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「人種」「民族」をどう教えるか 中山 京子(編著) - 明石書店
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「人種」「民族」をどう教えるか (ジンシュミンゾクヲドウオシエルカ) 創られた概念の解体をめざして (ツクラレタガイネンノカイタイヲメザシテ)

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発行:明石書店
A5判
296ページ
並製
価格 2,600円+税
ISBN
978-4-7503-5128-5   COPY
ISBN 13
9784750351285   COPY
ISBN 10h
4-7503-5128-8   COPY
ISBN 10
4750351288   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年12月25日
書店発売日
登録日
2020年11月27日
最終更新日
2020年12月25日
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紹介

社会的に創られた概念であるのに、実体化されて差別や偏見を生んでいる「人種」「民族」をどう教えるか。学術的見地からみた正しい認識と、これまでに日本や海外で行われた授業実践の蓄積を踏まえて、教師が教えるための小・中・高の授業プランを提案する。

目次

序章 今、「人種」「民族」を問う意義[中山京子]

第Ⅰ部 教育において「人種」「民族」はどう認識され、論じられてきたか

第1章 「人種」とヒトの多様性――学校でのまなびのために[竹沢泰子]
 1.「コーカソイド」「モンゴロイド」「ネグロイド」と西欧中心的な世界観
 2.ヒトの多様性をいかに教えるか
 3.日本における人種主義
 4.むすびに代えて――それでも「人種」「民族」を教える意味

第2章 「人種」「民族」とは何か[中山京子・東優也]
 1.「人種」は概念である
 2.「人種」と「民族」
 3.人種主義
 4.新たな人種差別を生む「人種化」
 5.本書における「人種」
 コラム① 「人種」の言葉の起源[東優也]

第3章 「人種」に関する認識[東優也・中山京子]
 1.「人種」「民族」に関するアンケート調査の先行研究
 2.大学生を対象としたアンケート調査
 3.教師の認識
 4.子どもの認識
 5.結語

第4章 社会系教科の教科書記述に見る「人種」「民族」[東優也・太田満]
 1.先行研究が指摘する問題点
 2.小学校における明治時代から現在までの教科書記述の変遷
 3.小学校における明治時代から現在までの教科書記述の問題点
 4.現在使われている中学校社会科教科書の記述
 5.小中高等学校の教科書記述に見る人種記述の構図と問題点
 6.結語
 コラム② 小・中学生に「人種」「民族」をどう教えるか[太田満]

第Ⅱ部 日本と外国で「人種」「民族」について授業でどう教えられてきたか

第5章 日本における「人種」「民族」を取り上げた授業構想[東優也]
 1.日本の中等教育における「人種」に関する授業
 2.世界史教育における「人種」概念の再考――高橋健司の実践を例に
 3.先行事例の考察
 4.おわりに

第6章 アメリカの初等・中等学校の人類学教育における「人種」言説と実践――1930年代~1960年代を中心に[森茂岳雄]
 1.1930年代から1940年にかけての人類学教授論における「人種」言説
 2.1950年代から1960年代初頭の人類学カリキュラムにおける「人種」学習論
 3.1962年から1970年代初頭にかけての人類学カリキュラム・プロジェクトの教材に見る「人種」
 4.結語

第7章 外国では「人種」「民族」をどのように教えているか
 7.1 アメリカ・オーストラリアにおいて「人種」「民族」はどのように教えられているか[中山京子]
  1.アメリカ人類学会による教師用手引き“Race”より三つの授業案
  2.「人種」「民族」をテーマにした二つの授業案
  3.オーストラリア社会福祉省による「文化と人種、民族性」
  4.事例の考察
 7.2 台湾では先住民族についてどのように教えられているか――民族学習としての族群関係教育課程の可能性[森茂岳雄]
  1.台湾における族群の創出と原住民学習
  2.族群関係教育課程の構想
  3.結語――民族学習としての族群関係教育課程の可能性

第8章 「人種」と「先住民族」に関する学習
 8.1 「人種」概念と「先住民族」[中山京子]
  1.「先住民族」が現れる構図
  2.「人種」と関わって「先住民族」を教育でどう語るか
 8.2 「人種」と日本の先住民族[太田満]
  1.レイシズムと日本の先住民族
  2.アイヌ文化学習の先にあるもの
  3.沖縄の米軍基地問題と「人種化」
 8.3 「人種」とアメリカ先住民族[中山京子]
  1.アメリカ先住民族のルーツ
  2.「食人種」としての「人種化」
  3.多様性と「レッドパワー」
  4.メディアや観光産業が創り出す「インディアン」
  5.アメリカ先住民族をテーマに「人種」「人種化」の視点から授業をつくる
 8.4 「人種」とパシフィック・アイランダー[中山京子]
  1.「パシフィック・アイランダー」の出現
  2.植民地主義時代による混血とマリアナ諸島の先住民族チャモロ
  3.「人種」「民族」は外からも中からも創られることを教える

第Ⅲ部 学校で「人種」「民族」をどう教えるか

第9章 「人種」をテーマにした授業づくりのために[中山京子]
 1.日本の教育風土が生んだ学問と教育現場の乖離
 2.教師にとっての「ヒトの多様性」と「区別」
 3.教室で「人種」を扱うことの難しさ
 4.身近なものを教材として活用することから始める

第10章 「人種」を問い直す授業実践
 10.1 低学年児童と肌の色による区分や「肌色」表記を考える――グローバルな見方・考え方の育成をめざして[東優也]
  1.「肌色」と「肌の色」
  2.単元「人のちがいとはだの色」の概要
  3.子どもたちの学びの軌跡
  4.おわりに
 10.2 「人」へのまなざしを考える小学校実践――「人種化」された人びとや「人種」概念について考える[東優也]
  1.「特別の教科 道徳」の指導内容項目「国際理解・国際親善」に位置付ける
  2.単元「人へのまなざしを考える」の概要
  3.子どもたちの学びの軌跡
  4.おわりに
 コラム③ 「ハンセン病」と「人種化」[中山京子]
 10.3 「人種」という言葉を問い直す――だれもが自分らしく生きられる社会をつくるために[織田雪江]
  1.「人種」という言葉を生徒と問うきっかけ
  2.単元の構成
  3.小単元「『人種』という言葉を問い直す」の概要
  4.生徒の学びの軌跡
  5.おわりに
 コラム④ 「ハーフ」か「ダブル」か――「人種」的に混合している人たちのための権利の章典[太田満]

第11章 小学校における授業構想
 11.1 小学校中学年の子どもと主人公を色で強調することを考える――絵本やモノから「いいのかな」を探す[中山京子]
  1.単元開発に向けて
  2.単元の詳細
 11.2 高学年児童に「人種は創られた概念である」ことを教える――「人種」はない?[中山京子]
  1.単元開発に向けて
  2.単元の詳細

第12章 中学校における授業構想
 12.1 民族問題やレイシズムを現代日本の事例から考える――沖縄の人びとの意識と米軍基地[太田満]
  1.単元開発に向けて
  2.単元の詳細
 コラム⑤ 人種主義と部落問題[太田満]
 12.2 分離するアメリカ、混合するアメリカ――多民族社会の形成と「人種」[森茂岳雄]
  1.単元開発に向けて
  2.単元の詳細
 コラム⑥ Hapa――ハイブリッド化するアメリカ社会[森茂岳雄]

第13章 高等学校における授業構想
 13.1 ナチス時代の「ドイツ人/ユダヤ人」から「人種」を考える[高橋健司]
  1.単元開発に向けて
  2.単元の詳細
 13.2 歴史総合の授業で不可視化された先住民族の過去を考える[太田満]
  1.単元開発に向けて
  2.単元の詳細

 あとがき
 索引
 執筆者紹介

前書きなど

序章 今、「人種」「民族」を問う意義[中山京子]

 (…前略…)

 本書は、第Ⅰ部:教育において「人種」「民族」はどう認識され、論じられてきたか、第Ⅱ部:日本と外国で「人種」「民族」について授業でどう教えられてきたか、第Ⅲ部:学校で「人種」「民族」をどう教えるか、の3部構成からなる。

 (…中略…)

 本書は、「人種」「民族」をどう教えるか、とテーマを掲げているが、全体として「民族」への言及が乏しいと思われるかもしれない。それは、本書のスタートが「人種」を実体あるもののように認識している言説への問いや批判的な主張から始まっているからである。「人種」を語る上で「民族」は連動して思考の枠組みに存在し、共に議論することが求められる。「人種」と「民族」の曖昧さが人びとの認識にあり、また、「人種」も「民族」も所与のものとして存在するものではなく、人びとによって生み出されるものであるという共通性がある。本書では「人種」を問いながら「民族」を語るというアプローチを採ることから、「人種」を中心に論考する傾向が強い。
 これまで教育において、「人種」概念について問題視されてこなかった訳ではなく、文化人類学者からの改善を求める見解が示され、少ないながらも挑戦的な実践報告や指摘があったことも踏まえて、本書では、「人種」「民族」をどのように教えるか、という道筋やアイディアを具体的に示したい。それは教育現場でこの課題が広く受け止められ、教師が認識を自ら改善して子どもと学びを共有しようとすることを本書ではめざすからである。

著者プロフィール

中山 京子  (ナカヤマ キョウコ)  (編著

帝京大学。専門は社会科教育、国際理解教育。主な著作に、『先住民学習とポストコロニアル人類学』(御お茶の水書房、2012年)、『グアム・チャモロダンスの挑戦――失われた伝統・文化を再創造する』(明石書店、2018年)、『グアム・サイパン・マリアナ諸島を知るための54章』(編著、明石書店、2012年)など。

東 優也  (アズマ ユウヤ)  (編著

海老名市立東柏ケ谷小学校。専門は国際理解教育、英語教育。主な著作に、「地球的課題『人種』『民族』概念とグローバル教育――グローバルな見方・考え方の育成をめざして」日本グローバル教育学会編『グローバル教育』第21号、18-33頁(2019年)、「『人種』をテーマにした小学校における実践――『人種』概念の捉え直しを試みる」日本国際理解教育学会編『国際理解教育』第26号、3-12頁(明石書店、2020年)、「海外体験学習における学びの変容と市民性」子島進・藤原孝章編『大学における海外体験学習への挑戦』(共著、ナカニシヤ出版、2017年)など。

太田 満  (オオタ ミツル)  (編著

奈良教育大学。専門は、社会科教育、国際理解教育。主な著作に、『小学校の多文化歴史教育――授業構成とカリキュラム開発』(明石書店、2020年)、『中国・サハリン残留日本人の歴史と体験――北東アジアの過去と現在を次世代に伝えるために』(明石書店、2019年)、「多民族学習としての小学校歴史学習――アイヌ史の位置づけを中心に」日本社会科教育学会『社会科教育研究』No.117(2012年)など。

森茂 岳雄  (モリモ タケオ)  (編著

中央大学。専門は多文化教育、国際理解教育、社会科教育。主な著作に、『社会科における多文化教育――多様性・社会正義・公正を学ぶ』(共編著、明石書店、2019年)、『公共人類学』(共著、東京大学出版会、2014年)、『真珠湾を語る――歴史・記憶・教育』(共編著、東京大学出版会、2011年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。