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日本の寄付を科学する 坂本 治也(編著) - 明石書店
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日本の寄付を科学する (ニホンノキフヲカガクスル) 利他のアカデミア入門 (リタノアカデミアニュウモン)

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発行:明石書店
四六判
324ページ
並製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-5664-8   COPY
ISBN 13
9784750356648   COPY
ISBN 10h
4-7503-5664-6   COPY
ISBN 10
4750356646   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年12月4日
書店発売日
登録日
2023年10月30日
最終更新日
2023年12月22日
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紹介

世界的にみても寄付行動や見知らぬ人への人助け、ボランティア活動が低調とされる国・日本。これまで積み重ねられてきた学術研究の知見をもとに、利他にまつわる19の疑問と謎を解き明かした稀有な一冊。寄付の活性化こそ日本の最重要課題の一つだ。

目次

 はじめに[坂本治也]

第Ⅰ部 日本人の寄付の現状

第1章 日本人はどれくらい寄付をしているのか?[坂本治也]
第2章 日本人はなぜ寄付をしないのか?[坂本治也]
第3章 日本人はなぜ寄付やボランティアを冷笑するのか?[仁平典宏]
第4章 日本人の社会貢献意識は低いのか?[松本渉]
 実務者の挑戦①日本寄付財団[村主悠真]

第Ⅱ部 寄付の効果的な集め方

第5章 NPOはどのように寄付を集めているのか?[石田祐]
第6章 どうすれば共感ベースの寄付を増やすことができるのか?[瀬上倫弘]
第7章 ギビングサークルとは何か?[細海真二]
第8章 ソーシャルマーケティングとは何か?[瓜生原葉子]
第9章 寄付を集める人が考えるべき倫理とは何か?[岡田彩]
 実務者の挑戦②日本ファンドレイジング協会[鵜尾雅隆]

第Ⅲ部 様々な寄付のあり方

第10章 分野によって寄付行動に違いがあるのはなぜか?[渡邉文隆]
第11章 スポーツイベントで寄付は促進されるのか?[醍醐笑部]
第12章 なぜ人々は大学に寄付をするのか?[福井文威]
第13章 なぜ人々はふるさと納税をするのか?[西村慶友]
第14章 短期完結型のボランティアにはどのような特徴があるのか?[岡田彩]
 実務者の挑戦③D×P[今井紀明]

第Ⅳ部 寄付研究の新展開

第15章 寄付者は寄付からどのようなメリットを得るのか?[渡邉文隆]
第16章 お人好しは好かれるのか?[河村悠太]
第17章 法律で寄付はどのように扱われるのか?[小出隼人]
第18章 公務員の寄付行動にはどのような特徴があるのか?[小田切康彦]
第19章 応援消費にはどのような可能性があるのか?[水越康介]
 実務者の挑戦④パブリックリソース財団[岸本幸子]

 寄付に関連したブックガイド20[坂本治也]

 初出一覧
 参考文献一覧
 編著者・執筆者紹介

前書きなど

はじめに

 寄付という言葉を聞いて、みなさんは何を思い浮かべるだろうか。「困っている人を助けるためには、やっぱり寄付は必要だよなぁ」と思う人はそれなりにいるかもしれない。他方で、「寄付を積極的にする人って、偽善や売名行為でやってるんじゃないの?」「寄付を集める団体って、なんかうさん臭いし、結局は私腹を肥やしているんじゃないの?」などと、寄付に対して懐疑的に思ってしまう人も結構いるかもしれない。実際、日本では寄付に対して何となく否定的なイメージをもってしまっている人が多く、他国に比べると寄付を積極的に行う人が少ない事実がある。
 「寄付などしないのが、日本の文化だ」という考え方にも一理あるかもしれない。しかしながら、寄付を拡充していくことは現在の日本においてすでに喫緊の政策課題となっている。
 岸田文雄内閣の下で進められている「新しい資本主義」では、「民間も公的役割を担う社会を実現」という政策理念が重要な1つの柱となっている。同様の考え方は、経済同友会が提言する新しい経済社会モデルである「共助資本主義」においてもみられる。
 貧困、災害、過疎化、差別、不十分な教育、孤立などの様々な社会課題の解決のために、中央・地方の政府や営利企業だけではなく、NPOなどの市民社会組織が積極的に活動し、課題解決に取り組んでいくことが強く期待されている。
 市民社会組織が社会課題解決に取り組んでいく際に、寄付はきわめて重要な資金源となる。市民社会組織におけるすべての労務を無償のボランティアだけに頼ることはできないし、仮にそうしたところで活動を大規模かつ専門的に継続していくことは困難になる。また、ソーシャルビジネスのように、収益性と社会課題解決の双方を追求した事業を行っていくことも不可能ではないが、どうしても収益化が期待できないような社会課題もある。たとえば、貧困者に対する無償での生活支援や制度変革のための種々の政策提言活動などである。ビジネスとして成立しにくいが、世の中で必要とされる社会活動を下支えする資金源として、寄付がどうしても必要になってくる。寄付の拡充がなければ、「民間も公的役割を担う社会」も、「共助資本主義」も、絵に描いた餅にすぎなくなるのである。
 近年、寄付の重要性に気づいた人たちが、多方面で先駆的な取り組みを始めている。日本の寄付文化をより豊かなものに変えて、寄付の活性化を広範囲に促し、日本の市民社会を強化すべく、様々な実践者たちが日々奮闘している。
 他方、日本の学術界においては、寄付に関する調査研究は依然として未成熟な状態にある。もちろん、経済学、経営学、社会学、心理学、政治学、NPO研究などの研究領域において、個々の研究者によって寄付に関する重要な研究が散発的になされてはいる。しかし、その研究成果が集約されるかたちで広く一般に知られるところにはなっていない。とりわけ社会科学のアプローチによる実証研究の成果が、一般の人々に共有される機会は少ない。また、大学などの教育機関においても、寄付研究が体系的に講じられる機会もほとんどない。このように寄付に関する学術的な知見は十分世間で共有されていない。そのことが、寄付にまつわる誤解や偏見がなかなか解消されない状況につながっているように思われる。
 そこで本書では、これまでに日本の社会科学において行われてきた重要な寄付関連研究の成果を一般読者にわかりやすくコンパクトに提示することをねらいとしたい。
 私たち日本人は現在どれくらい寄付を行っているのだろうか。他国の人々と比べて、日本人の寄付はどのように評価することができるのだろうか。そもそも、なぜ私たちは寄付をするのだろうか。どういった要因が寄付行動を説明するのだろうか。どうすれば市民社会組織はもっと寄付を集められるのだろうか。なぜ私たちの社会には寄付が必要なのだろうか。こうした寄付に関する謎や疑問を考えていく際に、本書の内容はきっと役立つであろう。
 また本書では、狭義の寄付についての研究を扱うだけではなく、寄付と密接に関連するボランティア活動、社会貢献意識、利他行動、ソーシャルマーケティング、応援消費などについての研究も扱っていく。人間は基本的には利己的な生き物であるが、時として利他的に振る舞うこともある。なぜ人間は時として、寄付やボランティアのような、自分以外の他者の利益を増進させる行動をするのか。本書は利他行動全般を社会科学的に考えていく際の入門書としても広く活用してもらえる内容となっている。
 さらに本書では、日本で寄付に関する重要な実践を行っている実務者たちによる「実務者の挑戦」と題するコラムも4本収録した。これらのコラムを読むことによって、実務者たちが寄付をどのように捉え、寄付によってどんな社会課題の解決に挑戦しているかの実例を知ることができる。加えて、本書の巻末には寄付に関連したブックガイドも収録した。本書を読んだうえで、さらに寄付について色々と読み進めたい場合に活用してもらいたい。

 (…後略…)

著者プロフィール

坂本 治也  (サカモト ハルヤ)  (編著

関西大学法学部教授,日本寄付財団寄付研究センター長。大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(法学)。専門は政治過程論,市民社会論。主な著書に『ソーシャル・キャピタルと活動する市民――新時代日本の市民政治』(有斐閣,2010年),『市民社会論――理論と実証の最前線』(編著,法律文化社,2017年),『現代日本の市民社会――サードセクター調査による実証分析』(共編著,法律文化社,2019年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。