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看取りのドゥーラ ヘンリー・フェルスコ=ワイス(著) - 明石書店
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看取りのドゥーラ (ミトリノドゥーラ) 最期の命を生きるための寄り添い人 (サイゴノイノチヲイキルタメノヨリソイニン)
原書: Finding Peace at the End of Life: A Death Doula's Guide for Families and Caregivers

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発行:明石書店
四六判
328ページ
上製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-5482-8   COPY
ISBN 13
9784750354828   COPY
ISBN 10h
4-7503-5482-1   COPY
ISBN 10
4750354821   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年10月31日
書店発売日
登録日
2022年9月21日
最終更新日
2022年10月31日
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紹介

在宅ホスピスの患者さんの穏やかな死を助け、介護家族の悲嘆からの回復を支援するボランティア「看取りのドゥーラ」について、その役割から意義までをソーシャルワーカーである著者自身の経験をもとに綴る。高齢化にともなう「多死社会」の到来が迫り、家族による在宅死の看取りは他人事ではなくなりつつある現在おいて、医療化していた死を、自分たちの日常に取り戻す道筋を示す。

目次

 日本語版を手にとってくださった読者の皆様へ
 序文
 まえがき

第1章 異なる死への扉を開く者
第2章 看取りのドゥーラのアプローチとは
第3章 死にまつわる神話
第4章 人生の終わりに伝える真実
第5章 より深い内面への積極的傾聴
第6章 回想法と意味の探索
第7章 レガシープロジェクトに取り組む
第8章 最期の日々の過ごし方
第9章 誘導イメージ法
第10章 儀式
第11章 寝ずの番
第12章 再処理と悲嘆の癒し

 あとがき
 謝辞
 振り返りのための質問
 参考資料

 監訳者解説
 監訳者あとがき

前書きなど

序文

 (…前略…)

 何十年もホスピスのソーシャルワーカーとして働いてきたヘンリー・フェルスコ=ワイス氏は、自らの職場での制限に苛立ちを感じていました。どれほどの善意をもってしても、ホスピスのプロは必ずしも必要とされていることを提供できているわけではなかったのです。出産におけるドゥーラ運動から着想を得て、フェルスコ=ワイス氏はこの溝を埋めるための人材育成訓練を開発しました。最初のドゥーラたちが正式に訓練を終えたのは二〇〇四年。その後、二〇一五年に、氏は国際看取りのドゥーラ協会(INELDA)を共同設立しました。ドゥーラの重要性を説明するのに、彼ほど最適な人物はいないでしょう。
 では、ドゥーラとは何者なのでしょうか? 私たちは死に関しては初心者かもしれませんが、ドゥーラは他の看取りや他の死の経験を持ち合わせているのです。彼らはこの特殊な道を歩むためのガイドと言えるでしょう。ドゥーラは、死を迎える本人とその家族の両方をサポートし、死のかなり前から関わり始め、死後もしばらく関与します。ドゥーラが具体的にどのような仕事をするのかは、彼らの経験、死を迎える人の要求、そしてその家族の願いによって異なります。終末期ケアに携わる人々という母体の中でも、ドゥーラは独特な位置づけにあるのです。
 フェルスコ=ワイス氏の感動的なエピソードの数々を通して、私たちは死に逝く人に対し、どのように寄り添えばよいのか、本当に役立つその方法を見出すことができます。彼は、死に際の寝ずの番を成し遂げる方法や、より深い内面への聞き取り技術、文化的・宗教的規範に対する認識の深め方について説明します。また、死に逝く人が人生を振り返り、レガシーを残せるようにするためにはどうしたらよいのかも紹介します。彼が読者に伝えているのは、死を迎えることがどのようなことなのかということです。これこそが、プロが忘れがちな介護者の真のニーズなのです。すなわち、死ぬことに対する恐怖や間違った思い込みに目を向け、賢い判断を見逃さないことを学び、儀式を執り行う手助けをしてくれるのです。彼は次のように述べています。「ドゥーラの仕事は、今ここで、死に逝く人とその家族にとって最も支えとなることは何なのかを見極め、直感することです」。
 ドゥーラの仕事において最も重要なことは、他の人なら見逃してしまうような些細なことにも目を向け、焦点を当てる能力です。深い喪失感に囚われた家族は、死を迎える人がプライバシーを必要としていることを忘れてしまうかもしれません。ドゥーラはそうした必要性に目を向けます。身体的なニーズに集中している医療従事者は、患者のスピリチュアルな苦悩を見逃してしまうかもしれません。ドゥーラはそれを見つけ出します。フェルスコ=ワイス氏の言葉を借りれば、ドゥーラは「環境を整える」ことで、死につつある人へのケアのあれこれが、死につつあること自体に圧倒されないようにするのです。死を迎える人のベッドの向きはどうしますか? その人は最後に何を見るのでしょうか? 息を引き取りながら、何を聞き、何を感じ、何の香りを嗅ぎたいと思うのでしょうか? 家族の人たちは温かいお茶や休息時間を必要としてはいませんか? まだ伝えていない言葉はないのでしょうか?
 多くのアメリカ人は病院や介護施設で亡くなります。それが必要な場合もあるものの、多くの場合は、見送る側に看取り経験がないからそうならざるを得ないのです。ほとんどのホスピス団体は、介護の大部分を家族が行うよう要求します。しかしながら、その多くの人が経験不足であったり、時間や体力がなかったり、死に逝く親族の介護に恐怖心を抱いていたりするのです。私たちは愛する人を失う練習をすることはできません。しかし、何を想定すべきかを知っている人に頼ることはできます。
 この仕事には忍耐力、寛容さ、そして優しさが必要です。しかし、ドゥーラには安定性という確固たる軸があることを忘れてはいけません。本書もまたしっかりした内容で構成されています。医療従事者であれ、緊張した家族であれ、全ての介護者にとって学ぶべきことがここにはたくさんあるのです。そしていつか、カーテンを開けて欲しいと願いながら、誰かにその願いを聞き届けて欲しいと思いながら、ベッドに横たわる側の人になるであろう私たち全員にとっても有用な情報が多く含まれています。私たちは皆、いずれ死を迎えるでしょう。そして、本書で描かれているような人々のおかげで、その最期のときが穏やかなものになることを私は幸運に思います。

著者プロフィール

ヘンリー・フェルスコ=ワイス  (ヘンリー フェルスコ ワイス)  (

ヘンリー・フェルスコ=ワイス(LCSW)は、2003年から米国のホスピスで初めて看取りのドゥーラのプログラムを創設、臨死期ケアの場面における教育とプログラム開発を通じて、看取りのドゥーラ分野の成長を目指す非営利団体である国際看取りのドゥーラ協会(INELDA)を共同設立した。刑務所にいる受刑者や、退役軍人のグループに、死のプロセスにおいて、互いに奉仕できるよう指導を行っており、ホームレスや有色人種のコミュニティが利用する施設にドゥーラのアプローチを導入する方法を模索している。活動について詳しくは、INELDAのウェブサイト(inelda.org)で確認できる。

林 美枝子  (ハヤシ ミエコ)  (監訳

医療人類学者。北海道大学大学院医学研究科社会医学専攻博士課程修了。博士(医学)。日本医療大学総合福祉学部教授。
著書に『介護人類学事始め』(明石書店、2020年)。共著に『医療人類学を学ぶための60冊』(明石書店、2018年)、『北海道社会とジェンダー』(明石書店、2013年)、『森林医学』(朝倉書店、2006年)がある。

山岡 希美  (ヤマオカ キミ)  (

翻訳家。16歳まで米国カリフォルニア州で生活。同志社大学心理学部卒。
訳書に『男子という闇』(明石書店、2021年)、『無意識のバイアス』(明石書店、2020年)。共訳に『リモートワーク』(明石書店、2020年)、『教えて! 哲学者たち』(全2巻、大月書店、2016年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。