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中国のムスリムからみる中国 首藤 明和(著) - 明石書店
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中国社会研究叢書 21世紀「大国」の実態と展望 第6巻

中国のムスリムからみる中国 N.ルーマンの社会システム理論から

発行:明石書店
四六判
240ページ
上製
価格 3,600円+税
ISBN
978-4-7503-5105-6
Cコード
C0336
一般 全集・双書 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年10月30日
書店発売日
登録日
2020年10月23日
最終更新日
2020年11月4日
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紹介

中国とはどのように観察したり記述したりできるのか? ルーマンの社会システム理論を援用し、単に中国の地域研究や雲南ムスリムの事例研究に止まらず、社会学ディシプリンと中国ムスリム研究というスタディーズとの連携を意識し分析をおこなうことで多様な解を拓く。

目次

 刊行のことば

はじめに

第1章 中国のムスリムからみる中国――N.ルーマンの社会システム理論(構成主義的認識論)から
 第1節 中国雲南回族の観察と記述から説明する中国
 (1)構成主義的認識論からのアプローチ
 (2)雲南回族の先行研究――最近の民族誌的研究を中心に
 (3)既存概念への批判と距離――構成主義的認識論を徹底するために
 第2節 コミュニケーションや意識を媒介する「意味」
 (1)意味(Sinn;meaning)の特徴
 (2)意味の時間次元の特徴
 (3)意味の事象次元および社会的次元の特徴
 (4)意味の時間・事象・社会的次元の多元的分析を通じた中国の説明へ
 第3節 中国ムスリムを「世俗化」から説明することの問題点
 (1)世俗化概念の問題点
 (2)宗教が観察で用いる区別の形式――個人の決定に寄り添った排除と包摂
 (3)宗教が信仰を強化できる可能性――二次観察による比較
 第4節 二次観察による比較(機能的等価物の探求)から中国を説明する
 (1)20世紀の『方法としての中国』(溝口雄三)
 (2)竹内好「転向型/回心型」の背景にあるアジア近代化の特徴
 (3)「21世紀の方法としての中国」――二次観察による比較と機能的等価物の探求
 第5節 回族の二次観察から説明する中国

第2章 明清四大イスラーム漢文訳著家の馬注
 第1節 馬注の生涯
 (1)『清真指南』
 (2)家譜「咸陽家乗」
 (3)経世済民の儒家士大夫として――雲南の馬注
 (4)中国イスラーム思想家へ――北京の馬注
 (5)雲南の地域指導者として――晩年の馬注
 第2節 馬注思想の時代背景
 (1)中国イスラーム教門の衰微
 (2)儒家思想の動揺
 (3)明末清初の「文芸復興期」
 (4)キリスト教の教勢拡大

第3章 雲南保山回族の共生の作法
 第1節 調査地の概要――雲南省保山市
 (1)保山市隆陽区
 (2)南シルクロードの要衝
 (3)回族の来歴
 (4)回族と馬帮
 第2節 保山回族の観察
 (1)回族インフォーマントによる観察――回族/漢族の区別の形式
 (2)雲南保山隆陽馬注文化検討会の開催
 第3節 場所(place)と空間(space)の区別の形式
 (1)回族による観察――「家園」「安居楽業」の拠り所としてのY村
 (2)回族による観察――馬注の墳墓がある「花園」としての馬家庄
 (3)回族による観察――「場所」から区別された「空間」

第4章 「21世紀の方法としての中国」――構成主義的認識論から観察し記述する中国
 第1節 構成主義的認識論に基づく「21世紀の方法としての中国」
 (1)「21世紀の方法としての中国」の基礎的方法
 (2)「21世紀の方法としての中国」の総合的方法
 (3)暫定的な知であることを必然とする「21世紀の方法としての中国」
 第2節 「21世紀の方法としての中国」の基礎的方法からみる中国
 (1)意味の事象次元からみた保山回族
 (2)意味の社会的次元からみた保山回族
 (3)意味の時間次元からみた保山回族
 第3節 「21世紀の方法としての中国」の総合的方法からみる中国
 (1)中国イスラーム思想の特徴――その共生の作法にみる機能的等価物
   1)聖俗並存の信仰体系――「二元忠貞」から「愛国愛教」へ
   2)明清四大イスラーム漢文訳著家のなかの馬注思想の特徴
   3)イスラーム思想のなかの中国イスラーム思想の特徴
 (2)「最小単純度」という決定における機能的等価物
 第4節 「被影響者」から「決定者」へ向かう実践性

おわりに

 参考文献
 索引

前書きなど

刊行のことば

 21世紀「大国」の中国。その各社会領域――政治,経済,社会,法,芸術,科学,宗教,教育,マスコミなど――では,領域相互の刺激と依存の高まりとともに,領域ごとの展開が加速度的に深まっている。当然,各社会領域の展開は一国に止まらず,世界の一層の複雑化と構造的に連動している。言うまでもなく私たちは,中国の動向とも密接に連動するこの世界のなかで,日々選択を迫られている。それゆえ,中国を研究の対象に取り上げ,中国を回顧したり予期したり,あるいは,中国との相違や共通点を理解したりすることは,私たちの生きている世界がどのように動いており,そのなかで私たちがどのような選択をおこなっているのかを自省することにほかならない。
 本叢書では,社会学,政治学,人類学,歴史学,宗教学などのディシプリンが参加して,領域横断的に開かれた問題群――持続可能な社会とは何であり,どのようにして可能なのか,あるいはそもそも,何が問題なのか――に対峙することで,〈学〉としての生産を志す。そこでは,問題と解決策とのあいだの厳密な因果関係を見出すことよりも,むしろ,中国社会と他の社会との比較に基づき,何が問題なのかを見据えつつ,問題と解決策との間の多様な関係の観察を通じて,選択における多様な解を拓くことが目指される。
 確かに,人文科学,社会科学,自然科学などの学問を通じて,私たちの認識や理解があらゆることへ行き届くことは,これまでにもなかったし,これからもありえない。ましてや現在において,学問が世界を考えることの中心や頂点にあるわけでもない。あるいは,学問も一種の選択にかかわっており,それが新たなリスクをもたらすことも,もはや周知の事実である。こうした学問の抱える困難に謙虚に向き合いつつも,そうであるからこそ,本叢書では,21世紀の〈方法としての中国〉――選択における多様な解を示す方法――を幾ばくかでも示してみたい。

  2018年2月 日中社会学会会長 首藤明和

著者プロフィール

首藤 明和  (シュトウ トシカズ)  (

1970年兵庫県西宮市生まれ。
大阪大学人間科学部卒業,神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。
専攻は社会学。専門は比較社会学,中国社会論、社会システム理論。
兵庫教育大学学校教育学部、長崎大学多文化社会学部を経て,現在,中央大学文学部教授。
主著書として『中国の人治社会――もうひとつの文明として』(日本経済評論社,2003年),『分岐する現代中国家族――個人と家族の再編成』(明石書店,2008年,共編著),『中日家族研究』(浙江大学出版社,2013年,共編著),『日本と中国の家族制度研究』(風響社,2019年,共編著)など。

上記内容は本書刊行時のものです。