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EUの世界戦略と「リベラル国際秩序」のゆくえ 臼井 陽一郎(編著) - 明石書店
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EUの世界戦略と「リベラル国際秩序」のゆくえ (イーユーノセカイセンリャクトリベラルコクサイチツジョノユクエ) ブレグジット、ウクライナ戦争の衝撃 (ブレグジットウクライナセンソウノショウゲキ)

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発行:明石書店
A5判
260ページ
並製
価格 3,000円+税
ISBN
978-4-7503-5577-1   COPY
ISBN 13
9784750355771   COPY
ISBN 10h
4-7503-5577-1   COPY
ISBN 10
4750355771   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0031  
0:一般 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年5月15日
書店発売日
登録日
2023年4月25日
最終更新日
2023年5月23日
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紹介

EUがめざしてきたリベラルな国際秩序の構築は近年、内外からの大きな挑戦を受け、再検討を迫られている。その現状と課題を1989年ベルリンの壁崩壊以後という中長期的な時間軸から分析。欧州にとどまらず今後の世界政治の展望にもつながる視座を提示する。

目次

序章 「リベラル国際秩序」とヨーロッパ統合――ブレグジットとウクライナ戦争の影響[中村英俊]
 はじめに――「リベラル国際秩序(LIO)」とヨーロッパ統合
 第1節 「国際秩序」をめぐる論争――LIOに対する挑戦と異議申し立て
 第2節 EUの「安全保障」――ヨーロッパ統合とEUの歴史的・理論的意義
 第3節 EU拡大――「安全保障共同体」も拡大したのか
 第4節 「民生パワー」による「脱安全保障化」の限界

第Ⅰ部 英独仏と「リベラル国際秩序」

第1章 リベラル国際秩序の危機とブレグジット――変わったもの、変わらないもの[池本大輔]
 第1節 リベラル国際秩序の危機とブレグジット
 第2節 イギリスとリベラル国際秩序
 第3節 リベラル国際秩序の綻び
 第4節 ユーロ危機によるイギリスの孤立と国民投票への道
 第5節 ブレグジット後のイギリス・EU関係
 第6節 ブレグジットとロシア・ウクライナ戦争

第2章 ドイツとポスト1989リベラル国際秩序[岩間陽子]
 第1節 冷戦期LIOの申し子としての戦後西ドイツ
 第2節 LIOの拡大としてのドイツ統一過程
 第3節 赤=緑政権第一期(1998~2002年)
 第4節 赤=緑政権第二期(2002~2005年)
 第5節 メルケル期(2005~2022年)
 第6節 ショルツ政権とウクライナ戦争

第3章 「ヨーロッパ・パワー」の限界――マクロン時代のフランス[吉田徹]
 第1節 オランドからマクロン大統領への転換
 第2節 マクロンのEUイニシアティヴ
 第3節 アテネ演説とソルボンヌ演説
 第4節 EUをめぐる「ねじれ」の解消
 第5節 連続する危機
 第6節 道半ばの「ヨーロッパ・パワー」
 第7節 LIOの中のフランス

第Ⅱ部 EUの「リベラル国際秩序」

第4章 EUがリベラルな存在であるための条件[武田健]
 第1節 リベラルな時とそうではない時
 第2節 経済的に苦しむ者たちを助けようとするか
 第3節 難民を受け入れるかどうか
 第4節 その場面で「私たち」という意識を持っているのか

第5章 ブレグジット後の欧州安全保障――大国間競争時代への適合か[小林正英]
 第1節 ブレグジットの影響は軽微
 第2節 ブレグジットの影響の現状
 第3節 欧州安全保障における二国間協力への注目
 第4節 EUの枠組みでの各国間協力
 第5節 リベラル国際秩序のゆらぎの中の欧州安全保障
 第6節 コソボとウクライナ
 第7節 欧州主権言説

第6章 複合危機下のEU資本市場政策――ブレグジット/新型コロナウイルス危機への対応[神江沙蘭]
 第1節 EU市場・通貨統合とユーロ危機――銀行同盟の創設とその限界
 第2節 ブレグジットとEU資本市場政策
 第3節 資本市場同盟と「次世代EU」
 第4節 EUでの危機対応と経済政策協調

終章 リベラル国際秩序のためのEU世界戦略――ポストナショナル・アプローチの可能性と限界[臼井陽一郎]
 第1節 EU世界戦略の構成
 第2節 EU世界戦略の特徴
 第3節 EU世界戦略の課題――リベラルと非リベラルのせめぎ合い

 おわりに
 索引

前書きなど

序章 「リベラル国際秩序」とヨーロッパ統合――ブレグジットとウクライナ戦争の影響(中村英俊)

 冷戦が終焉し始めた時、冷戦を「長い平和」と見る歴史観に従って、ヨーロッパ統合も終焉を迎えるだろうという悲観論が台頭した)。しかし暫くの間、ヨーロッパ統合は進化して「西側のリベラルな秩序」もグローバルに拡大する勢いを見せた。アイケンベリー(John Ikenberry)は、冷戦後に「リベラル国際秩序(Liberal International Order: LIO)」が新たなフェーズに入っていると確信した)。
 ところが私たちは、2016年6月23日にイギリス国民投票におけるEU離脱派の勝利(ブレグジット)、および、2022年2月24日にロシアによるウクライナへの軍事侵攻(ウクライナ戦争)を経験した。これらは、冷戦後のLIOが内と外から挑戦を受けた事象である。このように、現在、LIOもヨーロッパ統合も様々な挑戦に晒され、異議申し立てを受けている。パングロスにならずに)、LIOの現実を多角的に捉えて、ヨーロッパ統合の本質を捉えなおす理論的視座
が必要とされている。
 本章は第1に、国際政治学界における「国際秩序」をめぐるリアリズムとリベラリズムの論争を整理する。この節では、変化する国際システムにおけるEU(諸国)の地位を確認する一方で、LIOの本質を捉えるためのリベラル理論の視座を理解する。このような理解は、冷戦後LIOの拡大や維持という観点からEU(加盟諸国)がどのような役割を果たしてきたかを考察する前提となる。
 第2に、ヨーロッパ統合の進化を通してEU自体がウェストファリア秩序を修正して新しい秩序原理を作り出してきたこと、つまり、冷戦後LIOの拡大・推進や維持・強化を担う役割を演じ、EU・ヨーロッパ統合それ自体がLIOの先端事例たりうることに留意する。ここでは、EUの「安全保障」という観点からヨーロッパ統合を考察する歴史的・理論的視座の整理を試みる。
 第3に、ヨーロッパの北欧・西欧・南欧諸国間で醸成された「共同体意識」が、EUの東方拡大によって東欧諸国にも広がったか否かを検討する。EUに加盟した東欧諸国は、重要な加盟条件である本格的な「民主化」を着実に進めて、「共同体意識」を共有できるようになったのだろうか。
 第4に、国際アクターとしてEUが、LIOの拡大や維持にどのような役割を果たしたかを考察する理論的視座の整理を試みる。ヨーロッパ統合を推進するうえで重要な位置を占めていたリベラルな価値・規範について、それをEUはヨーロッパの非加盟国や域外の国々に伝播しようと試みてきた。ソ連を構成していた東欧の近隣諸国に対するEUのリベラル規範伝播の試みは、ロシアにとってどのような含意を持ったのか。グローバルなLIOが流動化する現状に鑑みて、それを考察する理論的視座の提示を試みる。

 (…後略…)

著者プロフィール

臼井 陽一郎  (ウスイ ヨウイチロウ)  (編著

早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学、リーズ大学大学院法学研究科修士課程修了。早稲田大学社会科学部助手を経て、現在、新潟国際情報大学国際学部教授。
専門分野:EU政治
主な著作:『変わりゆくEU――永遠平和のプロジェクトの行方』(編著、明石書店、2020年)、『EUの規範政治――グローバルヨーロッパの理想と現実』(編著、ナカニシヤ出版、2015年)、『環境のEU、規範の政治』(ナカニシヤ出版、2013年)、‘The Democratic Quality of Soft Governance in the EU Sustainable Development Strategy: A Deliberative Deficit’, Journal of European Integration, 29: 5, 2007, pp. 619-633; ‘Evolving Environmental Norms in the European Union’, European Law Journal, 9: 1, 2003, pp. 69-87.

中村 英俊  (ナカムラ ヒデトシ)  (編著

早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。県立長崎シーボルト大学国際情報学部(1999~2004年)を経て、現在、早稲田大学政治経済学術院教授。
専門分野:国際政治学、ヨーロッパ統合理論
主な著作:「『民生パワー』概念の再検討――EUの対イラク政策を事例として」(『日本EU学会年報』第24号、2004年、207-228頁)、‘Diffusing the Abolitionist Norm in Japan: EU “Death Penalty Diplomacy” and the Gap between Rhetoric and Reality in EU-Japan Relations’, with Paul Bacon, JCMS: Journal of Common Market Studies, 59: 5, 2021, pp.1230-1246; The European Union and Japan: A New Chapter in Civilian Power Cooperation?, with Paul Bacon, Hartmut Mayer, et al. (Routledge, 2015).

上記内容は本書刊行時のものです。