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児童養護施設 鹿深の家の「ふつう」の子育て 綱島 庸祐(編) - 明石書店
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児童養護施設 鹿深の家の「ふつう」の子育て (ジドウヨウゴシセツカフカノイエノフツウノコソダテ) 人が育つために大切なこと (ヒトガソダツタメニタイセツナコト)

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発行:明石書店
四六判
288ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-7503-5590-0   COPY
ISBN 13
9784750355900   COPY
ISBN 10h
4-7503-5590-9   COPY
ISBN 10
4750355909   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年5月30日
書店発売日
登録日
2023年5月10日
最終更新日
2023年6月26日
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紹介

養育者自身が「弱みを抱える一人の生身の人間」としてあり続けること──。子育てにおいて養育者が迷い、悩み、ときにネガティブな感情に翻弄されそうになりながらも、懸命に子どもたちと向き合おうとする、そのありのままの姿を、事例を通じて豊かに描き出す。

目次

 ごあいさつ[春田真樹]

序章 「ふつう」をキーワードにする理由[綱島庸祐]

第1章 児童養護施設・鹿深の家のこと[春田真樹/平野順久]

第2章 「うちの子」のことを担当ケアワーカーが語ります
 1 とらわれすぎず、ありのままで
 【事例A】私にあなたのお世話をさせて[洋子ケアワーカー]
 【事例B】子育てにマニュアルなんてなかったんだ!![恵子ケアワーカー]
 2 私の感覚を私が信じる
 【事例C】“嵐”の中で私がしていたことは[響子ケアワーカー]
 【事例D】可愛いと思えない…けれど[祐子ケアワーカー]
 3 違うでもなく、同じでもない存在として
 【事例E】裕二王国の法律改正に向けて[亮子ケアワーカー]
 【事例F】樹里は“自分の物語”を書き換えられるのか[雅子ケアワーカー]
 4 気持ちを込めて贈る
 【事例G】何でも買ってくれる両親と口うるさい職員[哲夫ケアワーカー]
 【事例H】黄色いワンピースに詰まっていたもの[郁雄心理士]

第3章 日々の暮らしを支えています─「周りの人たち」の眼差し
 1 子どもたちと生活する中で大切にしていること~施設内スーパーバイズの重要性~[堺稔]
 2 子どものために親にアプローチする~施設職員にできること~[石田一樹]
 3 アセスメントをめぐって~施設心理職として子どもたちに向ける眼差しの変遷~[綱島庸祐]
 4 愛情の意味をかみしめて~里親支援専門相談員として~[鍬本悟志]
 5 食育との出会い[宮川哲治]
 6 総務課から子どもの育ちを支える[奥村順子]
 7 発見を共に喜ぶ姿勢~用務員として~[奥村和博]

第4章 鹿深の家の子育てを外から眺める
 1 退園生・健さんとのお話 今だから話せる施設の暮らし
 2 退園生・蘭さんとのお話 当時の思い
 3 「かわいい」と思えるのはとても幸運なこと~産休・育休の経験から~[山本菜緒]

まとめにかえて[綱島庸祐]

コラム1 鹿深の家に期待すること[川畑隆]
コラム2 鹿深の家って?
コラム3 鹿深の家の職員について
コラム4 鹿深の家での生活
コラム5 職員インタビュー(1)
コラム6 職員インタビュー(2)
コラム7 職員インタビュー(3)

前書きなど

ごあいさつ

 私たち、鹿深の家の子どもたちと職員は、ふだんとても小さな世界で暮らしています。そして、この小さな世界で紡がれている日々の営みは、ほとんど世間に知られていません。
 一般家庭であれば、個々の生活の実情を世間が知ることはまずありません。しかし、「社会で子どもを育てる(社会的養育)」最前線で子どもたちと関わる私たちには、その養育の在りようをむしろ積極的かつオープンに社会に示し、子どもたちにとってのよりよい暮らしを考えるための材料として提供していく責務があると考えています。
 この本の中核をなす第2章にまとめられているのは、まさしくそうした内容、子どもを直接担当する職員たちの心の変遷です。事例検討会という共通の場面の体験も含んで、養育者のリアルな内面が語られます。
 また、小さな世界で暮らすその閉鎖性ゆえに、私たちは知らず知らず世間のあたりまえ(ふつう)とは異なる価値観の中で子どもたちの養育を実践している可能性があります。そのため、折に触れて自分たちの取り組みを率直にふり返り、その内容を外部に発信しつつ検証を行うことは欠かせないとも思っています。この二点が本書を世に出す大きなモチベーションになっています。
 加えて、鹿深の家では児童養護上のテーマの一つとして、「“ふつう”とは何か」ということを問い続けています。なぜなら、子どもたちにとって「施設で暮らす」ということは、「それまで自分が“ふつう”だと思っていたのとは違う世界で生きていかねばならなくなること」、そして「事あるごとに新しく知る“ふつう”に傷つき翻弄され続けること」なんだと考えているからです。
 本書全体を通して、その姿勢と価値観を読者のみなさんに感じとっていただければ幸いです。

著者プロフィール

綱島 庸祐  (ツナシマ ヨウスケ)  (

1980年、京都府生まれ。2006年に鳴門教育大学大学院学校教育研究科修士課程修了。適応指導教室、児童相談所での勤務を経て、2009年に児童養護施設鹿深の家に入職。2013年からは滋賀県スクールカウンセラーも兼務。臨床心理士、公認心理師。

川畑 隆  (カワバタ タカシ)  (

1954年に鹿児島市で生まれ、北九州市小倉区(当時)で育つ。同志社大学で心理学を学び、京都府の児童相談所に28年間勤務した後、京都先端科学大学(旧京都学園大学)で14年間、京都橘大学で2年間、心理学科の教員をつとめて退職。有志による「そだちと臨床研究会」所属。専門は児童福祉や教育分野等における対人援助。子ども家庭支援のいくつかの現場、学校関係などでの事例検討会や研修会にかかわっている。著書に『要保護児童対策地域協議会における子ども家庭の理解と支援─民生委員・児童委員、自治体職員のみなさんに伝えたいこと』(明石書店)などがある。臨床心理士。

鹿深の家(代表:春田真樹)  (カフカノイエ ダイヒョウ ハルタマサキ)  (

春田真樹(はるた・まさき)
1972年、岡山県生まれ。龍谷大学で児童福祉を学び、卒業後、1996年に滋賀県の児童養護施設鹿深の家へ入職。複雑な背景を持つ子どもやその家族への相談・支援を、行政機関・学校・地域関係者等と連携しながら実施してきた。2018年より児童養護施設鹿深の家施設長。その他にも現在、全国児童養護施設協議会協議員および「養育に関する特別委員会」副委員長、特定非営利活動法人NPO STARS副事務局長、滋賀県児童福祉施設協議会理事、甲賀市地域福祉計画審議会委員等を務めている。社会福祉士。

上記内容は本書刊行時のものです。