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オックスフォード哲学者奇行
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年11月10日
- 書店発売日
- 2022年11月4日
- 登録日
- 2022年10月12日
- 最終更新日
- 2022年11月18日
書評掲載情報
2022-12-10 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
ゴシップからはじめる不真面目な英国哲学入門。アンスコム、ストローソン、パーフィット、ケンブリッジのウィトゲンシュタイン……明晰で分析的な文章の裏にある、哲人たちの一風変わった人生とは。好評を博したウェブ連載の紀行エッセイを3万字増量して書籍化。
目次
Chapter1 オックスフォードに行ったら大学がなかった話
Chapter2 ライルのカテゴリーミステイク
Chapter3 「ロンが生きてるなんて珍しいね」
Chapter4 エアの新婚旅行とウィーン学団
Chapter5 哲学者のための学校――オックスフォードの哲学教育(1)
Chapter6 ライルの大学院改革――オックスフォードの哲学教育(2)
Chapter7 どのオースティン?
Chapter8 仲間に噛みつく猟犬――オースティンの二つの研究会(1)
Chapter9 哲学の生じる場――オースティンの二つの研究会(2)
Chapter10 苦悩する男、ハート
Chapter11 怒りに震えるアンスコム(1)
Chapter12 怒りに震えるアンスコム(2)
Chapter13 アンスコムと堕落した哲学者たち
Chapter14 ボヘミアンのマードック
Chapter15 マードックと二人の教師たち(1)
Chapter16 マードックと二人の教師たち(2)
Chapter17 フットとマードックと平底ボートの靴
Chapter18 ローラー車に轢かれるフット
Chapter19 ミジリーと配管工
Chapter20 悩みがないことに悩むウォーノック
Chapter21 ハンプシャーの尋問と試問
Chapter22 囚われのヘア
Chapter23 怖いぐらい賢いストローソン
Chapter24 反理論家ウィリアムズの誕生(1)
Chapter25 反理論家ウィリアムズの誕生(2)
Chapter26 哲学の修道僧、パーフィット
Chapter27 パーフィットと「重要な仕事」
Chapter28 ベジタリアンになったピーター・シンガー
Chapter29 ウィトゲンシュタインのオックスフォード
Chapter30 オックスフォードのウィトゲンシュタイン
SideStory 英国にサバティカルに行く人のために
あとがき
人名索引/事項索引
こぼればなし
(1)ライルとエアの旅行中の会話
(2)エアとマイク・タイソンの共通点
(3)石黒ひでのチュートリアル体験
(4)オースティンの求婚
(5)アンスコムの卒業試験
(6)アンスコムがズボンを脱いだ話の真偽
(7)アンスコムとギーチの出会い
(8)アンスコムの家と子どもたち
(9)教育者としてのアンスコム
(10)カトリック教徒としてのアンスコム
(11)アンスコムとギーチの夫婦関係
(12)良心的兵役拒否者のギーチ
(13)オースティンとアンスコムの共通点
(14)オックスフォードとケンブリッジを結ぶ鉄道
(15)サッチャーの不名誉博士号
(16)オースティンの耐えられない軽さ
(17)アイリス愛護協会
(18)マードックのウィトゲンシュタイン体験
(19)フットの映画館での経験
(20)フットの離婚
(21)マードックとミジリーのポスト争い
(22)パーフィットとチベット仏教
(23)ロワイヨモンの決戦
前書きなど
あとがき
アイドルはトイレに行かないという説がある。BTSという韓国の男性グループが好きな私の娘もそう信じている。娘の考えによると、BTSのメンバーは生まれたときから一度もトイレに行ったことがないが、いつかグループが解散したら各自トイレに行くようになるそうだ。では、哲学者はトイレに行くだろうか。デカルトやウィトゲンシュタインがトイレに行く姿は想像しにくい。恋愛などはなおさらであろう。昔の哲学者の肖像画や写真だけを見ていると、哲学者はみな中年か高齢者で、恋愛もせず、霞を食って生きていたのではないかと思うかもしれない。心の哲学の分野で有名なコリン・マッギンも、自伝的な哲学入門書の中で次のように書いている。
哲学者のステレオタイプの一つとして、哲学者は一人で一日中部屋に籠り、絶え間なく思索を行っている、というものがある――まるでひたむきな哲学者の人生には愛もセックスもないかのように。
決して笑い事ではないが、こう書いたマッギン自身は、その後セクハラ問題を起こして大学を退職し、はからずも上記のステレオタイプを打ち破った。本書はそのような人倫に背いた仕方ではないやり方で、哲学者もトイレにも行けば風呂にも入り、恋愛もすれば戦争にも行く身近な存在であることを示そうとしたものである……と言えなくもない。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。