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自閉症スペクトラム障害とセクシュアリティ トニー・アトウッド(著) - 明石書店
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自閉症スペクトラム障害とセクシュアリティ なぜぼくは性的問題で逮捕されたのか
原書: The Autism Spectrum, Sexuality and the Law: What everyparent and professional needs to know

発行:明石書店
A5判
296ページ
並製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-5088-2
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年10月15日
書店発売日
登録日
2020年9月23日
最終更新日
2020年11月25日
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紹介

アスペルガー症候群当事者であり、支援者として活動していたニックはある日突然、児童ポルノ所持容疑で逮捕されてしまった。彼の自伝と両親の手記、専門家たちの助言からなる本書は、自閉症スペクトラム障害と様々なセクシュアリティの問題との関連を知るための必読書である。

目次

日本の読者のみなさんへ[トニー・アトウッド]
イントロダクション[トニー・アトウッド]

第1章 ぼくの人生[ニック・ドゥビン]
 まえがき
 1.逮捕
 2.何かがちがっていた子ども時代
 3.混乱続きの中学校生活
 4.山あり谷ありの高校生活
 5.絶望のふちの大学1年目
 6.将来の選択に悩んだ大学時代
 7.どんづまりの修士課程とデート
 8.アスペルガーの診断――新たな始まり
 9.博士課程――最良で最悪の時期
 10.アメリカ合衆国対ニコラス・ドゥビン
 あとがき

第2章 専門家の視点から[トニー・アトウッド]
 児童ポルノに行き着くまで
 方策と資源

第3章 家族を救おうとした母親がたどった道のり[キティ・ドゥビン]

第4章 わが息子を救うための父親の奮闘――法的観点から[ラリー・ドゥビン]

第5章 性教育と介入[イザベル・エノー]
 1.序論
 2.性的発達に関与する要因
 3.性的逸脱行動
 4.介入プログラム
 5.結論
 付録 専門的組織ならびにサービスのための、性的な事柄に関するガイドライン

 訳者より[田宮聡]
 索引

前書きなど

訳者より[田宮聡]

 本書は、『The Autism Spectrum, Sexuality and the Law』(以下「原書」)の全訳です。原書は、トニー・アトウッド(Tony Attwood)、イザベル・エノー(Isabelle Hénault)、ニック・ドゥビン(Nick Dubin)の3人の共著となっていますが、ニック・ドゥビン氏の自伝を中心に構成されています。副題は『どの親も専門家も知っておくべきこと』となっています。ニック・ドゥビン氏については、以下の「1.ニック・ドゥビン氏について」で詳しく述べます。アトウッド氏はオーストラリア在住の心理学者で、アスペルガー症候群研究の世界的第一人者です。エノー氏はカナダ在住の心理学者で、アスペルガー症候群と性科学を専門としています。実際はこの3人のほかに、ドゥビン氏の実母キティ・ドゥビン(Kitty Dubin)と実父ラリー・ドゥビン(Larry A. Dubin)も寄稿されています。法学研究者のラリー氏は、事件に巻きこまれた家族でもあり専門家でもあるというユニークな立場からの発信をしています。彼は、『刑事司法制度の網に囚われて――自閉症・発達障害・性犯罪』という書物を2017年に出版しています。さらに、キティ氏とラリー氏は講演依頼に応じると原書に記載されており、連絡先は、原書を出版したジェシカ・キングスレイ社となっています。
 ニック・ドゥビン氏の自伝は、保護者はもちろん、一般読者にも興味深くお読みいただけると思いますし、医療・教育・福祉・司法などの支援者や専門家の方にとっては格好のケーススタディ資料となると考え、翻訳を企画した次第です。原書の出版は2014年ですが、さまざまな事情から訳書の出版までに時間を要してしまいました。翻訳にあたっては、各著者が執筆した内容やその立場に合わせて、意図的に訳文の文体を変えました。原書ではプライバシー保護のために一部の個人名を仮名にしてあり、翻訳にあたっては原書の仮名をそのまま訳しました。原書で取り上げられている中心的テーマのひとつである「sexual orientation」の訳語は、本書では、人の恋愛や性愛がどのような対象に向かうのかという意味で「性的指向」としました。日本語の「性的嗜好sexual preference」とはその意味が大きく異なるので、他の文献を参考にされる際にご注意ください。また、本稿を含め、未邦訳の文献は拙訳で引用しています。
 本書の内容そのものについては、当事者・家族・専門家によって雄弁に語られているので、訳者としてつけ加えることはありません。本稿では、いくつかの点についての情報を読者と共有することによって、より実感をもって本書の内容を味わい、ニック・ドゥビン氏の苦悩を感じとっていただく助けとしたいと思います。そして、本書で描かれているような問題が、彼個人に限った問題ではなく、自閉症スペクトラム障害をもつひと全般に関わるものであるということをご理解いただければと思います。なお、「自閉症スペクトラム障害」は「自閉スペクトラム症」と記載されることもありますが、違いはありません。「広汎性発達障害」もほぼ同義です。本稿では、文献引用部分を除き「自閉症スペクトラム障害」に統一します。
 本書の大きなテーマは、原書タイトルにあるとおり、自閉症スペクトラム障害の問題、性の問題、司法の問題です。以下にこれらを順次取り上げますが、まずは、ニック・ドゥビン氏についての補足的情報をご紹介します。

 (…後略…)

著者プロフィール

トニー・アトウッド  (トニー アトウッド)  (

オーストラリア・ブリスベン在住の臨床心理士。自閉症スペクトラム障害をもつひとと30年以上関わり続けている。現在、クイーンズランドのグリフィス大学で非常勤教授も勤めている。『ガイドブック アスペルガー症候群――親と専門家のために』(冨田真紀・内山登紀夫・鈴木正子訳、東京書籍、1999)、『ワークブック アトウッド博士の〈感情を見つけにいこう〉――アスペルガー症候群のある子どものための認知行動療法プログラム』(1.怒りのコントロール)(2.不安のコントロール)(辻井正次監訳、明石書店、2008)、『アトウッド博士の自閉症スペクトラム障害の子どもの理解と支援――どうしてクリスはそんなことをするの?』(内山登紀夫監訳、明石書店、2012)など著書多数。

イザベル・エノー  (イザベル エノー)  (

カナダ・モントリオールのケベック大学において修士号(性科学)と博士号(心理学)を取得して開業し、個人療法・カップル療法・家族療法を行っている。専門はアスペルガー症候群で、セクシュアリティの問題に特に焦点をあてている。

ニック・ドゥビン  (ニック ドゥビン)  (

アメリカ・ミシガン州出身。2004年にアスペルガー症候群を診断された。2004年以来、米国におけるアスペルガー関連問題の主唱者として活動している。心理学専攻で博士号を、学習障害専攻で修士号を、それぞれ取得した。彼自身の体験談を通じてアスペルガー症候群とセクシュアリティの問題に関する議論が活発になり、アスペルガー症候群児・者が刑事司法制度に巻きこまれてしまうことを防ぎたいと願っている。

田宮 聡  (タミヤ サトシ)  (

1961年広島生まれ。1986年広島大学医学部卒業。東京都立松沢病院、広島大学医学部神経精神医学教室、県立広島病院等勤務を経て、1994年より渡米。米国医師免許を取得し、カール・メニンガー精神医学校とベイラー医科大学の臨床研修、およびトピーカ精神分析研究所のアカデミック・キャンディデイト・プログラムを修了。米国精神科専門医試験合格。現在、姫路市総合福祉通園センター(ルネス花北)、呉みどりヶ丘病院勤務。児童精神科認定医、精神保健指定医、精神科専門医、子どものこころ専門医。著書に『内科医、小児科医、若手精神科医のための青春期精神医学』(共著、診断と治療社、2010)、『ケースで学ぶ自閉症スペクトラム障害と性ガイダンス』(みすず書房、2019)、訳書にシュタイナー『こころの退避――精神病・神経症・境界例患者の病理的組織化』(共訳、岩崎学術出版社、1997)、ロバーツ/パイン編『分析的グループセラピー』(共訳、金剛出版、1999)、『カプラン臨床精神医学テキスト 第3版 DSM-5診断基準の臨床への展開』(監訳、メディカル・サイエンス・インターナショナル、2016)、『虐待された子どもへの治療【第2版】――医療・心理・福祉・法的対応から支援まで』(共訳、明石書店、2019)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。