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公立学校の外国籍教員
教員の生(ライヴズ)、「法理」という壁
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年11月30日
- 書店発売日
- 2021年12月9日
- 登録日
- 2021年10月26日
- 最終更新日
- 2021年12月14日
書評掲載情報
2022-01-29 |
毎日新聞
朝刊 評者: 岩間陽子(政策研究大学院大学教授・国際政治) |
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紹介
日本の公立学校のなかで正規外国籍教員は、多くが「任期の期限を附さない常勤講師」として採用される。授業はできるが、管理職にはなれず、校務の運営には参画できない。現場に立つ6人の外国籍教員のライフヒストリーを軸に、学校・制度の問題点と課題を浮き彫りにする。
目次
刊行に寄せて[田中宏]
はじめに[中島智子]
第1部 外国籍教員に出会う
第1章 外国籍(ルーツ)教員のライフストーリー[権瞳・中島智子・榎井縁]
はじめに
1 金相文さん――教諭として全うした教員生活
2 方政雄さん――定時制高校の教員として
3 コンダイア・クリシュナさん――ALTから高校英語教員へ
4 長尾雅江さん――国際理解を身近にできる授業実践を
5 リー・タイワーさん――多様な外国籍教員がいることが大切
6 シェルトン・ジョンさん――PTA会長から民間人校長に
第2章 当事者の語りからみる外国籍(ルーツ)教員の世界[権瞳]
はじめに
1 調査概要
2 外国籍(ルーツ)教員を取り巻く社会背景と採用世代
3 被教育経験・教員になるまでの道・教員となってからの経験
おわりに
第3章 マイノリティ教員の経験[呉永鎬]
1 教員の多様性/多様な教員たち
2 マイノリティが教員になることを阻む社会構造的な問題
3 障害学生が直面する3つの壁
4 子どもにとってのマイノリティ教員
5 同僚との関係および職場環境
おわりに
第2部 外国籍教員問題を考える
第4章 公立学校外国籍教員の「教諭」任用問題[中島智子]
はじめに
1 旧植民地出身教員の処遇
2 国籍要件廃止と教諭任用の動き(1974年~1982年)
3 教諭任用をめぐる中央と地方の攻防(1982年~1990年)
4 国籍要件の廃止と〈常勤講師〉の固定化(1991年以降)
5 「91年」後の外国籍教員数の増加と横たわる課題
6 教諭は不可、講師は可の論理――「任用の期限を附さない常勤講師」という職
おわりに
第5章 国公立大学外国人教員任用法と公立小中高校等の教員[中島智子]
はじめに
1 外国人教員任用問題に関する大学教員の動き
2 国会での法案作成の経緯
3 「任用法」成立のその後
4 公立小中高校等の外国籍教員問題との関係
第6章 外国人公務就任権と公務員に関する「当然の法理」という制約[中島智子]
はじめに
1 同「法理」はいつ生まれ、どのように変化してきたのか
2 同「法理」をどのように考えるか――外国人の人権の視点から
3 同「法理」が体現する外国人排除の構造
第7章 教育のグローバル化と外国籍教員[中島智子]
はじめに
1 グローバル化への教育対応と教員採用の弾力化
2 英語能力を重視した特別選考と外国籍教員
3 ニューカマー児童生徒の教育支援と外国籍教員
おわりに
第8章 諸外国における外国籍教員の任用・雇用状況[権瞳]
はじめに
1 調査の概要と背景
2 国籍要件の要否状況
3 諸外国の状況と日本の位置づけ
おわりに
終章 外国籍教員研究の問題構成と今後の課題[呉永鎬]
1 本書刊行の背景と問題意識――今、外国籍教員問題を語る意味
2 本書の知見と主張――研究史上の位置
3 外国籍教員問題を継続して考えていくために
おわりに(謝辞)[中島智子]
資料
前書きなど
はじめに[中島智子]
(…前略…)
本書は、外国籍教員の実態を扱った第1部(第1章~第3章)と、外国籍教員問題を多角的に検討した第2部(第4章~第8章)、及び終章で構成されている。
第1部第1章では、6人の外国籍(ルーツ)教員のライフストーリーを紹介している。第2章では、私たちが聞き取りをした当事者の語りから、外国籍教員の実態を社会背景と採用世代から分析し、また教員生活の実際と課題をまとめた。第3章は、国籍以外の「マイノリティ」教員を取り上げた。
第2部第4章は、戦後の公立学校外国籍教員任用の経緯をまとめている。第5章では、国公立大学外国籍教員任用問題を取り上げて、大学と高校以下での外国籍教員任用の違いに注目した。第6章では、教諭任用制約の問題を考えるために、外国籍者の公務就任権と公務員に関する「当然の法理」の検討を行った。第7章では、近年の教育のグローバル化対応の中で生じている「特性のある外国人」の教員採用を扱っている。第8章では、日本を相対化する視点を得るため、諸外国における外国籍教員採用状況の調査結果をまとめた。
終章では、本書全体のまとめを行い、課題を整理している。
全体としての構成を意識して執筆しているが、各章のどこから読んでもいいように説明が重複する部分もある。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。