に対して反対の意を示し、少しでも知ろうと文献を手に取る者。ゼミの授業内でもBLM運動、奴隷制の関連著書を輪読するなど、わたしたちは微力ながらもレイシズムに関心を示し、学びを紡いできました。だからこそこの学びをより広く社会に生きる一人ひとりに還元し、多くの方とレイシズムについてともに考えていく場をつくりたい――。そんな思いから、わたしたち学生の手でこの入門書を刊行するに至りました。
わたしたちはまだ学びを深めている最中であり、専門家ではありません。しかし、だからこそ読者のみなさん一人ひとりと「ともに」考え、レイシズムを根絶する社会をつくるための一助となりたいと考えています。この入門書を、手にしていただいたみなさんがレイシズムと向き合い、ともに考え、議論をつくり出すきっかけのひとつとなれるのであれば、大変嬉しく思います。
上記内容は本書刊行時のものです。