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ベルベル語小辞典
品詞・項目別
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年2月28日
- 書店発売日
- 2023年2月28日
- 登録日
- 2022年11月25日
- 最終更新日
- 2023年4月3日
紹介
モロッコを中心に北アフリカに暮らすベルベル人が使う「ティフィナグ文字」とは――ベルベル人がたどってきた歴史を紹介するとともに、ティフィナグ文字とラテン文字で併記する形で、ベルベル語の日常用語を品詞別に整理する。
目次
序
はしがき
第1部 ベルベル語の概観とその歴史的背景
第1章 北アフリカ史の中のベルベル人――「ベルベル」とは何か
1.1 ベルベル語の概観:「ベルベル」とは
1.2 近年におけるベルベル語研究の動向
1.3 「ベルベル」という名称について
1.4 ヨーロッパにおいて「ベルベル」が意味するもの:スペインの場合
1.5 北アフリカ史の中のベルベル人
◇アラブ人による北アフリカ征服の過程
◇ベルベル民族の系統:ゼナタ系,マスムーダ系,サンハージャ系
◇アラブ系遊牧民の流入
1.6 リングワ・フランカにみる北アフリカの言語事情
第2章 ベルベル語の話されている地域――ベルベル復興運動とベルベル研究の変遷
2.1 ベルベル語使用地域の推移
◇アルジェリア
◇モロッコ
◇トアレグ系
◇リビア
◇チュニジア,モーリタニア,エジプト
◇カナリア諸島
2.2 ベルベル文化復興運動の興り
2.3 ベルベル人アイデンティティーの確立
◇19世紀以前のカビール系ベルベル人
◇フランス支配下のカビール地域
◇1949年:ベルベリストの危機
◇1962~1980年:アルジェリア独立とその後
◇1980~1989年:抵抗運動の社会的波紋「ベルベル“amazigh”の春」
◇1989~1990年:世界へ発信された“amazigh”の存在
2.4 ベルベル言語・文化研究:発祥とその推移
◇1960年代:ベルベル研究の草創期
◇1970~1980年代:国際社会におけるベルベル言語・文化研究の充実期 42
◇1990年以降:言語的側面からみたベルベル語の位置づけ
2.5 スペインにおけるベルベル研究の歩み
◇ベルベル語研究の先駆者たち
◇近代スペインにおけるベルベル語研究の動向
第3章 「ベルベル」から「アマズィグ」へ――姓名に残るティフィナグ文字の痕跡
3.1 「ベルベル」(Berber)から「アマズィグ」(Amazigh)へ
3.2 古代エジプト史の中のアマズィグ人
3.3 タマズィグト語の起源にまつわる諸説
3.4 アマズィグ人の宗教観:ユダヤ教,キリスト教との関連から
3.5 イスラーム教支配下のアマズィグ人
3.6 タマズィグト語研究の方法論をめぐって
3.7 アマズィグ系の姓名に残るティフィナグ文字の痕跡
3.8 むすびにかえて
第2部 品詞・項目別ベルベル語小辞典(日本語-ベルベル語)
◇本書で使用される33のティフィナグ文字とローマ字表記
◇調音点と調音法について
Ⅰ 動詞・派生名詞
Ⅱ 形容詞・派生名詞
Ⅲ 副詞・接続詞・前置詞
Ⅳ 名詞・代名詞
①人称代名詞
②数・数詞
③疑問詞
④暦
⑤自然
⑥鉱物・金属
⑦動物
⑧植物
⑨人体
⑩人々
⑪食料品
⑫衣服
⑬家・家具
⑭日用品
⑮日常生活
⑯乗り物・交通
⑰職業・仕事
⑱町
⑲村・田舎
⑳国
㉑国家と政府
㉒社会
㉓武器・兵器
㉔宗教
㉕教育
㉖スポーツ・競技
㉗芸術
㉘出版物
㉙文法用語
㉚挨拶と感謝
あとがき
特別寄稿
索引
前書きなど
はしがき
これまでに世界では,数冊ではあるがたしかにベルベル語の語彙集が発刊されている。しかしながら,そのほとんどが語彙の表記にラテン文字を使用しているため,一般の読者からは,どこかの地域のアラビア語の話し言葉を集めたものとみなされることも少なくなかった。またベルベル語研究者が自らの研究を発表するさいに,ラテン文字を用いてきた経緯からも,ベルベル語の音韻表記が従来までの常識となってきた。今回,ベルベル文字が存在した事実を本邦に知らしめたいという意向から,これまで筆者が本務校の紀要『創価人間学論集』に発表してきた論説の内容に若干の修正を施し,本書の第1部としてまとめた。そして第2部には「ティフィナグ文字」と呼ばれるベルベル文字を併記したベルベル語の日常用語を,「ベルベル語小事典」として品詞別に整理することにした。
事実,ベルベル語の語彙のバリエーションを一括して扱った辞書は,世界でもこれまでに編纂されたことはなく,これからもおそらく,世に登場することはないだろう。したがって競争はないので焦ることはないが,体力が衰えていくのに日々気がついた。前著『ベルベル語とティフィナグ文字の基礎――タリーフィート語入門』(春風社,2014)を執筆した折,序文を寄稿していただいたヤーシン会長と面会したさいに,ベルベル人自身もこうした変種を辞書にまとめるといった発想はこれまでになかったことを教えられ,協力するのでぜひ作業を続けるようにと激励された。「命ある限り書き続けるが,意識がなくなったらもう続けなくてもよい」と言ったら「その言葉を録音する」と答えてきた。そのようなことから,もしどこかで出版されることがあれば,もう辞書の作成はやめにしようと思ったが,いまだにこのような類の著作は発刊されていなかったので作業をやり続けた結果,今日の発刊にたどり着いた。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。