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「日本語教師」という仕事 倉八 順子(著) - 明石書店
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「日本語教師」という仕事 (ニホンゴキョウシトイウシゴト) 多文化と対話する「ことば」を育む (タブンカトタイワスルコトバヲハグクム)

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発行:明石書店
A5判
192ページ
並製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-7503-5198-8   COPY
ISBN 13
9784750351988   COPY
ISBN 10h
4-7503-5198-9   COPY
ISBN 10
4750351989   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年4月10日
書店発売日
登録日
2021年3月19日
最終更新日
2022年5月6日
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紹介

外国人に日本語を教えるときに留意すべきことはなにか。最新の言語学や心理学の知見をもとに日本語をわかりやすく教えるために必要な教材や教師としての働きかけ方などを、長く日本語学校で実践してきた経験に基づいて伝える。多文化に開かれた日本語の教え方。

目次

 はじめに
1 日本語教師とはなんだろう
2 学びの契機としての「対話」と他者へのリスペクト
3 多文化共生とはどういうことか
4 異文化を受け入れるために
5 母語の獲得から学ぶこと
6 日本語を教えるには何が必要だろう?
7 Good Language Learnerに育てるために
8 学ぶ意欲を育むために
9 効果的な学習方法
10 コミュニケーション力をつける授業の実践例
  1 漢字教育
  2 作文教育
  3 ディベートの授業
11 ひらかれた日本語のために――「やさしい日本語」という考え方
12 よい日本語教師になるために

  あとがき
  索引

コラム
 1 千野栄一(1986)『外国語上達法』岩波新書
 2 齋藤孝(2002)『読書力』岩波新書
 3 アムネスティ・インターナショナル日本支部/谷川俊太郎(1990)『あたりまえに いきるための世界人権宣言』金の星社
 4 金田一春彦(1988)『日本語新版(上)(下)』岩波新書
 5 白川静監修・山本史也著(2004)『神さまがくれた漢字たち』理論社
 6 林望(2018)『謹訳 改訂新修 源氏物語』(1~10)祥伝社文庫
 7 西林克彦(1994)『間違いだらけの学習論――なぜ勉強が身につかないか』新曜社
 8 荒川洋平(2009)『日本語という外国語』講談社現代新書
 9 ドナルド・キーン/河路由佳(2020)『ドナルド・キーン 私の日本語修行』白水社
 10 ウスビ・サコ(2020)『「これからの世界」を生きる君に伝えたいこと』大和書房
 11 庵功雄(2016)『やさしい日本語――多文化共生社会へ』岩波新書
 12 大村はま(1973)『教えるということ』共文社

前書きなど

はじめに

 日本で学ぶ留学生が30万人を超えました。留学生に日本語を教える日本語教師は4万人います。そして、その日本語教師になろうとして、日本語教員養成講座を受講している人も増え続けています。私がかかわっている大学の日本語教員養成課程も2020年度は34名の学生が資格取得を目指してとりくみ始めました。いつもの3倍の学生たちです。
 日本語教室にはいろいろな日本語教師がいます。学生に日本語力をつけられる日本語教師、つけられない日本語教師。そのちがいはどこにあるのでしょうか。「日本語教師になっていく」とは、どういうことなのでしょうか。本書はそのことを考えようとするものです。
 日本語教員養成課程での実習生の模擬授業の1回目。「先生のあとについて言ってください」という実習生。この無自覚的に出てくる「先生」という言葉には、留学生教育にかかわったことのない実習生の素朴な「留学生観」が現れています。
 日本語教員同士の振り返り、教員室で、留学生について、次のような「感想」を言いあう日本語教師たち。
「ベトナム人学生Aさんは、アルバイトで疲れているのかな。ずっと寝ていた」
「中国人学生Bさんはケータイばかりで、聞いていない。ほとんど話せないし」
「中国人学生Cさんは、勉強する気がない。わかりませんというだけ」
「ウズベキスタンの学生D、Eさんはおしゃべりばかりしている」
「14課の『て形』、きのう入れたのにまだ入っていない」
「あの学生は勉強しない。福建省出身だからしょうがないかな」
これらの発言には、「教えること」につかれた日本語教師たちの、素朴な『留学生観』『学習観』『授業観』『文化観』が出ています。このような『感想』を言い合うことを通して、日本語教師はエネルギーを奪われ、「教える」ことにさらに疲れていきます。そして、留学生たちは、コミュニケーションできる楽しさを感じられず、「日本語で話すこと」をあきらめていきます。
 それでは、留学生をどう観れば、学習をどう観れば、授業をどう観れば、文化をどう観れば日本語教師は、教えることを喜びとすることができるのでしょうか。そして、学生たちにコミュニケーション力をつけることができるのでしょうか。
 日本語教室には、疲れていても、寝てしまっても、おしゃべりしようと、留学生たちが来てくれます。日本語教師はこの来てくれる留学生と、教室で向き合える機会を与えられています。コロナ禍で今までの対面授業だけではなく、オンライン授業もとりこんだハイフレックスな授業が求められている現在、どのように向きあえば、教師自身が楽しくなり、留学生を学びに導き、留学生にも日本語を学ぶのは楽しいと感じてもらい、結果として日本語力をつけることができるのか、本書ではこのことについて考えていきます。

著者プロフィール

倉八 順子  (クラハチ ジュンコ)  (

慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻博士課程修了。博士(教育学)。
明治大学農学部助教授を経て、現在東京富士語学院副校長・教務主任、和洋女子大学講師(日本語教員養成課程)、NPO法人たちかわ多文化共生センター理事、2021年度日本語教育学会調査研究推進委員会委員。立川市多文化共生推進検討委員会委員。
[主な著書]
『コミュニケーション中心の教授法と学習意欲』風間書房、1998年
『こころとことばとコミュニケーション』明石書店、1999年
『日本語の作文技術 中・上級』古今書院、2000年
『多文化共生にひらく対話――その心理学的プロセス』明石書店、2001年
『日本語表現の教室 中級――語彙と表現と作文』古今書院、2005年
『日本語の作文力練習帳 上級――大学・大学院で学ぶために』古今書院、2012年
『日本語の論文力練習帳 改訂版』古今書院、2019年
『対話で育む多文化共生入門――ちがいを楽しみ、ともに生きる社会をめざして』初版第2刷、明石書店、2020年
[分担執筆]
渡戸一郎・川村千鶴子編著『多文化教育を拓く』明石書店、2002年
縫部義憲監修/迫田久美子編集『言語学習の心理』〈講座日本語教育学〉第3巻、スリーエーネットワーク、2006年
安藤寿康・鹿毛雅治編『教育心理学――教育の科学的解明をめざして』慶應義塾大学出版会、2013年
外国人人権法連絡会『日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書』2020年
[訳書]
ブラゼルトン・グリーンスパン『こころとからだを育む新育児書』明石書店、2004年

上記内容は本書刊行時のものです。