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フェアトレードビジネスモデルの新たな展開【第2版】 長坂 寿久(編著) - 明石書店
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フェアトレードビジネスモデルの新たな展開【第2版】 (フェアトレードビジネスモデルノアラタナテンカイダイニハン) SDGs時代に向けて (エスディージーズジダイニムケテ)

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発行:明石書店
A5判
408ページ
並製
価格 2,700円+税
ISBN
978-4-7503-5581-8   COPY
ISBN 13
9784750355818   COPY
ISBN 10h
4-7503-5581-X   COPY
ISBN 10
475035581X   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年4月25日
書店発売日
登録日
2023年4月11日
最終更新日
2023年5月2日
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紹介

開発途上国の生産者の生活改善という点のみならず、コミュニティ開発の仕組みがビルトインされているフェアトレードのビジネスモデル。
本書では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえ、日本と途上国間のコミュニティビジネスの構築や途上国との倫理的商品開発の視点から、日本のフェアトレードビジネスモデルの興隆のあり方を調査研究し、政策提言を行う。
第2版では、日本のフェアトレード大学における認定制度導入後の動きや国際的なFT運動と日本の認定都市のまちづくりに関する最新状況などを更新した。

目次

まえがき[改訂版にあたって]

第Ⅰ部 日本のフェアトレードの今

第1章 フェアトレードとフェアトレードタウンの今――基礎知識[長坂寿久]
[Ⅰ]フェアトレード運動の新たな展開について
 第1節 フェアトレードの背景
 第2節 フェアトレードの理念と商品
 第3節 拡大する南々フェアトレードと国内フェアトレード
 第4節 エシカル(倫理的)商品とフェアトレード
 第5節 日本のフェアトレード認知率と市場規模
 第6節 企業とフェアトレード
 第7節 SDGsとフェアトレード
 第8節 東京オリンピック・パラリンピック2020とフェアトレード
 第9節 まとめにかえて
[Ⅱ]フェアトレードタウン運動の展開について
 第1節 フェアトレードタウン運動の基準と発展
 第2節 広域フェアトレードタウン(国・州など)について
 第3節 フェアトレード大学とフェアトレードスクール
 第4節 ビッグテント・アプローチについて
 第5節 フェアトレードタウンのこれから
 第6節 トランジションタウン運動との連携
 第7節 フェアトレードをコミュニティの中へ
 終節 フェアトレードは経済革命のロードマップである

第Ⅱ部 フェアトレードの新しい視野と展開

第2章 現代のアンフェアトレードの非継続性について[小林尚朗]
 第1節 人間の生活と貿易
 第2節 人間分子の関係、網目の法則
 第3節 自由貿易をめぐる諸議論
 第4節 「公正な貿易」とはなにか?
 第5節 おわりに

第3章 持続可能な発展・開発動向とフェアトレード――社会・経済システム変革の可能性[古沢広祐]
 第1節 国連の新たなチャレンジ
 第2節 環境と社会倫理を志向する消費の動向
 第3節 有機農業運動におけるオーガニック市場と社会的公正の動き
 第4節 消費から投資選択へ
 第5節 社会変革、文明パラダイム的転換の方向性
 第6節 社会・経済システムの再構築へ

第4章 SDGs時代のフェアトレードと倫理的貿易[佐藤寛]
 第1節 持続可能な開発目標(SDGs)の登場
 第2節 開発とビジネスの相互接近
 第3節 サプライチェーン・マネジメント
 第4節 倫理的リスクはどこにあるのか
 第5節 ボイコット運動と企業の対応
 第6節 認証ビジネスとしてのフェアトレード
 第7節 倫理的貿易と企業
 第8節 SDGsとフェアトレード、認証ビジネス

第5章 フェアトレードタウン運動の新しい展開――日本のフェアトレードタウン基準と逗子市の事例を中心に[長坂寿久]
 第1節 日本のフェアトレードタウン基準への取組み
 第2節 おわりにかえて

第6章 企業とフェアトレード――国際フェアトレード認証制度より[中島佳織]
 第1節 国際フェアトレード認証制度の確立
 第2節 サステナビリティを脅かす気候変動と人権課題
 第3節 成長する国内のフェアトレード市場

第Ⅲ部 フェアトレードのフィールドにおける新しい展開

第7章 メキシコのフェアトレードコーヒー生産者のバリューチェーン展開――JICA-FTPプロジェクトの総括と提言[山本純一]
 第1節 第1期
 第2節 第2期
 第3節 その後の各カウンターパートとFTP
 第4節 おわりに

第8章 フェアトレードにおける前払いの意義――連帯型フェアトレード団体のラオスコーヒー事業の経過を踏まえて[箕曲在弘]
 第1節 フェアトレードにおける「前払い」の位置づけ
 第2節 ATJとJCFCの取引の背景
 第3節 前払いの実際
 第4節 フェアトレードにおける前払いの意義

第9章 「南」の小規模農民の視点から見たフェアトレード[牧田りえ]
 第1節 小規模生産者の生計戦略とフェアトレード
 第2節 農村社会変容とフェアトレード
 第3節 生産者に要求される有機とのダブル認証
 第4節 フェアトレード生産者間の競争
 第5節 おわりに

第10章 コミュニティ開発としてのフェアトレードへの取組み[土屋春代・井上禮子・平澤志保]
 第1節 ネパールにおけるフェアトレード活動と東日本震災復興支援について
 第2節 東ティモールにおけるフェアトレードのコミュニティ展開
 第3節 バングラデシュ・ネパールにおけるフェアトレード石けん開発

第Ⅳ部 日本のフェアトレードの認知率と市場規模

第11章 フェアトレードと倫理的消費の10年――全国調査から明らかになったその動向[渡辺龍也]
 第1節 フェアトレード
 第2節 倫理的消費への関心と認知率
 第3節 まとめ
 第4節 結語

第12章 日本のフェアトレード市場調査2015報告(1)[増田耕太郎]
 第1節 日本のフェアトレード市場

第13章 日本のフェアトレード市場調査2015報告(2)――店舗(ショップ)と輸入・卸団体からの声(記述回答の分析)[森田恵]
 第1節 フェアトレードの発展のための取組みと課題
 第2節 フェアトレード関連のキャンペーン・イベント
 第3節 日本におけるフェアトレードタウンの認知度と期待される役割
 第4節 結びにかえて

第Ⅴ部 日本のフェアトレードへの取組みのための政策提言

第14章 日本のフェアトレードへの取組みのための政策提言[長坂寿久]
 第1節 全セクター向け提言(本政策提言の根幹)
 第2節 政府への提言
 第3節 地方自治体への提言
 第4節 企業/産業界への提言
 第5節 市民社会(NPO)(とくにフェアトレード団体)への提言
 第6節 教育と人材育成への対応
 第7節 セクター間協働の推進

 あとがき
 著者紹介

前書きなど

まえがき[改訂版にあたって]

 2018年に初版を出していただき、19年に増刷となった。今回さらに増刷か改訂版かということになり、改訂版とさせていただいた。地球と世界がますます行き詰まる中、フェアトレードはますます重要な意味を持とうとしていると思うからである。
 本書の筆者のほんどの方が、その後の状況変化などを必要に応じて補足の追加をしていただき、新しい原稿に差替えていただいた方もある。とくに第1章はフェアトレードの仕組みの発展・展開の観点から、フェアトレードの仕組みも大きく発展したこともあり、大幅な書き換え・追加となった。今回改訂版の執筆を通して確信した、フェアトレードの未来への役割についての筆者の思いについて、第1章の最後に少し記させていただくことができた。

 地球と世界が行き詰まりとなっている現在、新しい経済・社会システムを構築するにあたり、「フェアネス」の視点をベースとするフェアトレードはますます重要なものとなっていると感じられる。
 フェアトレードとは、「トレード(取引)」を人間の関係性づくりへ取り戻す運動である。新フェアトレード憲章には、「モノを作り取引をする際に、経済的な利益よりも、人と環境を優先するのがフェアトレードである」とあるように、破滅へ向かう地球と私たちの社会を建て直すには、フェアトレード的視点と実践から社会を創り直すしかないのだと感じている。そのフェアトレードの最前線の悪戦苦闘を、フェアトレードの研究者たちが描いてくれている。
 フェアトレードには明確な「基準」があるが、その片足は開発協力にあり、もう片足は市場に置いている。開発協力に重心を置き過ぎると市場対応が弱くなり、市場に重心を置き過ぎると開発協力が弱くなりがちとなる恐れがある。その点で収益だけを追求する通常の企業に比べると経営は大変難しいものとなる。
 フェアトレードはこの両足に対峙する必要があるが故に、絶えず新しい課題の発見、新しい実験、新しい展開が繰り広げられている。
 その展開をみると、それらは同時にフェアトレードの観点から、これからのSDGs(国連持続可能な開発目標)への具体的な取組みのあり方や課題を提示するものとなっている。フェアトレードはSDGsのいずれの目標とも関わっているが、とくに17目標の内の10目標において直接的に強く関わっている運動であることが分かる。

 本書はフェアトレード活動のフィールドの最前線を7つの方向で紹介する。
 1つ目は、フェアトレードの最前線での課題と取組みをより理解していただけるよう、冒頭(第Ⅰ部第1章)にフェアトレードおよびフェアトレードタウンについて、その取組みと展開についての基礎知識として、最新時点までを紹介している。
 2つ目は、フェアトレードの理念と理論展開の最先端と方向性(第Ⅱ部第2・3・4章)。
 3つ目は、開発途上国のフィールドでの新しい課題の発見と展開について(第Ⅲ部第7・8・9・10章)。
 4つ目は、主に先進国における新しい展開として、エシカルトレード(倫理的貿易)やフェアトレードタウンへの取組みについて(第Ⅱ部第5・6章)。
 5つ目は、企業のフェアトレードへの取組みと認証制度改革の最前線について(第Ⅱ部第7章および第Ⅰ部第1章第6節など)。
 6つ目は、日本におけるフェアトレードの認知率および市場規模について。認知率は2012~22年までの経年変化を分析、市場規模は2015年(最新時点)の調査結果の報告(第Ⅳ部第11・12・13章)。
 7つ目は、フェアトレード活動の一層の活発化へ向けて、日本政府、自治体、企業、市民団体、市民等に向けた政策提言(第Ⅴ部第14章)を収録している。

 (…後略…)

著者プロフィール

長坂 寿久  (ナガサカ トシヒサ)  (編著

(一財)国際貿易投資研究所客員研究員、逗子フェアトレードタウンの会(共同代表)。日本フェアトレード・フォーラム認定委員会委員。明治大学卒業後、現日本貿易振興機構(ジェトロ)入構。シドニー、ニューヨーク、アムステルダム駐在。1999年拓殖大学国際学部教授(国際関係論/NGO・NPO論)、2014年退任。映画評論家、蘭日賞受賞(2009年)。
〔主な著書〕『新市民革命入門』(2016年)、『日本のフェアトレード――世界を変える希望の貿易』(編著2008年)、『世界と日本のフェアトレード市場』(編著、2009年)、『NGO発、「市民社会力」――新しい世界モデルへ』(2007年)『NGO・NPOと「企業協働力」――CSR経営論の本質』(2011年)、『映画で読む21世紀』(いずれも明石書店)等多数。

上記内容は本書刊行時のものです。