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韓国文学を旅する60章 波田野 節子(編著) - 明石書店
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韓国文学を旅する60章 (カンコクブンガクヲタビスルロクジッショウ)

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発行:明石書店
四六判
384ページ
並製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-7503-5107-0   COPY
ISBN 13
9784750351070   COPY
ISBN 10h
4-7503-5107-5   COPY
ISBN 10
4750351075   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0336  
0:一般 3:全集・双書 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年12月1日
書店発売日
登録日
2020年11月25日
最終更新日
2020年12月16日
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書評掲載情報

2021-02-20 東京新聞/中日新聞  朝刊
2020-12-26 毎日新聞  朝刊
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紹介

いまもっとも注目されている韓国文学。さまざまな土地にゆかりのある、古典から現代まで総勢60人の作家/作品を通して、読者を旅に誘う。韓国を愛するすべての人に向けた、豪華執筆陣による珠玉のエッセイ集。

目次

 はじめに
 ソウルおよび朝鮮半島の地図

Ⅰ 古典の世界

第1章 パンソリ 韓国人の伝統的な心情――口承伝統のパワーと技がさえる
第2章 朝鮮半島の定型詩 郷歌から時調へ――郷歌「薯童謡」と時調「丹心歌」を中心に
第3章 朝鮮の風雲児 許筠――洪吉童は琉球に渡ったか?
 コラム1 ハングル、時空を亘る

Ⅱ 近代文学の開拓者

第4章 李光洙の長編『無情』と鍾路――韓国最初の近代長編の舞台を歩いてみよう
第5章 幻影に囚われた金東仁の人生――大同江の幻影、幻影の大同江
第6章 代表作に見るリアリスト廉想渉の実体験と冷徹な観察――東京、下関、大田、ソウル
第7章 洪命憙の『林巨正』――迷走する大河小説
 コラム2 翻訳と翻案の1910年代
 コラム3 韓国の演劇
 コラム4 韓国の「ノラ」たち

Ⅲ 近代の小説家

第8章 春川のジャガイモと金裕貞の「冬椿花」――韓国のツンデレ少女
第9章 李泰俊と城北洞――陶磁器蒐集家たちの社交場
第10章 李箱のたどった明洞‐新宿――からっぽな「わたし」の発見
第11章 李孝石と郷土の原風景――今に生きる「嶺西の記憶」
第12章 朴泰遠のソウル――『川辺の風景』と『小説家仇甫氏の一日』を歩く
第13章 錦江の濁流に落ちる涙と蔡萬植――初鳳や勝在に会える街・群山
第14章 京城に探偵を登場させた金来成――怪奇と犯罪と神秘の交響楽
第15章 郷土に育まれた作家、朴花城――木浦、東京、そして木浦
第16章 1930年代の代表作 李箕永の『故郷』――天安一帯の農村変革を描く
第17章 「日本語作家」金史良――創作のはじまりの場所 釜山
第18章 異境に見たふるさと 張赫宙――高麗郷と高麗神社
第19章 片脚の戦士 作家金学鉄――社会の不義と戦った生涯

Ⅳ 近代の詩人

第20章 きょっきょん、きょっきょん、金素月――定州そして雨降る往十里
第21章 禁じられた詩人 鄭芝溶――郷愁の沃川
第22章 プロレタリア詩人 林和――植民地朝鮮と鍾路十字路
第23章 モダニズム文学の旗手 金起林の足跡――「北」と「南」の間で行方不明になった詩人
第24章 李舜臣の町・統営の少女と白石――祀堂の石段に座りあの人をおもう
第25章 李陸史の雄壮な想像力――安東の風景と「曠野」
第26章 詩人尹東柱の故郷を探しに――龍井のある辺境の風景

Ⅴ 解放と分断と朝鮮戦争(1945年~)

第27章 黄順元の「鶴」――敵対から和解へ
第28章 李範宣の「誤発弾」と解放村――母は「帰るんじゃ! 帰るんじゃ!」と叫ぶ
第29章 「戦後」を体現する作家 孫昌渉――「戦後」の釜山
第30章 驢馬の眼差しをした失郷作家 李浩哲――ソウル・西大門刑務所歴史館
第31章 崔仁勲 北でも南でもない場所への希求――巨済島の光と影
第32章 有刺鉄線を越えて 金洙暎――自由への道のりを辿る
第33章 言葉と文字を失った作家 金承鈺――「霧津」は韓国のどこにでもある
第34章 金源一氏のこと――兄の目
 コラム5 済州島四・三事件と文学

Ⅵ 独裁政権と産業化の時代(1960年代~)

第35章 朴景利と平沙里、間島、沿海州、そして統営――大河小説『土地』の舞台を訪ねて
第36章 メロドラマから百済滅亡史へ 崔仁浩――百済の旧都 扶余
第37章 「旅人」黄晳暎の故郷・永登浦――「最後の韓国」の姿を求めて
第38章 田舎と都会を往復した魂 李清俊――南道の艶やかな闇の中で
第39章 金芝河 振れ幅の大きかった「抵抗詩人」――日本人は彼の詩で韓国文学を知った
第40章 チョ・セヒ リアルにして象徴的な世界――タルトンネはいたるところに
第41章 李文求と忠清南道――海と山に日は落ちる
第42章 呉貞姫の「失郷」の文学――港町仁川の「中国人町」
第43章 申庚林と歩く仁寺洞――〈平和マンドゥルギ〉の夜は更けて
第44章 趙廷來とともに筏橋を歩く――民族の悲劇の長大さ
第45章 パク・ワンソとPX――1950年の明洞
第46章 詩人 パク・ノヘ――清渓川と労働者
第47章 とある町のブルース 梁貴子『ウォンミドンの人々』――どん底からの人間讃歌

Ⅶ 今日の韓国文学(民主化以降:1990年代~)

第48章 文貞姫は江南のからだを書く――フェミニズム詩人が表す光と影
第49章 申京淑の中のフェミニズム――九老工業団地から始まった韓国現代文学の源流
第50章 孔枝泳の描く「霧津」――霧に包まれた「韓国の縮図」
第51章 えぐられた民衆の哀しみ 金薫――儒教と天主教の聖地巡礼
第52章 チョン・イヒョンの出発点――「三豊百貨店」と江南
第53章 姜英淑の桂洞――『ライティングクラブ』の舞台になった街
第54章 キム・ヨンス、記憶を語る――「ニューヨーク製菓店」のあった町、金泉
第55章 ピョン・ヘヨンの場合――韓国文学から韓国を取ったらどうなる?
第56章 失郷民の息子パク・ミンギュと咸鏡南道利原鉄山――「北」へ向かう想像力
第57章 ハン・ガンと光州事件――また5月はめぐりきたりて
第58章 キム・エランの目に映る鷺梁津――通り過ぎる者と退く者
第59章 チョン・セランが描く不安な青春――『アンダー、サンダー、テンダー』に見る霧の坡州
第60章 パク・ソルメの「旅する想像力」――釜山と古里原発に「その後」の世界を見る
 コラム6 型破りな女性像を生み出すフェミニズム文学
 コラム7 坡州出版団地
 コラム8 「文旅」で出会う

 読書案内

前書きなど

はじめに

 文学と旅はよく似ている。本を開き、私たちは日常から解き放たれて旅に出る。とくに外国の文学作品との出会いは、見知らぬ土地への旅立ちにも似ている。未知の場所を背景にした物語を読み終えたとき、私たちは一つの旅を終えたような気持ちで大きなため息をつくのである。
 本書は、文学を手掛かりにして韓国に旅立つための案内書である。韓国文学を愛するひとはもちろん、韓国映画やドラマ、Kポップが好きなひと、韓国の歴史や文化に関心のあるひと、韓国への旅行を考えている旅好きのひとなど、多くのひとにぜひ本書を手に取っていただきたい。もちろん最初のページから読む必要はない。パラパラとめくって好きな作家から読みはじめてほしい。きっと思いがけない発見と出会いがあるだろう。
 本書の最大の特徴は、何といってもヴァラエティに富んだ執筆者の陣容である。韓国文学だけでなく日本文学、比較文学、国際関係論の研究者、作家、韓国語と英語の翻訳家、そして韓国で教鞭を執る研究者を含む49名の執筆者がいる。各章では、韓国の古典から現代までの作家と作品について「場所」をキーワードにして語っている。「場所」は、あるいは作品の舞台であり、作家が育った故郷であり、心の原風景であり、執筆者が作家と出会った場所など多様である。執筆者の多くは実際に現地を訪れた経験を語っているが、なかには韓国には行ったことがない執筆者もいる。
 読者はそれらの文章を読み「場所」への想像を巡らせながら、作家たちがどこでどんな人生を送ったのかを自然と知ることになる。1945年の解放の前は、「場所」の範囲が朝鮮半島に収まりきらず、旧満洲の中国東北地方から日本にまで広がった。しかし、解放後は38度線を境に分断され、つづいて勃発した朝鮮戦争はいまも休戦状態のままである。人間も文学も、分断から自由でいることはできない。解放後に北に行った作家たちの作品は南では長いあいだ読むことすら禁じられていた。そして現在、私たちは38度線より北の作品の舞台を訪ねることができない。「場所」をキーワードにした本書は、はからずも朝鮮半島が分断されているという事実を再確認させることになった。
 本書の八つのコラムは文学周辺の事情の理解を助けてくれるだろう。また主要な地名を入れた地図のほかに、巻末には「読書案内」として各章の参考文献をつけてある。気になる作家がいた場合は、これを参考にしていただきたい。最近のK文学の興隆のなかで現代小説の翻訳が多く出ているが、韓国の文学についてきちんと知ることができる本は少ない。本書は良い手引書の役割を果たしてくれると思う。

 (…後略…)

著者プロフィール

波田野 節子  (ハタノ セツコ)  (編著

新潟県立大学名誉教授。韓国近代文学。著書に『李光洙――韓国近代文学の祖と「親日」の烙印』(中公新書、2015)、『韓国近代作家たちの日本留学』(白帝社、2013)、『韓国近代文学研究――李光洙・洪命憙・金東仁』(白帝社、2013)。翻訳書に李光洙著『無情』(平凡社ライブラリー、2020)、金東仁著『金東仁作品集』(平凡社、2011)。主な論文に「東アジアの近代文学と日本語小説」(日本植民地研究会編『日本植民地研究の論点』岩波書店、2018)ほか。

斎藤 真理子  (サイトウ マリコ)  (編著

翻訳者。訳書に『こびとが打ち上げた小さなボール』(チョ・セヒ著、河出書房新社)、『鯨』(チョン・ミョングァン著、晶文社)、『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著、筑摩書房)、『ディディの傘』(ファン・ジョンウン著、亜紀書房)など。『カステラ』(パク・ミンギュ著、ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン)で第一回日本翻訳大賞受賞。『ヒョンナムオッパへ』(チョ・ナムジュ他著、白水社)で〈韓国文学翻訳賞〉翻訳大賞(韓国文学翻訳院主催)受賞。

きむ ふな  (キム フナ)  (編著

日韓の文芸翻訳者。韓国生まれ。韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学大学院日本文学科で博士号を取得。翻訳書に、ハン・ガン『菜食主義者』、キム・エラン『どきどき僕の人生』、ピョン・ヘヨン『アオイガーデン』、キム・ヨンス『ワンダーボーイ』、津島佑子・申京淑の往復書簡『山のある家、井戸のある家』、孔枝泳『愛のあとにくるもの』、『いまは静かな時――韓国現代文学選集』(共訳)など、著書に『在日朝鮮人女性文学論』(作品社)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。