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世界の保育の質評価 秋田 喜代美(編著) - 明石書店
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世界の保育の質評価 (セカイノホイクノシツヒョウカ) 制度に学び、対話をひらく (セイドニマナビタイワヲヒラク)

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発行:明石書店
A5判
368ページ
価格 3,200円+税
ISBN
978-4-7503-5504-7   COPY
ISBN 13
9784750355047   COPY
ISBN 10h
4-7503-5504-6   COPY
ISBN 10
4750355046   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年12月15日
書店発売日
登録日
2022年11月8日
最終更新日
2022年12月26日
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紹介

諸外国では「質の高い保育」をどのように捉え、示そうとしているのか。各国の文化・社会的背景をおさえたうえで、保育の質に関する評価がどのようになされ、改善や質向上が担保されるのかを整理・分析する。日本の保育制度のさらなる発展のために。

目次

 はじめに[秋田喜代美]

chapter I 今なぜ保育の質評価を問うのか――保育の質評価の国際的動向の見取り図[秋田喜代美]
 1 本書における保育の質評価を捉える枠組みと質評価を問うことの意義
 2 国際的展開の流れ
 3 日本における保育の質評価議論への視座


chapter II 保育の質をめぐる世界の動向

01 ニュージーランド[松井愛奈]
 1 全体的な状況について
 2 保育に関わる文化・社会的背景
 3 保育施設・事業・提供主体の所管・規制(ガバナンス)に関わる事項
 4 保育者の資格免許、養成、研修、雇用形態や労働環境等
 5 カリキュラム
 6 監査や評価
 7 まとめ

02 英国(イングランド)[淀川裕美]
 1 保育・教育に関わる全体的な社会状況・政策の変遷
 2 保育に関わる文化・社会的背景
 3 保育施設・事業・提供主体の所管・規制(ガバナンス)
 4 保育者の資格免許、養成、研修、雇用形態や労働環境等
 5 カリキュラム
 6 監査や評価
 7 まとめ

03 アメリカ[北野幸子]
 1 全体的な状況について
 2 保育に関わる文化・社会的背景
 3 保育施設・事業・提供主体の所管・規制(ガバナンス)に関わる事項
 4 保育者の資格免許、養成、研修、雇用形態や労働環境等
 5 カリキュラム
 6 監査や評価
 7 まとめ

04 スウェーデン[大野歩]
 1 全体的な状況について
 2 保育に関わる文化・社会的背景
 3 保育施設・事業・提供主体の所管・規制(ガバナンス)
 4 保育者の資格免許、養成、研修、雇用形態や労働環境等
 5 カリキュラム
 6 監査や評価
 7 まとめ

05 ドイツ[中西さやか]
 1 全体的な状況について
 2 保育に関わる文化・社会的背景
 3 保育施設・事業・提供主体の所管・規制(ガバナンス)に関わる事項
 4 保育者の資格免許、養成、研修、雇用形態や労働環境等
 5 カリキュラム
 6 監査や評価
 7 まとめ

06 ノルウェー[門田理世]
 1 全体的な状況について
 2 保育制度転換における文化・社会的背景
 3 保育制度(組織・所管・財政・法的規制)
 4 カリキュラム
 5 保育評価制度
 6 まとめにかえて

07 韓国[崔美美]
 1 全体的な状況
 2 保育に関わる文化・社会的背景
 3 保育施設・事業・提供主体の所管・規制(ガバナンス)
 4 保育者の資格免許、養成、研修、雇用形態や労働環境等
 5 カリキュラム
 6 監査や評価
 7 まとめ

08 シンガポール[中橋美穂・臼井智美]
 1 はじめに:多民族・多言語国家シンガポールの社会背景
 2 シンガポールの就学前教育の概況
 3 ナショナルカリキュラムによる教育・保育内容の質保証
 4 職能とキャリアパスの可視化による幼児教育者の質保証
 5 施設の認証評価制度による保育環境の質保証
 6 シンガポールの就学前教育の質保証のシステムと特徴
 7 日本の就学前教育における質保証の課題

09 中国[呂小耘]
 1 全体的な状況について
 2 保育に関わる文化・社会的背景
 3 保育施設・事業・提供主体の所管・規制等
 4 保育者の資格免許、養成、研修、雇用形態や労働環境等
 5 カリキュラム
 6 監査や評価
 7 まとめ


chapter III 考察――日本が学べるものは何か[古賀松香]
 1 各国の文化・社会的背景と保育制度
 2 保育制度の構造的特徴と潮流
 3 保育の質の確保・向上
 4 まとめ

 おわりに[古賀松香]

前書きなど

はじめに

 乳児期からの保育ニーズは年々高まっている。一人ひとりの子どもにとって最善の利益が保障され、すべての子どもの命が守られ、持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、質の高い保育・教育を受けることが保障されることは、子どもの権利であり、どの保護者も、安全で質の高い保育を望んでいる。そのためには、保育の質とは何か、そしてどのように各自治体や園が質の向上に努めているのかを、子どもや保護者、地域に対して見える化し、その捉え方や状況をモニタリングしながら子どもの健やかな育ちを保障していくことが求められている。質を捉え示すことは一般に「質の評価・モニタリング」という言葉で呼ばれるが、これは現在、世界の多くの国にとって重要な課題となっている。しかし、それぞれの国によって制度も、置かれた社会的文脈や状況も異なっている。したがってユニーバーサルに保育の質は決められるものではなく、社会文化によって異なるものであるということもまた、現在、専門家の間では国際共通の知見となっている。
 日本の保育所等における保育の質に関する基本的な考え方や具体的な示し方等を検討するために、厚生労働省子ども家庭局保育課は「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」を設置し、平成30(2018)年9月26日に中間的な論点の整理を示した。しかし保育の質は多元的・多様な要素が関わっているために、「質の高い保育」を諸外国では具体的にどのように捉え、示そうとしているのかをまずは体系的に整理したうえで、それと照らし合わせて、日本の保育の特色や質を考えていくことが必要と考えられた。そこで厚生労働省調査委託研究「諸外国における保育の質の捉え方・示し方に関する研究会(保育の質に関する基本的な考え方や具体的な捉え方・示し方に関する調査研究事業)」が設置されることとなった。本書の編者である秋田はその研究会の座長であり、古賀は検討会の委員であり、かつ当研究会の委員の1人でもあった。そしてその研究会では保育課や座長らの相談のもと、時間等の関係から保育の質評価に関して特色ある5か国に絞り、各々に詳しい学識経験者が当該国の平成31(2019)年度時点での最新の動向を報告し、さらにそれだけでは欧米等に偏りがあると判断したことから、ノルウェーや東アジア等の国に関しては補足資料の作成を依頼した。そして、株式会社シード・プランニングがその結果を報告書としてまとめられた。ただし作成の期間等から、報告者も補助資料作成者も膨大な労力や時間を費やしたが、専門的な資料をもとにした報告書であることから、せっかくの税金を投じて作成した内容が一般の方々には届きにくいままになると判断された。
 そこで厚生労働省子ども家庭局保育課ならびに株式会社シード・プランニングの了解を得て、改めて、海外において「保育の質評価がどのように行われているのか」を示す専門書として編集をし直すこととした。報告書との違いは3点ある。第1に、すべての章の構成は同じにし、報告書に記された5か国はより簡潔に、また参考資料として作成され、報告書に添付された4か国のうち3か国(ノルウェー、シンガポール、韓国)は新たに文章化し、さらに中国を加えた9か国の質評価の今を描く本として本書を編集することとした。それにより、9か国の質評価の制度の概要等は表と図によって一望できるようにしている。
 また第2には、各国の解説だけではなく、そこから日本が学べるものは何かを、各執筆者の視点から書いていただくこととした。何が大事かは各執筆者の判断である。単なる客観的な資料を翻訳し解説しただけではなく、そこにはその執筆者が考える日本の保育への示唆が記されている。この点を楽しみに読んでいただきたい。
 そして第3には、編者2名が分担して、保育の質評価を捉える視座、海外の動向から今の日本が何を学べるかのまとめを執筆した。保育の質を評価するとは何をどのように捉え、誰がいかに評価するのかという枠組みと、その枠組みそのものに対する現在の問い直しや批判の視点も含めて整理している。

 (…後略…)

著者プロフィール

秋田 喜代美  (アキタ キヨミ)  (編著

学習院大学文学部教授。東京大学名誉教授。博士(教育学)。専門は保育学、教育心理学、授業研究。長年園内研修に関わり、保育の質の向上や保育者の専門性・実践知に関する研究を行っている。日本保育学会会長。日本発達心理学会代表理事。内閣府子ども・子育て会議会長。主な著書に『園庭を豊かな育ちの場に――実践につながる質の向上のヒントと事例』(ひかりのくに、2019年)、『保育の心もち2.0』(全8冊、ひかりのくに、2021年)、『マルチステークホルダーの視座からみる保幼小連携接続』(風間書房、2021年)、『保育の質を高めるドキュメンテーション――園の物語りの探究』(中央法規、2021年)、『ICTを使って保育を豊かに――ワクワクがつながる&広がる28の実践』(中央法規、2022年)、『「保育プロセスの質」評価スケール――乳幼児期の「ともに考え、深めつづけること」と「情緒的な安定・安心」を捉えるために』(明石書店、2016年)、『「体を動かす遊びのための環境の質」評価スケール――保育における乳幼児の運動発達を支えるために』(明石書店、2018年)など。

古賀 松香  (コガ マツカ)  (編著

京都教育大学教育学部幼児教育科教授。専門は幼児教育学、保育学。主な著書に『社会情動的スキルを育む「保育内容人間関係」――乳幼児期から小学校へつなぐ非認知能力とは』(編著、北大路書房、2016年)、『アジアの質的心理学――日韓中台越クロストーク』(共著、ナカニシヤ出版、2018年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。