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ボルネオ島における持続可能な社会の構築 鈴木 和信(著) - 明石書店
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ボルネオ島における持続可能な社会の構築 (ボルネオトウニオケルジゾクカノウナシャカイノコウチク) 自然資本を活かした里山保全 奮闘記 (シゼンシホンヲイカシタサトヤマホゼンフントウキ)

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発行:明石書店
A5判
200ページ
並製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-5273-2   COPY
ISBN 13
9784750352732   COPY
ISBN 10h
4-7503-5273-X   COPY
ISBN 10
475035273X   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年10月20日
書店発売日
登録日
2021年9月1日
最終更新日
2021年10月13日
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紹介

国際開発援助に携わる著者が、赤道直下・ボルネオ島の小さな村で現地の人々とともに、気候変動と大規模開発による生態環境システムの崩壊危機を乗り越え、「人(サト)-自然(ヤマ)の共生社会」の構築にむけて奮闘する姿を綴った記録。

目次

はじめに
 私の任務
 モデル村の選定
 Tudan村との出会い

第1章 Tudan村での活動――環境保全と地域開発の調和を目指して

 1 Tudan村を知るための基礎的な情報集め
  村のビジョンがない
  村や村人を知りたい
  みんなが同じ認識を持っていない
  ベースライン調査
  調査の主体は地域住民――ローカルチャンピオンの発掘
  Tudan村の概要
  村人の職業と生活
  もっと見える化しよう――コミュニティマッピング
  農業の実態――季節カレンダーの作成
  村の歴史と文化
  伝統的な農業と防災意識
  伝統的な薬草
  幸福度・満足度調査の実施
  村の環境と住民の満足度
  男女における満足・不満足における差
  村人の幸福感と誇り
  村人の幸せを維持していくには?
  三次元モデルの作成
  P3DM活動を通じてわかったこと

 2 さまざまな実践活動
  女性グループの立ち上げ
  もう一人のローカルチャンピオンの誕生
  農業生産性の向上に向けた取り組み――コンポストと竹炭作り
  村の新商品開発に向けた取り組み――マルベリー栽培
  マルベリーを使った新商品の開発
  マルベリー商品の販売戦略と今後の課題
  洪水は起こるべくして起きた
  政府と住民の初めてのコミュニケーション
  養蜂活動支援
  養蜂研修の実施
  蜂蜜分析
  分析結果の評価
  蜂蜜の奥深さ――蜂蜜のブランド化
  蜂蜜の販売に向けて
  森-山-里-川-海といった異なる生態系をつなぐ教育活動

 3 いろいろな新しい発見
  化学肥料を使っていた!
  いいことばかりではない! 妬み勃発か?
  なぜ妬みが生じているのか? 本当の問題とは?
  オープンな村人の妬み――もう一つの事例

 4 Tudan村の将来計画の作成

 5 開発援助のその後――どうなったか?
  モデルに選ばれた
  大学の目に留まった
  リピーター客の誕生
  女性グループ中心の商品販売

 6 援助の役割と使命――他の地域や国でも役立つ教訓・知見の整理
  住民の目線に立った関係作り
  住民の「任せろ」という気持ちを助長する取り組み
  伝統的農業を生かした近代的農業の実践
  若者世代による地域活性化のための経済活動
  チェンジエージェントの発掘・育成・活用
  地域作りのカギは女性
  ローカルガバナンスの強化
  関係者の合意形成を促進する国際条約・国際的な枠組みの活用

第2章 グローバルとローカルをつなぐ持続可能な社会に向けて

 1 環境や資源を知る、守る、持続的に利用する
  自然を守ること――保護区の設置
  国際市場と土地利用
  サバ州の食料事情
  有望なバイオマスエネルギー――ラビットリミット
  日本の小型原発一基分に相当するバイオマスエネルギー
  ローカルレベルのエネルギー事情
  オイルパームの殻を使った建築
  自然資本の経済的価値
  環境保全のための国際的な経済的手法
  持続可能な開発のための教育――think globally, act locally
  ポリシーミックスのススメ

 2 地域での実践と多様な価値観
  新しい価値観の創出――Tudan村でのP3DM活動からの学び
  グローバルとローカルの視点――地域のアイデンティティ
  伝統 vs 科学? ――巣箱を巡る新しい展開
  異なる価値観の対立を超えて新しい価値観の創出へ
  土と共に生きる
  自然にあるものを利用――窒素・リンの固定・吸収能力の向上
  焼畑は悪いのか?
  驚愕の発見――黒土の正体
  国際的な最新トレンドと地域事情の大きなギャップ
  愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
  資源の呪い

 3 いろいろなつながりを考える
  過去-現在-未来をつなぐ――DVD貸し出し、図書貸し出し
  都市と農村のつながり――都市部こそ元気になれ!
  ひとと自然のつながり――人間中心主義(ピラミッド)から共生主義へ
  日本と途上国のつながり――日本の経済状況は厳しいのになぜ日本は国際協力を行うのか?
  おいしい・きれい・ただしい関係
  地球規模課題と地域課題のつながり――地域の問題としての気候変動問題
  地域循環共生圏の実現に向けて――世界のモデル

第3章 悩みと希望が錯綜する時代を生き抜くために――Tudan村からのメッセージ
  外部の助言に惑わされない誇り高い決断――自分という存在価値を守ること
  小ネタと大ネタ――希望学のススメ
  幸せとは何か?
  幸せの裏にある孤独と不安との闘い
  足るを知る生活
  マイナーサブシステンス――遊びと仕事の間のススメ
  自立できない地域は価値がないのか?
  大人の役割
  本物を見極める感性を大事にする
  効率性と手間暇――小粒納豆と大粒納豆
  デジタル技術革新と手間暇
  本質的な幸福感や安心感――何でも手に入る時代に手に入れるのが難しい
  今の学生に求められるもの――学士力
  これからの日本――知的好奇心とチャレンジ精神
  これからの世界――国際人としての価値観
  感性溢れる個性的な人間になるために
  コロナ禍のなかの苦しみと希望

  あとがき
  参考文献・参考図書
   参考・引用WEB一覧

前書きなど

はじめに

 (…前略…)

 本書の構成は以下のようなものとした。まず、私がサバ州のある村のひとびととの交流をまとめた記録を記し、その上で業務を通じた知見や教訓といったものを整理した(第1章)。同時に、そこから紡ぎだされた教訓や示唆はサバ州にとどまらず、日本も含め世界規模でみても有用なものが多いと考え、それらを少し専門的な知見も含めて解説した(第2章)。さらに、読んでいただける皆さんと共有したいこと、今の日本で生きていくために大事なこと、あるいは今のせわしい社会で忘れがちなものと思われるものを整理した(第3章)。私が講師を務めていたいくつかの大学の講義でこの本のなかに書いてあることを話した時に一定の反応を感じた。20歳前後の若者世代のすべてではないが何人かの若者の心に何かが響いたことを感じることができた。20歳前後の若者は将来に関して大いに悩んでいる。そんな若者を意識して書いたのがこの本である。本書に出てくる研究や調査の結果の詳細をお知りになりたい場合には、巻末の参考文献・参考図書をご参照いただければと思う。表現はできるだけ平易にしたつもりだが、わかりづらいというものはひとえに私の表現力と語彙力に起因するものである。また、本書に出てくる情報やデータ、また表記については細心の注意をもって確認をしたつもりであるが、不明瞭な点があるとすれば、ひとえに私の責任であることを予めお断りしておきたい。多くの方に目を通していただき、これからの生活を充実させるための何かしらのヒントやきっかけを提供できたとすると望外の喜びである。

 (…後略…)

著者プロフィール

鈴木 和信  (スズキ カズノブ)  (

環境保全と村落開発を中心とした国際協力に約25年携わる。スイス、タイ、ベトナム、マレーシア等の海外駐在の経験あり。現在は南国フィジーにて単身滞在中。持続可能な社会の構築のための調査研究や現場活動に取り組む。農学博士。技術士(環境)。

上記内容は本書刊行時のものです。