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韓国のミドルクラスと朝鮮戦争 崔 銀姫(著) - 明石書店
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韓国のミドルクラスと朝鮮戦争 転換期としての1990年代と「階級」の変化

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発行:明石書店
四六判
280ページ
上製
価格 4,000円+税
ISBN
978-4-7503-5187-2   COPY
ISBN 13
9784750351872   COPY
ISBN 10h
4-7503-5187-3   COPY
ISBN 10
4750351873   COPY
出版者記号
7503   COPY
 
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年4月7日
書店発売日
登録日
2021年3月19日
最終更新日
2021年4月27日
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紹介

民主化抗争やソウルオリンピック、朝鮮戦争関連番組を通して1990年代の韓国社会を抉り出しながら、ダイナミックなミドルクラスの境界侵犯の実態を「転換期」として分析的に捉え直した文化社会学的アプローチによる朝鮮戦争研究の意欲作。

目次

序章 ポスト冷戦期韓国のミドルクラスを考えることとは
 1.なぜ1990年代のミドルクラスなのか
 2.ミドルクラスの理論的意味範疇
 3.先行研究の動向
 4.理論のフレームワーク
 5.構成と概要

第1章 浮き彫りとなったミドルクラス――前景としての1980年代
 1.88ソウルオリンピックの誘致(1981年)と造られるミドルクラス「らしさ」
  1.1 五輪誘致(1981年)と五輪の目標
  1.2 都市開発と「クラス」づくり
  1.3 南北会談決裂と北朝鮮のテロ事件
  1.4 五輪の「国民意識調査」とミドルクラス
 2.民主化運動(1987年)と可視化されたミドルクラスの特徴
  2.1 1980年代のミドルクラスの増加とその性格
  2.2 6月「民主化抗争」とミドルクラス
  2.3 「民衆」と「市民」の間
 3.ポッカリと空いた心の穴と次の1990年代へ――冷戦の終焉と対共産圏政治の転換

第2章 ミドルクラスと朝鮮戦争の記憶の仕方
 1.民主化運動と問われる「公営」放送の在り方
 2.戦後40年と『韓国戦争』(KBS、1990年)
  2.1 制作背景
  2.2 番組概要
  2.3 ミドルクラスと「まなざし」
  2.4 番組評価
 3.ミドルクラスと「南南葛藤」
 4.新自由主義の試練とミドルクラス

第3章 「反共捕虜」とイデオロギーの彼方
 1.朝鮮戦争と『76人の捕虜たち』(MBC、1993年6月放送)
  1.1 番組制作背景
  1.2 番組概要
  1.3 戦争捕虜と「76人の戦争捕虜」
  1.4 番組内容
 2.「反共捕虜」と自主棄民
 3.ミドルクラスと「帰国」
 4.ミドルクラスと『廣場』の李明俊――不在する「廣場」が意味するもの

第4章 グローバル化と脱北者の増加――「離脱」へのまなざしの変化
 1.北朝鮮における転換期としての1990年代――金日成死亡と食糧危機
 2.脱北者への様々な言説
  2.1 「失郷民」から「離散家族」へ
  2.2 「越南帰順者」から「離脱住民」へ
 3.脱北者の増加と言説の変化
  3.1 1990年代の脱北者の増加
  3.2 エンタメ化された脱北者へのまなざし
 4.ミドルクラスと「離脱」

第5章 新自由主義とネットワーク時代のミドルクラス
 1.グローバル化と「移住」の序列
 2.新自由主義と「資本」としての多文化政策…
 3.「統一」と「平和」の間
 4.新自由主義とネットワーク時代の階級

終章 ミドルクラスはなぜ問われるのか
 1.戦後40年、1990年代のミドルクラスと「反共」言説の変化(総括と成果)
 2.「和解」の未来へ――「赦し」のアポリアを超えて

 あとがき

 番組テンプレート
 韓国放送局(KBS)における歴代「朝鮮戦争」関連企画番組(テレビドキュメンタリー)一覧
 参考論文及び参考文献

前書きなど

序章 ポスト冷戦期韓国のミドルクラスを考えることとは

 (…前略…)

5.構成と概要
 本稿は、序章と終章、そして第1章から第5章までの本文といった7つのパーツで構成されている。序章では、本稿における問題設定と研究目的、キーワードの概念とその定義の理論的背景、関連する先行研究、そして本文で取り上げる予定であるがテクストの言説分析のために筆者が便宜上作成したフレームワーク、そして最後には本稿の内容的流れを簡単に紹介する構成のように、研究課題を考察するための中核的な要素について記述した。
 そして第1章では、大衆的な関心のなかで浮き彫りとなりつつあった1980年代の韓国社会におけるミドルクラスの変化(登場)について説明した。本稿のテーマである「転換期としての1990年代のミドルクラス」のような、「転換」の起爆剤となったのは、1980年代の88ソウルオリンピックの準備と開催、そして1987年の民主化抗争をまず挙げなければならないと考えた。(……)
 第2章では、1990年代初期の放送界の状況や「民主化」への変化を紹介しながら、1990年に放送された朝鮮戦争特別企画10回シリーズのテレビドキュメンタリー『韓国戦争』(KBS)を中心素材としつつ、当時のミドルクラスの考えた朝鮮戦争と戦後の意識について検討した。そこには、「反共」という、1945年解放後から朝鮮戦争を経て、近代韓国における国是のようになったイデオロギーが1990年にはどのように変化していたのかが分かると考えたからである。(……)
 第3章では、第2章で取り上げた『韓国戦争』に続けて、その後1993年に朝鮮戦争の特別企画放送として戦争捕虜をテーマとして放送された『76人の捕虜たち』(MBC)を中心素材とした。『76人の捕虜たち』シリーズのなかで2本のテクスト(エピソード)を紹介した理由は、「反共捕虜」という言説の成立や背景、そしてその後の言説的受容が韓国社会で徐々に変化していくプロセスと朝鮮戦争に関わった人々への様々な距離感とズレがよく表象されていたと考えたからである。(……)
 第4章では、1990年代から増加してきて現在(2020年)は3万2000人以上にまで増えてきた脱北者に注目しながら、メディアにおける脱北者に関する言説的な置き換え、すなわち、いわゆる「呼称」としての言説的変化を検討することでみえてくるまなざしの歴史的な変化とその意味について考察した。(……)
 第5章では、1980年代半ばごろのグローバル化の影響によって始まった初期の期間限定の労働力の移動から1990年代の政府の積極的な介入による国際結婚移住者増加という多文化政策推進までの変化や、1990年代韓国政府の主導のもとで本格的に実行されていくこととなる新自由主義の経済政策とその波のなかで「資本万能主義」中心の格差社会へと変化していく社会的状況、一方でネットワーク化の進歩によって変わっていくコミュニケーションの形式や、脱北者を中心とする言説の生産と消費における主体の問題について検討した。
 そして終章では、現在社会科学において階級理論が衰退してきているにもかかわらず、なぜ本稿ではミドルクラスという階級に敢えて焦点を当てながら考察したのかという当初の狙いを総合的にまとめるべく、グローバルな新自由主義の波のなかで急速に変化してきた韓国のミドルクラスのなかの過去の「反共」イデオロギー遺産へのまなざしの変化や、北朝鮮との関わり、そして資本への欲望と空虚な今の位置づけとそこで考えられる課題と可能性について、簡単ではあるが、総括的な視点からの意見を書き加えた。

 (…後略…)

著者プロフィール

崔 銀姫  (チェ ウンヒ)  (

 佛教大学社会学部教授。専門はメディア研究(社会情報学)。東京大学大学院社会文化研究科博士課程中途退学。韓国ソウル大学言論情報研究所客員教授(2010年)。
 単著に『「反日」と「反共」――戦後韓国におけるナショナリズム言説とその変容』(明石書店、2019年)、『表象の政治学』(明石書店、2017年)(韓国語翻訳版、2018年)、『日本のテレビドキュメンタリーの歴史社会学』(明石書店、2015年)、共著として『社会情報学ハンドブック』(東京大学出版会、2004年)等がある。

上記内容は本書刊行時のものです。