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小児期の逆境的体験と保護的体験 ジェニファー・ヘイズ=グルード(著) - 明石書店
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小児期の逆境的体験と保護的体験 (ショウニキノギャッキョウテキタイケントホゴテキタイケン) 子どもの脳・行動・発達に及ぼす影響とレジリエンス (コドモノノウコウドウハッタツニオヨボスエイキョウトレジリエンス)
原書: Adverse and Protective Childhood Experiences: A Developmental Perspective 1st Edition

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発行:明石書店
A5判
304ページ
上製
価格 4,200円+税
ISBN
978-4-7503-5501-6   COPY
ISBN 13
9784750355016   COPY
ISBN 10h
4-7503-5501-1   COPY
ISBN 10
4750355011   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年12月15日
書店発売日
登録日
2022年11月8日
最終更新日
2022年12月26日
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紹介

逆境的小児期体験(ACEs)は成人期以降の心身の健康にどのような影響をもたらすか。また、ACEsに対する解毒剤とされる保護的体験(PACEs)とは何か。本書はアメリカ心理学会による最新の研究成果であり、逆境と回復の統合的な理解を深める一冊である。

目次

 日本語版へのメッセージ
 まえがき――橋に開いた穴
 謝辞

Ⅰ 逆境的小児期体験と保護的小児期体験の影響

第1章 逆境的小児期体験(ACEs)
 1.1 ACEsについての研究
 1.2 その他の集団におけるACEs研究
 1.3 児童と青年のACEs
 1.4 ACEsを定義する
 1.5 自分のACEsスコアを知る

第2章 保護的・補償的体験(PACEs)――ACEsに対する解毒剤
 2.1 PACEs――関係性と資源
 2.2 PACEsの基本的理論と研究
 2.3 PACEsに関する私たちの研究
 2.4 自分のPACEsスコアを知る

Ⅱ 発達初期の体験は身体・脳・行動にどのような影響を及ぼすのか

第3章 発達初期の逆境体験が神経生物学的発達に及ぼす影響
 3.1 小児期の逆境に対する生体行動的反応のモデル
 3.2 エピジェネティクスと小児期の逆境
 3.3 小児期の逆境が脳の構造と機能に及ぼす影響
 3.4 すべてを統合する――ICAREモデル

第4章 逆境的小児期体験(ACEs)と保護的・補償的体験(PACEs)の世代間伝達
 4.1 逆境とレジリエンスの心理社会的伝達
 4.2 養育の神経生物学的伝達
 4.3 逆境とレジリエンスの神経生物学的伝達
 4.4 結論とアクティビティ――ACEsとPACEsのジェノグラム

Ⅲ 逆境的小児期体験の伝達を断ち切り,保護的・補償的体験を増やす

第5章 成人期における逆境的小児期体験の影響を修復するために
 5.1 介入の基盤となる逆境的小児期体験に基づいた科学
 5.2 成人のための保護的・補償的体験
 5.3 結論とアクティビティ――成人のための保護的・補償的体験(PACEs)プランの構築

第6章 ACEsをもつ子どものポジティブな発達を促進する
 6.1 子どものためのPACEs
 6.2 青年のためのPACEs
 6.3 神経生物学的制御を高める
 6.4 ポジティブな親子関係をはぐくむ
 6.5 システムレベルのプログラム
 6.6 結論とアクティビティ――子どものためのPACEs計画を作成する

第7章 ACEsとPACEs,そしてコミュニティ
 7.1 ACEsの歴史的・社会的文脈
 7.2 トラウマインフォームドな実践
 7.3 ACEsやレジリエンスに特化したコミュニティの連携
 7.4 政策転換と法律制定
 7.5 逆境的なコミュニティ環境と逆境的小児期体験――2つのACEs

第8章 さいごに――まとめと解決策
 8.1 私たちが学んだこと
 8.2 解決に向けて――次になすべきこと
 8.3 救命ボートを探して

 付録 考えを深めるための問い

 参考情報
 参考文献
 索引

 監訳者あとがき

前書きなど

まえがき――橋に開いた穴

 (…前略…)

 本書は小児期の逆境に関する科学的に信頼できる最新の研究結果と,ACEsの長期的な影響の予防と対処に関する発達心理学者の知識を統合しています。関連する知見として,心理学をはじめ,神経科学,生物学,統合医療の研究結果を紹介します。まずACEsとPACEsの概要を述べ(第1~2章),次に神経生物学ならびに世代間伝達からみたACEsとPACEsの影響を明らかにし(第3~4章),そしてACEsの影響を最小限に抑え,PACEsをはぐくむために大人や子ども,地域社会ができることを考える際に役立つ研究や提案を挙げます(第5~8章)。読者が科学を日常生活に応用できるよう,多くの章でアクティビティを用意しています。巻末には関連情報や推薦図書の一覧,ならびに考察を深めるための問いを掲載しました。
 私たちがこの本を執筆した理由は,答えを探すためでした。ACEsは本当にあるのだろうか。あるとすれば,私たちの体や脳が,そして行動がどのように変容するのだろうか。それにどう対処すればよいのか。レジリエンス(resilience)に関する数十年にわたる発達研究を,このACEsという新しい科学にどう応用できるのだろうか。私たちはこれらの問いに対する答えを,発達科学という自らの研究領域にとどまらず,疫学,エピジェネティクス,免疫学,神経科学,乳幼児精神保健など,広くさまざまな領域において見出しました。そして今も新たな答えが出されつつあります。活きた科学的営みの常として,新しい研究は従来の問いに答えを見出すやいなや,また新たな問いを生み出します。私たちに今わかっていることは,ACEsは本当にあるということです。そして将来のACEsの発生を抑え,現在のACEsの影響を弱め,PACEsを増やし,過去のACEsが私たちの日常や地域社会に及ぼす影響を理解しそれに対処することにより,ACEsは克服可能であるということです。
 本書の読者の多くには,ACEが最低1つはあるでしょう。世界中の大規模サンプルを用いた疫学研究がそう報告しています。対人援助職では2つ以上ある人が多数います(Esaki&Larkin,2013)。したがって,多くの読者がこのテーマに個人的に興味をもっていると想像します。このため一般の学術書とは異なり,本書は図やグラフ,モデル図,ストーリーを用いて,できるだけ頭と体を使って理解してもらえるようにしました。各章の最後にはアクティビティやまとめがあり,ACEsやPACEsの研究を普段の生活や周りの人たちに当てはめる方法やヒントがあります。さまざまな領域の知見をその領域の「専門外」の人々に紹介し,有益な情報となる程度に詳しく解説しました。文中では逆境的小児期体験,発達初期の逆境(earlylifeadversity),ストレス(stress),有害なストレス(toxicstress),トラウマ(trauma)といった表現をほぼ同じ意味で使っていますが,意味の違いを意識したうえで,さまざまな研究やそれが適用される状況を説明するのに最も適した言葉や用語を使うようにしました。同様に,レジリエンスや保護要因(protectivefactors)という用語も同じ意味にとれる場合があるかもしれません。今後,ACEsの影響を詳細に説明する研究がなされ,その影響を予防したり対処したりする方法の開発が進み,さまざまな文脈で適用されるようになれば(Leitch,2017),私たちが使う言葉や用語も変わっていくでしょう。
 本書の読者は,初期の逆境や生涯続くレジリエンス,およびこれらの介入や予防プログラムに関する学際的研究に関心がある学生,研究者,臨床家,医療従事者を想定しています。本書は読者自身の逆境体験やレジリエンスの経緯を振り返るために,そしてACEsがもたらす長期的な影響に直面している人々を支援するために役立つはずです。
 最後に,本書の目的は,ACEsやPACEsに関する新たな研究を活性化させること,小児期の体験がもたらすさまざまな長期的な影響を理解する学際的枠組みを提供すること,そして子どもたちを逆境から守り,その影響を和らげ,ACEsが成人期に及ぼすネガティブな状況を修正するためのエビデンスに基づく介入策を提案することにあります。本書は「からだ全体」にアプローチし,ACEsからの回復とレジリエンスの向上のための生理学的,認知的,情動的,社会的な方法を統合したプログラムを提案しています。しかしながらこれらは,トラウマやストレスで健康や生活に深刻なダメージを負った個人に対する心理療法やその他の臨床的介入に替わる方法ではありません。ACEsは健康や発達に累積的に影響し続けます。そしてACEsが増えると身体的・精神的健康へのダメージが深刻になることがわかっています。読者はぜひ本書をスタートとして,本文やまとめのセクションで紹介した情報やサイトを調べて,理解をさらに深めてください。

著者プロフィール

ジェニファー・ヘイズ=グルード  (ジェニファー ヘイズ グルード)  (

アメリカ・オクラホマ州立大学健康科学センターの精神医学・行動科学の教授(Regents Professor),同大学小児期逆境に関する統合研究センター(Center for Integrative Research on Childhood Adversity: CIRCA)のディレクター。CIRCAは国立衛生研究所(NIH)からの10年間総額2000万ドルの助成を受けており,現在その6年目である。また,Springer/Nature社が発行する国際的学術雑誌Adversity and Resilience Science誌の創刊者兼編集長でもある。子どもたちのレジリエンスをはぐくみたいと思っている親,そしてそのプロセスを通して自分たちのレジリエンスをもっと高めたいと思っている親のためのガイドブック『バランスの取れたペアレンティング:赤ちゃん,子ども,青年,そしてその親たちのためのレジリエンス(Balanced Parenting: A Roadmap to Resilience for Babies,Children, Adolescence, and Their Parents)』(アメリカ心理学会より2023年発刊予定)をシェフィールド・モリス博士と共同執筆している。

アマンダ・シェフィールド・モリス  (アマンダ シェフィールド モリス)  (

アメリカ・オクラホマ州立大学心理学科のジョージ・カイザー・ファミリー財団代表,教授(Regents Professor)。ペアレンティング,社会・情動発達,人生早期の逆境,そしてリスク・レジリエンス(http://www.acesandpaces.com/)を研究のテーマとする発達心理学者である。100本以上の査読付き論文を発表している。さらに,アメリカ心理学会発行の『権威あるペアレンティング:最適な子どもの発達のための養護としつけ(Authoritative Parenting:Nurturance and Discipline for Optimal Child Development)』の共同著者でもある。Journal of Research on Adolescence誌の編集長,Springer/Nature社が発行するAdversityand Resilience Science誌の副編集長も務めている。

菅原 ますみ  (スガワラ マスミ)  (監訳

最終学歴:東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学 博士(文学)
現職:白百合女子大学人間総合学部教授,お茶の水女子大学名誉教授
専門:発達精神病理学,子どもの発達に及ぼす養育環境の影響性の研究

榊原 洋一  (サカキハラ ヨウイチ)  (監訳

最終学歴:東京大学医学部医学科 医学博士
現職:お茶の水女子大学名誉教授,チャイルドリサーチネット所長
専門:小児科学,小児神経学

舟橋 敬一  (フナハシ ケイイチ)  (監訳

最終学歴:東京大学医学部医学科
現職:埼玉県立小児医療センター精神科科長
専門:子どものトラウマ

相澤 仁  (アイザワ マサシ)  (監訳

最終学歴:立教大学大学院文学研究科教育学専攻博士課程後期課程満期退学
現職:大分大学学長特命補佐(福祉・地域共生社会推進担当)
専門:子ども家庭福祉,非行臨床

加藤 曜子  (カトウ ヨウコ)  (監訳

最終学歴:大阪市立大学大学院生活科学研究科人間福祉学専攻後期博士課程修了 博士(学術)
現職:流通科学大学名誉教授
専門:児童家庭福祉学,対人援助(ソーシャルワーク,臨床心理士)

松本 聡子  (マツモト サトコ)  (

最終学歴:早稲田大学大学院人間科学研究科 博士(人間科学)
現職:お茶の水女子大学人間発達教育科学研究所特任アソシエイトフェロー
専門:環境心理学,子ども・家族の発達と環境の関係性

室橋 弘人  (ムロハシ ヒロト)  (

最終学歴:早稲田大学大学院文学研究科 博士(文学)
現職:金沢学院大学文学部准教授
専門:心理統計学,社会心理学

川島 亜紀子  (カワシマ アキコ)  (

最終学歴:お茶の水女子大学大学院人間文化研究科 博士(人文科学)
現職:山梨大学大学院総合研究部教育学域准教授
専門:発達精神病理学,夫婦・家族関係研究

田中 麻未  (タナカ マミ)  (

最終学歴:お茶の水女子大学大学院人間文化研究科 博士(人文科学)
現職:千葉大学社会精神保健教育研究センター特任講師
専門:発達心理学,発達精神病理学

吉武 尚美  (ヨシタケ ナオミ)  (

最終学歴:お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科 博士(人文科学)
現職:順天堂大学国際教養学部准教授
専門:ポジティブ心理学,青年期の発達と社会的環境の関係性

齊藤 彩  (サイトウ アヤ)  (

最終学歴:お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科 博士(人文科学)
現職:お茶の水女子大学基幹研究院助教
専門:特別支援教育,障害のある子どもとその家族への支援に関する研究

上記内容は本書刊行時のものです。