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教示の不在 園田 浩司(著) - 明石書店
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教示の不在 カメルーン狩猟採集社会における「教えない教育」

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発行:明石書店
A5判
308ページ
上製
価格 5,400円+税
ISBN
978-4-7503-5188-9   COPY
ISBN 13
9784750351889   COPY
ISBN 10h
4-7503-5188-1   COPY
ISBN 10
4750351881   COPY
出版者記号
7503   COPY
 
Cコード
C0039
一般 単行本 民族・風習
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年3月31日
書店発売日
登録日
2021年3月19日
最終更新日
2021年4月27日
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紹介

狩猟採集社会では教育が行われないという。子どもが自発的に生業活動に参加し、知識と技術を身につける。学習の過程において子どもと周囲はどのように関わり、互いにどのように位置づけるか、そのメカニズムを膨大な調査データに基づき実証的に示した。

目次

はじめに
 「ムフー」と鳴いた
 本書の方法
 本書の構成

第1章 待つともなく待つ
 第1節 目的のはっきりしない態度
 第2節 ゴドーを待ちながら
 第3節 ピグミー系狩猟採集民
 第4節 バカ
 第5節 教示の不在と自律
 第6節 本書の問いと関係性の学び
 第7節 相互行為分析の基本的な考え
 第8節 書き起こしに伴う困難
 第9節 狩猟採集社会と相互行為研究
 コラム1.言語の数へのこだわりのなさ

第2章 半人前の狩猟者の一人前の参加
 第1節 教育的態度に見えないということ
 第2節 村から森へ
  1 やかましい村
  2 森の豊かさ
  3 キャンプ調査概要
  4 キャンプではどの家に滞在していたか
 第3節 大人の活動集団への参加
  1 子どもとはだれか
  2 子どもが参加する活動の種類
  3 オニネズミ猟
 第4節 相手目線への委ね
  1 子どもの何気ない行為から始まる参加
  2 明け透けな相互行為資源
  3 熟練者になるために
 第5節 人と森の協働
  1 一人前の大人のような振舞い
  2 教示の不在と教示的無関心
 コラム2.文字と灰

第3章 子どもが権威者になるとき
 第1節 相手の主導権を奪わないくりかえし
 第2節 大人・青年における子どもの発話のくりかえし
 1 〈学習者〉として位置づけない
 2 対等に参加させる
 3 子どもの知覚への委ね
 4 観察の受け入れ
 5 体験語りへのあいづち
 第3節 関係の柔軟さ
 1 個人の経験から知識を組み立てる
 2 環境物の配置
 3 「教え-教えられる」関係の反転
 コラム3.森のクリスマス

第4章 バンガ(bangà)で社会を覗き見ろ
 第1節 狩猟採集社会とシェアリング
  1 自己裁量のシェアリング
  2 シェアリングにかかる社会規範
  3 シェアリングの学習
 第2節 獲物の解体手伝い
  1 解体の進め方
  2 愉快な雰囲気
  3 解体場の相互行為環境
 第3節 「要求」に見る子どもの相互行為方略
  1 バンガbangà――取り分の主張
  2 相互行為場からの大人の締め出し
  3 大人が定式化した規則の解釈
 第4節 学習機会を引き出すバンガ
  1 大人が居合わせる場での子ども同士の社会化
  2 自己裁量のシェアリング
 第5節 子どもから見た社会の眺め
  1 だれが子どもを世話するのか
  2 世帯調査
  3 共住する家族の構成
  4 成熟(kobo)をめぐる子どもたちの会話
  5 互いを差異化する試み
 コラム4.「文明」をひと呑みするうつろさ

第5章 リーダーは複数いる
 第1節 ピア・トークと行為指示
 第2節 バカの子どもの遊びと平等主義
 第3節 ピグミー系狩猟採集社会の集団猟
 第4節 子どもたちだけのオニネズミ猟
 第5節 行為指示の種類
  1 自己選択としての要求
  2 全参加者への命令:「みんなやれ(you all do)」構文
 第6節 平等主義的な関係を築く彼らのやり方

第6章 学校が森になじむには
 第1節 子どもが参加する生業活動
 第2節 キャンプでの子どもの活動時間と内容
  1 男子ウェサンボの行動概要
  2 女子ポテの行動概要
  3 子どもたちの生態環境
  4 コミュニティに見られる学びの機会
 第3節 なぜ学校に行けないのか
 第4節 生態学的知識と切り離さない学び

終章 教示的無関心は教育技法ではない
 第1節 教示の不在と教示的無関心の違い
 第2節 教育技法でなければ何なのか(3つの結論)
  結論1.教示的無関心は、教示者が実践するべき特定の行為ではなく、関係の中の個のあり方の問題である
  結論2.教示的無関心は大人と子ども、教示者と学習者のあいだに、いち実践者同士の関係を形成する
  結論3.教示的無関心の背景には、予見しない出来事が起こる環境がある
 第3節 一人ひとりの学びが異なるということ
 第4節 教え-教えられる者の関係性の反転――レイモンド・カーヴァー『大聖堂から』
 第5節 文化理解のいち実践者同士の関係性――ワークショップ

 あとがき
 参考文献
 初出一覧
 索引

前書きなど

はじめに

 (…前略…)

本書の構成
 本書の構成は次の通りである。
 まず第1章では、教示の不在と自律をめぐる問題の所在を明らかにする。
 第2章では、大人たちがおこなう集団猟に、子どもがどのように参加するようになるのかを見ていく。ここでは大人による教示の不在を読み解く手がかりとして、「相手目線への委ね」に注目する。
 第3章では、大人による子どもの発話のくりかえしに注目する。多様な協働場面で、子どもが大人に対して、一時的な認識的権威になることがある。大人による教示の不在が、いかにそれを組織しているかを描く。
 第4章では、獲物の解体場面に着目し、大人たちの傍らで子ども同士が独自の生活世界を作り上げている様子を描く。
 第5章では、子どもだけでおこなわれた集団オニネズミ猟を取り上げる。特定のリーダーが存在しない集団組織の編成が、子どもたちの作業環境が持つどのような特徴に由来するのかを探る。なお第4章と5章は、子ども同士の会話(ピア・トーク)を扱う。
 第6章では、学校と生業活動との両立の問題、そして現在の取り組みについて紹介する。
 最後に終章では本書議論を整理し、バカ社会の初学者――熟練者、子ども――大人の関係性と自然環境との結びつきについて考察する。これをふまえて、わたしたちの学びの現場をどのように捉え直すことができるのかを考えていく。

著者プロフィール

園田 浩司  (ソノダ コウジ)  (

1984年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科アフリカ地域研究専攻の博士課程を修了。博士(地域研究)。現在、京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員。専攻は人類学、相互行為分析、アフリカ地域研究。主な著書に、『発話の権利』(共著、ひつじ書房、2020年)、『子どもたちの生きるアフリカ――伝統と開発がせめぎあう大地で』(共著、昭和堂、2017年)、『動物と出会うⅠ――出会いの相互行為』(共著、ナカニシヤ出版、2015年)、その他の論文に「やがて手離す言葉をめぐる言語社会化――狩猟採集社会バカの子どもとbangà」(『文化人類学』84巻3号、2019年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。