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子育て支援における保育者の葛藤と専門職倫理 亀﨑 美沙子(著) - 明石書店
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子育て支援における保育者の葛藤と専門職倫理 (コソダテシエンニオケルホイクシャノカットウトセンモンショクリンリ) 「子どもの最善の利益」を保障するしくみの構築にむけて (コドモノサイゼンノリエキヲホショウスルシクミノコウチクニムケテ)

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発行:明石書店
A5判
208ページ
上製
価格 3,800円+税
ISBN
978-4-7503-5666-2   COPY
ISBN 13
9784750356662   COPY
ISBN 10h
4-7503-5666-2   COPY
ISBN 10
4750356662   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年11月9日
書店発売日
登録日
2023年10月2日
最終更新日
2023年12月22日
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紹介

「子どものために」と「保護者のために」。子どもの最善の利益を保障するために、子育て支援において保育者が板挟みになる葛藤の内実を分析し、判断基準・解決の手立てとして専門職倫理の必要性と有用性を研究した一冊。体系化に向けての課題も指摘。

目次

 はじめに

序章 本書の背景と目的――子育て支援において「子どもの最善の利益」を保障するために
 第1節 職務の二重性から生じる子育て支援の葛藤
  1.保育者の職務の二重性と子育て支援の葛藤
  2.子育て支援と「子どもの最善の利益」
  3.葛藤の解決の手立てとしての専門職倫理
 第2節 本書の目的と内容
  1.本書の目的と内容
  2.本書における子育て支援の葛藤

第1章 子育て支援の葛藤の解決における専門職倫理の有用性
 第1節 子育て支援の葛藤の独自性と専門職倫理の有用性
  1.子育て支援における保育者の役割
   (1)子育て支援業務の法定化以前
   (2)子育て支援業務の法定化以降
  2.子育て支援における保育者の葛藤の独自性
  3.葛藤の解決の手立てとしての専門職倫理
   (1)諸外国における保育職の葛藤
   (2)葛藤の解決における専門職倫理の有用性
 第2節 保育者の専門職倫理とその課題
  1.専門職倫理の必要性
   (1)専門職倫理とは
   (2)専門職倫理の必要性
  2.保育者の専門職倫理と倫理綱領
  3.国際比較から見るわが国の倫理綱領の課題
   (1)諸外国における保育職の倫理綱領
   (2)わが国における倫理綱領の課題
 第3節 小括

第2章 子育て支援の葛藤と専門職倫理に関する研究動向
 第1節 子育て支援の葛藤に関する研究動向
  1.目的
  2.方法
   (1)先行研究の抽出
   (2)「子育て支援の課題・困難」の抽出と類型化
   (3)「文献マップ」の作成
  3.結果
   (1)先行研究から見る子育て支援の課題・困難
   (2)子育て支援の葛藤に関する先行研究
  4.考察
   (1)保育所保育指針の告示化以前における子育て支援の課題・困難の未検討
   (2)保育所保育指針の告示化以降における子育て支援の課題・困難の変遷
   (3)子育て支援の葛藤に関する先行研究の到達点とその課題
 第2節 保育者の専門職倫理に関する研究動向
  1.目的
  2.方法
   (1)先行研究の抽出
   (2)分析対象の概要
   (3)「文献マップ」の作成
  3.結果と考察
 第3節 本章の成果と課題

第3章 保育者が直面する子育て支援の葛藤
 第1節 目的と方法
  1.目的
  2.方法
   (1)調査方法
   (2)調査内容
  3.倫理的配慮
 第2節 結果
  1.属性
  2.葛藤頻度
  3.葛藤類型
  4.葛藤内容
  5.葛藤類型と葛藤頻度・属性との関連
  6.葛藤類型別に見る葛藤内容
 第3節 考察
  1.子育て支援の葛藤に関する全体傾向
   (1)葛藤頻度と関連要因
   (2)葛藤類型および葛藤内容
  2.子育て支援の葛藤の特徴とその課題
   (1)「子ども優先型」
   (2)「保護者優先型」
   (3)「板挟み型」
   (4)「困り感」
  3.子育て支援の葛藤の解決に向けた課題
 第4節 本章の成果と課題

第4章 子育て支援にかかわる保育者の倫理的責任
 第1節 目的と方法
  1.目的
  2.方法
   (1)分析対象
   (2)分析方法
 第2節 結果
  1.保護者に対する倫理的責任
   (1)プライバシーの保護
   (2)受容
   (3)自己決定の尊重
   (4)意図の説明
   (5)関係機関との連携
   (6)個別的配慮
   (7)社会資源の把握
   (8)子ども理解の促進
  2.子どもに対する倫理的責任
   (1)子どもの最善の利益の考慮
   (2)プライバシーの保護
   (3)受容
   (4)差別の禁止
   (5)関係機関との連携
   (6)多様性の尊重
   (7)個別的配慮
   (8)主体性の尊重
 第3節 考察
  1.保護者倫理・子ども倫理の共通項目
  2.保護者倫理・子ども倫理のいずれにも含めるべき項目
   (1)保護者倫理に含めるべき項目
   (2)子ども倫理に含めるべき項目
  3.新たに追加すべき項目
   (1)「加害行為の禁止」
   (2)「保護者とのパートナーシップ」
  4.子育て支援の葛藤における倫理的責任の有用性
 第4節 本章の成果と課題

第5章 子育て支援における保育者の専門職倫理意識
 第1節 目的と方法
  1.目的
  2.方法
   (1)調査方法
   (2)調査内容
  3.倫理的配慮
 第2節 結果
  1.専門職倫理意識
  2.倫理知識および学習経験
  3.専門職倫理意識の関連要因
 第3節 考察
  1.子育て支援における専門職倫理意識とその背景
  2.職務経験を通じて育まれる専門職倫理意識
  3.専門職倫理教育の不足
 第4節 本章の成果と課題

第6章 保育者養成における専門職倫理教育
 第1節 目的と方法
  1.目的
  2.方法
   (1)分析対象
   (2)分析方法
 第2節 結果
  1.専門職倫理に関する教授内容の取り扱い
  2.「全国保育士会倫理綱領」および保育所保育指針の取り扱い
  3.専門職倫理の定義および専門的価値
  4.倫理的ジレンマへの言及および専門職倫理の活用法
 第3節 考察
  1.教授内容としての「保育者の倫理」の曖昧さ
  2.専門職倫理教育の手がかりの不足
 第4節 本章の成果と課題

終章 「子どもの最善の利益」を保障するしくみの構築にむけて
 第1節 子育て支援の葛藤の解決にむけて
  1.問題の性質を特定するためのしくみ
  2.倫理的ジレンマを解決するためのしくみ
  3.専門職倫理の内容の体系化
 第2節 専門職倫理教育の発展にむけて
  1.専門職倫理教育の必要性
  2.専門職倫理教育における教授内容
 第3節 本書の成果と課題
  1.成果と意義
  2.本書の限界と今後の課題

 初出一覧
 おわりに

前書きなど

はじめに

 “子育て支援において、いかにして子どもの最善の利益を保障するか?”――本書は、こうした問題意識から出発している。
 子育て支援が政策として開始された頃、様々な場で「子育て支援は本当に子どものためになっているのか?」という疑問の声を耳にした。幸いにも、私は「子育て支援」という言葉が市民権を得ている時代に保育を学び、大学では子育て支援の専門家の講義を受けていた。また、後に勤務先ともなる子育て支援施設と出会い、学生時代はそこに通い詰めて、子どもや保護者、職員の方々からたくさんのことを教えていただいた。だからこそ、私にとって「子育て支援は本当に子どものためになっているのか?」という社会の声は、どこか遠くの議論なのだと感じていた。
 しかし、研究を進める中で、幾度となく保育者からこの問題を突きつけられることになった。子育て支援に関するインタビュー調査を繰り返す中で保育者から語られたのは、「保護者がお休みであっても、子育て支援として子どもを預かるように言われているが、それが子どものためになっているのだろうか?」「子どもの発達上の課題を保護者に伝えたいけれど、子育て支援のためには保護者自身がそのことに気づいて、それを受け入れるようになるまで待った方が良いと思う。でもそれが本当に子どものためになるのかどうか…」といった葛藤であった。
 このような保育者の葛藤は、子育て支援における「子どもの最善の利益」をめぐる問題であり、保育者の職務の構造上、避けては通れない問題でもある。なぜなら、保育者には「保育」と「子育て支援」という二重の職務があり、そのいずれもが法定業務だからである。この“職務の二重性”の中で、保育者は日々の保育と子育て支援を行っており、その両方に誠実に取り組もうとすればするほど、“子どものために”“保護者のために”という思いの間で板挟みとなる。このような「子育て支援の葛藤」は、これまでに論じられてきたような子育て支援の課題、すなわち、保育者個人の力量や組織的な問題とは異なる専門職としての職務構造上の問題である。
 だとすれば、子どもの最善の利益という観点から、子育て支援の葛藤を解決するための手立てを見出す必要がある。そんな思いから、2018年の拙著『保育の専門性を生かした子育て支援―「子どもの最善の利益」をめざして』では、①保育の専門家である保育者がなぜ子育て支援を行うのか、②保育者の行う子育て支援の独自性とは何か、③子育て支援においてどのように子どもの最善の利益を保障するのか、以上3つの問いに答えるための研究に取り組んだ。
 本書は、このうち③の課題を引き継ぐ形で、さらに複数の調査研究に取り組んだ成果をまとめたものである。保育者が現実に直面している「子育て支援の葛藤」は、つまりは「子どもの最善の利益」をめぐる問題であり、これを子育て支援においてどのように保障するのか。この問題の解決に取り組むために、本書では保育者の実践上の判断基準となる専門職倫理に手がかりを求め、次のような検討を行う。

 (…中略…)

 本書では“子育て支援において、いかにして子どもの最善の利益を保障するか?”という問題意識にもとづき、「子育て支援の葛藤」という保育者の職務における課題の解決に取り組むものである。その解決策は子育て支援の葛藤に限らず、保育者が遭遇する様々な職務上の課題の解決にもつながるものである。その鍵となる専門職倫理は、専門職としての約束事やルールの体系であり、これを根拠とする判断には正当性が付与される。また、専門職倫理を実践上の判断基準として活用することによって、子どもや保護者の権利を保障することができ
る。
 近年では、保育現場における不適切な保育に関する実態調査(キャンサースキャン 2021)を契機として、子どもの権利保障に対する関心の高まりがうかがえる。そうした中で、本書が子育て支援における子どもの最善の利益を保障するための一助となれば幸いである。

著者プロフィール

亀﨑 美沙子  (カメザキ ミサコ)  (

十文字学園女子大学人間生活学部人間福祉学科准教授。
神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士後期課程人間発達専攻修了(教育学博士)。
江東区東陽子ども家庭支援センター“みずべ”非常勤職員、東京家政大学家政学部児童学科助教、松山東雲短期大学保育科専任講師を経て、現在、十文字学園女子大学人間生活学部人間福祉学科准教授。
主著に、『保育の専門性を生かした子育て支援――「子どもの最善の利益」をめざして』(単著、わかば社、2018年)、『子ども家庭支援――家庭支援と子育て支援』(共著、全国社会福祉協議会、2019年)、『保護者支援・子育て支援』(共著、中央法規出版、2018年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。