書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
アタッチメント・ハンドブック
里親養育・養子縁組の支援
原書: Attachment Handbook For Foster Care And Adoption
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年11月25日
- 書店発売日
- 2022年11月25日
- 登録日
- 2022年10月25日
- 最終更新日
- 2022年12月9日
紹介
子どもの心と行動、養育者の心と行動の相互作用を理解するうえで重要な概念であるアタッチメント。本書は、アタッチメント理論を実践の場で活用したいと願う人たちに向けて書かれた。里親、養親、彼らを支援する人々にとって治療的養育の実践ガイドとなる一冊。
目次
謝辞
第2版
前書き
第2版への前書き
はじめに
第Ⅰ部 アタッチメント理論
第1章 アタッチメント理論――中心的な概念
ボウルビィとアタッチメント理論の起源
近接性希求と安全基地の重要性
マインドマインデッドネスと感情・行動の調整
適応、心的表象、内的ワーキングモデル
発達経路――内的ワーキングモデルの継続性と変化
アタッチメント形成と発達――主な段階
安定型・不安定型のアタッチメント
アタッチメント障害
安定型/不安定型アタッチメントの測定
まとめ
実践に向けた重要なメッセージ
第2章 安定型/自律型のパターン
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(生後18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
成人期と子育て期
まとめ
第3章 回避型/軽視型のパターン
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(生後18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
成人期と子育て期
まとめ
第4章 アンビバレント型、抵抗型、とらわれ型のパターン
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(生後18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
成人期と子育て期
まとめ
第5章 無秩序型/統制型/未解決型のパターン
無秩序とマルトリートメント
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(生後18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
成人期
まとめ
第Ⅱ部 安全基地モデル
はじめに
利用可能性――子どもの信頼感を育む
敏感性――子どもが感情に対処できるよう手助けする
受容――子どもの自尊感情を形成する
協調――子どもの効力感を育む
家族メンバーシップ――子どもの所属感を育む
第6章 利用可能性――子どもの信頼感を育む
子どもが委託家庭に持ち込むもの
里親や養親がするべきこと
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(生後18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
結論
まとめ
子どもの信頼感を育むためのアプローチ
第7章 敏感性――子どもが感情に対処できるよう手助けする
子どもが委託家庭に持ち込むもの
里親や養親がするべきこと
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(生後18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
結論
まとめ
子どもが感情に対処できるよう手助けするためのアプローチ
第8章 受容――子どもの自尊感情を形成する
子どもが委託家庭に持ち込むもの
里親と養親がするべきこと
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(生後18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
結論
まとめ
子どもの自尊感情を形成するためのアプローチ
第9章 協調――子どもの効力感を育む
子どもが委託家庭に持ち込むもの
里親と養親がするべきこと
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(生後18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
結論
まとめ
子どもの効力感を育むためのアプローチ
第10章 家族メンバーシップ――子どもの所属感を育む
子どもが委託家庭に持ち込むもの
里親と養親がするべきこと
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(生後18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
結論
まとめ
子どもの所属感を育むためのアプローチ
安全基地モデルの五つの側面のまとめ(図表9)
第Ⅲ部 理論と実践
第11章 アタッチメントと一般的な行動の問題
子どもが委託家庭に持ち込むもの
アタッチメント理論の適用
行動の問題
まとめ
第12章 アタッチメントを念頭に置いて①――子どものソーシャルワーカーの役割
子どものアセスメントと計画
年齢に関連する強みと困難さを特定する
計画とマッチング
ソーシャルワーカーの子どもとの関係性と仕事
まとめ
第13章 アタッチメントを念頭に置いて②――里親養育・養子縁組のソーシャルワーカーの役割
里親と養親のアセスメント
里親と養親へのサポート
結論
まとめ
第14章 アタッチメントと交流
乳児期(出生~生後18カ月)
小児期早期(18カ月~4歳)
小児期中期(5~10歳)
思春期(11~18歳)
結論
まとめ
今後の展望――子ども、家族、ソーシャルワーカーに安全基地を提供する
参考文献
監訳者後書き
索引
前書きなど
はじめに
(…前略…)
本書の主な目的は、専門家、里親、養親が、アセスメントの実施や報告書の作成、意思決定などを行ったり、子どもの人生を立て直す助けになる日々の養育の提供や関係性の構築を行ったりする際に、アタッチメントという概念をより正確かつ建設的な方法で活用できるよう、アタッチメント理論とその研究を説明することにある。アタッチメント理論は、ファイルや報告書に記載された詳細な情報からわかる事実を理解する手がかりになるだけではなく、家庭への委託が必要な子どもの理解できない行動を理解する助けにもなる。アタッチメント理論の助けを借りれば、悲しい時に微笑んだり、自分を虐待した親にくっついて離れなかったり、新たな家庭で、子ども自身が何より恐れている拒絶を引き起こすような行動をとってしまう子どもへの理解を深めることができる。
アタッチメントと発達に関する理論と研究の知識は、養育者が子どもの行動を理解し、手助けとなる対応を計画するための情報として役立つが、この対応は常に、子ども1人ひとりの強みと困難さ、ニーズを慎重に配慮したものでなければならない。課題は、思考、情動、行動のパターンに関わる理論と研究をどのように活用すれば、唯一無二の子ども1人ひとりの思考、情動、行動への対応を保ちつつ、養育の治療的な側面を強められるかだ。
同じく重要な事実は、アタッチメント理論は、里親と養親が、問題を抱えた子どもに対する自分の反応が意味をなさないように思える時に、何が起こっているのかを理解するのに役立つことである。里親と養親は、親としての役割に幅広い経験をもって臨むが、どれほど経験豊富で入念に準備を整えた、敏感な親であっても、子どもが自分の内面に掻き立てるさまざまな強烈な感情に驚かされることがある。子どもを愛し守りたいという強い欲求と、同じくらい強烈な怒りと悲しみの感情が共存することもある。子どもの心と行動、養育者の心と行動の相互作用こそが、アタッチメント理論と、本書で検討する安全基地モデルという治療的養育の枠組み(Beek and Schofield,2014a, b)のまさに中核を成すものなのだ。
本書では、家庭への委託の実践――アタッチメント理論を、子どもに関わって働く、または養育する上でどう役立てられるか――という視点から、アタッチメント理論とその研究について説明していく。本書は、ソーシャルワーカー、家族、子どもに実践的に役立つことを目的としているため、子どもの行動を説明する理論的モデルを示すとともに、アタッチメント理論を基盤とする養育の安全基地モデルも紹介していく。この安全基地モデルは、子どもの安心とレジリエンス(回復力)を高め、子どもが新たな発達課題を達成しやすくなるための実践的な枠組みとなるものだ。援助や支援を的確に把握するには、子どもと養育者1人ひとりの強みや脆弱性を考え、これらを理解することが重要だろう。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。