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子どもの精神科入院治療
子どもを養育するすべての人へ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年10月30日
- 書店発売日
- 2021年10月22日
- 登録日
- 2021年9月1日
- 最終更新日
- 2021年11月5日
紹介
精神科の入院治療において、どのように子供に関わり、社会で生きていくための力を身に付けさせていくのか。現場で実際に行われている治療を紹介しながら、医師のみならず、子どもを養育するすべての人にあるべき子どもとの向き合い方を解説。
目次
序文
第1章 入院前の子どもたち
はじめに
第1節 子どもたちが入院前に経験していること
1.外来治療の始まり
2.入院に至る前に子どもたちが経験すること
3.子どもが入院までに努めてきたこと
4.破綻した努力・防衛機制
5.具体的な方針
第2節 入院に向けて
1.入院を判断する
2.入院を説得する
3.子どもにとって入院することの意味
4.子どもの入院が家族に及ぼす影響
コラム 不安は子どものものか、職員のものか
コラム 入院治療における、対人関係場面での媒介の意味
第2章 入院治療に向き合う基本的姿勢――子どもの成育を促すために
はじめに
第1節 入院治療に携わる人の心構え
1.入院治療で育んでほしい力
2.子どもの成育にとって必要なこと
3.入院治療の場でスタッフに求められる心構え
第2節 入院治療で子どもに提供されるべき環境
1.入院治療における日常
2.治療目標を明確にする
3.さまざまな治療の仕掛け、そして治療的介入のあり方
4.逸脱行動やトラブルへの対応
5.重度知的障害を伴う発達障害児が他の子どもと共に生活することの意味
コラム 身体距離について
コラム 「言うことをきかせる」と「言うことをきくようになる」
コラム 入院治療における「ゲーム」や「携帯電話」の扱い
第3章 具体的な入院治療の進め方――一人ひとりの子どもを見つめながら
はじめに
第1節 入院治療の進め方――入院治療管理システム
1.入院時アセスメントの大切さ
2.病棟カンファレンスで維持され、発展していく治療
第2節 入院治療で提供される枠組み
1.病棟生活の提示
2.さまざまな治療の枠組み
第3節 子どもの集団で生まれる治療
1.集団の力を治療に生かす技
2.個別的関わりから集団へ
3.逸脱行動やトラブルを治療に生かす術
コラム 体罰について
コラム 退行をどう捉え、対応するか
コラム 苦手なことの克服について
第4章 子どもの入院治療の実際――子どもの入院治療を円滑にするために
はじめに
第1節 親支援、親への関わり
1.親のさまざまな姿
2.入院直後の親への関わり
3.親(親子関係)への治療的介入
第2節 療育――治療につながる集団活動
1.療育活動について
2.治療キャンプ
第3節 医療連携課の役割について
1.医療連携課とは
2.入退院調整会議について
3.病棟における医療連携課の役割
4.医療機関、教育・福祉機関、地域との連携
第4節 地域支援課の役割について
1.発達総合支援部地域支援課とは
2.CLMと個別の指導計画について
3.地域支援課(児童精神科)の役割
第5節 学校教育と学校との連携について――主にあすなろ分校について
1.三重県立かがやき特別支援学校について
2.入院児童の教育について
3.センターと学校(分校)との連携手段について
4.入院している子どもを通じた連携
5.連携における課題
コラム 子どもの発した言葉をどう捉えるか
コラム スプリッティングについて
第5章 退院について
はじめに
第1節 退院に向けて
1.入院中に家庭や地域との関係をいかに保つか
2.面会、外出、外泊の治療的意味と実際の活用
3.退院後の地域の環境を整える
4.テスト通学について
5.さまざまな関係性や自分の特性などを整理する
第2節 退院前後
1.退院後の生活をイメージする
2.退院に向けての具体的な準備
3.退院後のフォローについて
4.退院後に利用できるセンターの機能について
コラム 大人が「枠」になることについて
コラム 子どもの人権と入院治療について
付章 三重県立子ども心身発達医療センターについて
1.沿革
2.三重県立子ども心身発達医療センターの概要
3.三重県立子ども心身発達医療センターの基本理念
4.外来診療の概要
5.入院治療の概要
6.建物の構造等環境について
コラム ミニカンファレンスについて
コラム 思い入れと客観性について
コラム コロナ禍において考えること
あとがき
前書きなど
序文
この本は、いわゆる入院治療のマニュアル本ではありません。当センターの職員に向けて伝えたいことを書こうと、共著者と話し合って書かれたものです。あすなろ学園の統合移転に伴う通勤のしにくさから、離職する職員がある一方、新たな職員が増えたことによって、これまであすなろ学園で培われた病棟の文化が薄らぎ、治療力が低下してしまう危機感を感じていました。「暴力に対して」「性的逸脱行為に対して」「摂食障害への対応」など、院内に設置されたプロジェクトチームによって作成された「マニュアル」があり、各々の専門職別の人材育成のノウハウも存在していましたが、治療における基本的な考え方や「治療する心構え」を伝えるのは難しいことだと感じていました。そのために、それを本にまとめて伝える必要があると考えました。
それゆえ、子どもと関わり子どもを育てる姿勢を意識して著しているので、児童養護施設などの児童福祉関連の職員や、現在子育てをしている親が読んでも参考にできる内容になっているものと自負しています。もちろん各地で児童精神科病棟が新たに設立されるなかで、子どもの治療を模索している方々の参考にしていただけるよう、当センターの治療の在りようやある程度のノウハウも記載するように意識しました。すなわち子どもに関わるあらゆる職種の人々、養育者に手に取ってほしいと願って書き上げたつもりです。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。