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中国・台湾・香港の現代宗教 櫻井 義秀(編著) - 明石書店
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中国社会研究叢書 21世紀「大国」の実態と展望 第9巻

中国・台湾・香港の現代宗教 政教関係と宗教政策

発行:明石書店
四六判
344ページ
上製
価格 3,800円+税
ISBN
978-4-7503-5087-5
Cコード
C0336
一般 全集・双書 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年9月30日
書店発売日
登録日
2020年8月27日
最終更新日
2020年10月1日
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紹介

現代中国における宗教のダイナミズムとは、宗教復興と宗教統制のせめぎ合い、宗教団体と中国共産党との駆け引きといえる。近現代の中国・台湾・香港における宗教統治から中国宗教の趨勢までを国家による統制を手掛かりに社会学的視点から考察する。

目次

刊行のことば[首藤明和]

はじめに[櫻井義秀]
 1.本書の視点
 2.本書の構成(各章の概略)

第1章 中国における三つの宗教市場――赤色・黒色・灰色の宗教市場[楊鳳崗/翻訳:櫻井義秀]
 1.はじめに
 2.宗教への需要と供給
 3.宗教経済における規制
 4.厳しく規制される三つの宗教市場
 5.中華人民共和国時代の宗教規制
 6.改革期の中国における三色の宗教市場
 7.討論

第2章 現代中国におけるチベット仏教と漢族の交流と課題[川田進]
 1.はじめに
 2.チベット仏教の概況と研究の動向
 3.北京・雍和宮界隈に見る仏教ブーム
 4.2017年,ツルティム師の初来日
 5.ラルン五明仏学院の門を叩いた漢族
 6.五台山と上海菩提学会
 7.中国共産党とラルン五明仏学院の関係
 8.おわりに

第3章 国家をかわす――現代中国における回族のインフォーマルな宗教活動[奈良雅史]
 1.はじめに
 2.宗教の制度化
 3.国家をかわす
 4.おわりに

第4章 キリスト教系NPOの障害児養護を通じた公共領域への展開――中国のキリスト教復興と公民社会を考察する端緒として[佐藤千歳]
 1.はじめに
 2.主要宗教による社会活動とキリスト教
 3.公共圏の復興か、諮問的権威主義の補強か
 4.FBOによる児童福祉事業の展開
 5.おわりに

第5章 現代中国における新興家庭教会の公開化路線――北京守望教会の「山の上の町」教会論を中心に[松谷曄介]
 1.はじめに
 2.守望教会とは何か
 3.守望教会事件とは何か
 4.「山の上の町」とは何か
 5.結論

第6章 香港の基督教と雨傘運動[伍嘉誠]
 1.はじめに
 2.香港の社会運動におけるキリスト教の役割
 3.雨傘運動の経緯
 4.雨傘運動とキリスト教との関わり
 5.雨傘運動後のキリスト教会
 6.おわりに

第7章 台湾における宗教参加と宗教認知の多元性――宗教団体固有の宗教性とは何か[齊偉先・范網/翻訳:翁康健・櫻井義秀]
 1.はじめに
 2.宗教性,宗教参加と宗教認知
 3.台湾宗教発展の社会背景
 4.宗教と慈善――寄付と組織的脈絡
 5.研究方法
 6.研究結果
 7.結論――台湾社会の多元的な宗教性

第8章 台湾における伝統的宗教文化の社会的位置づけ――「環保(エコ)祭祀」をめぐる抗議運動からの考察[玉置充子]
 1.はじめに
 2.台湾の宗教事情
 3.エコ祭祀抗議活動に到る経緯
 4.エコ祭祀と環境保護政策
 5.「宗教団体法」草案と反対運動
 6.「本土文化」と「中華文化」
 7.おわりに

第9章 台湾における忠烈祠の形成と変容[赤江達也]
 1.はじめに――中華民国/台湾の官立追悼施設
 2.近代忠烈祠の形成――中国大陸における忠烈祠
 3.忠烈祠の来台――戦後台湾への忠烈祠の移植
 4.戒厳令下の台湾忠烈祠――1947年から1987年まで
 5.民主化後の台湾忠烈祠――1987年から現在まで
 6.おわりに

 おわりに[櫻井義秀]
 索引

前書きなど

刊行のことば[日中社会学会会長 首藤明和]

 21世紀「大国」の中国。その各社会領域――政治,経済,社会,法,芸術,科学,宗教,教育,マスコミなど――では,領域相互の刺激と依存の高まりとともに,領域ごとの展開が加速度的に深まっている。当然,各社会領域の展開は一国に止まらず,世界の一層の複雑化と構造的に連動している。言うまでもなく私たちは,中国の動向とも密接に連動するこの世界のなかで,日々選択を迫られている。それゆえ,中国を研究の対象に取り上げ,中国を回顧したり予期したり,あるいは,中国との相違や共通点を理解したりすることは,私たちの生きている世界がどのように動いており,そのなかで私たちがどのような選択をおこなっているのかを自省することにほかならない。
 本叢書では,社会学,政治学,人類学,歴史学,宗教学などのディシプリンが参加して,領域横断的に開かれた問題群――持続可能な社会とは何であり,どのようにして可能なのか,あるいはそもそも,何が問題なのか――に対峙することで,〈学〉としての生産を志す。そこでは,問題と解決策とのあいだの厳密な因果関係を見出すことよりも,むしろ,中国社会と他の社会との比較に基づき,何が問題なのかを見据えつつ,問題と解決策との間の多様な関係の観察を通じて,選択における多様な解を拓くことが目指される。
 確かに,人文科学,社会科学,自然科学などの学問を通じて,私たちの認識や理解があらゆることへ行き届くことは,これまでにもなかったし,これからもありえない。ましてや現在において,学問が世界を考えることの中心や頂点にあるわけでもない。あるいは,学問も一種の選択にかかわっており,それが新たなリスクをもたらすことも,もはや周知の事実である。こうした学問の抱える困難に謙虚に向き合いつつも,そうであるからこそ,本叢書では,21世紀の〈方法としての中国〉――選択における多様な解を示す方法――を幾ばくかでも示してみたい。

著者プロフィール

櫻井 義秀  (サクライ ヨシヒデ)  (編著

北海道大学大学院教授 宗教社会学,東アジア宗教文化研究。
主要著書:櫻井義秀(2008)『東北タイの開発僧――宗教と社会貢献』梓出版社。李元範・櫻井義秀編(2011)『越境する日韓宗教文化――韓国の日系宗教 日本の韓流キリスト教』北海道大学出版会。櫻井義秀編(2013)『タイ上座仏教と社会的包摂――ソーシャル・キャピタルとしての宗教』明石書店。櫻井義秀・外川昌彦・矢野秀武編(2015)『アジアの社会参加仏教――政教関係の視座から』北海道大学出版会。櫻井義秀編(2017)『現代中国の宗教変動 アジアのキリスト教』北海道大学出版会。櫻井義秀編(2020)『アジアの公共宗教論――ポスト社会主義国家の政教関係』北海道大学出版会,他。

追記

【執筆者一覧】

楊鳳崗(よう ほうこう)[第1章]
パデュー大学教授 宗教社会学,中国宗教研究。
主要著書:Yang, Fenggang (2018) Atlas of religion in China: social and geographical contexts, Brill, Leiden. Yang, Fenggang (2012) Religion in China: Survival and Revival under Communist Rule, Oxford University Press, NY. Yang, Fenggang and Graeme Lang (2011) Social Scientific Studies of Religion in China: Methodology, Theories, and Findings, Brill, Leiden.

川田進(かわた すすむ)[第2章]
大阪工業大学教授 東アジア地域研究。
主要著書:川田進(2019)『天空の聖域ラルンガル』集広舎。川田進(2015)『東チベットの宗教空間』北海道大学出版会。川田進(2020)「現代中国における宗教の震災救援活動と記憶の継承」三木英編著『被災記憶と心の復興の宗教社会学』明石書店。川田進(2020)「現代中国の政教関係と「宗教と和諧」政策の動向」櫻井義秀編著『アジアの公共宗教』北海道大学出版会。川田進(2017)「明暗を分けたチベット仏教の高僧――中国共産党の宗教政策と権利擁護の主張」「愛国的宗教指導者の悲哀――2013年新疆ウイグル自治区イスラーム調査」櫻井義秀編著『現代中国の宗教変動とアジアのキリスト教』北海道大学出版会。

奈良雅史(なら まさし)[第3章]
国立民族学博物館超域フィールド科学研究部准教授 文化人類学。
主要著書:奈良雅史(2016)『現代中国の〈イスラーム運動〉――生きにくさを生きる回族の民族誌』風響社。澤井充生・奈良雅史編(2015)『「周縁」を生きる少数民族――現代中国の国民統合をめぐるポリティクス』勉成出版。西川克之・岡本亮輔・奈良雅史編(2019)『フィールドから読み解く観光文化学――「体験」を「研究」にする16章』ミネルヴァ書房。

佐藤千歳(さとう ちとせ)[第4章]
北海商科大学商学部准教授 現代中国研究,宗教社会学。
主要著書:佐藤千歳(2020)「権威主義体制下の中国におけるキリスト教徒の生存戦略と政教関係」櫻井義秀編著『アジアの公共宗教』北海道大学出版会。佐藤千歳(2019)「宗教の利用から監督への後退」『21 世紀東アジア社会学』第10号。佐藤千歳(2018)「基督教信仰和残障児童教育(プロテスタント信仰と障がい児教育)」『中国法律与宗教観察』11巻2号。佐藤千歳(2017)「中国浙江省におけるキリスト教会取締りと信仰維権」『日中社会学研究』25号。佐藤千歳(2014)「教会破壊に乗り出した習近平政権」『文藝春秋』7月号。佐藤千歳(2009)『インターネットと中国共産党』講談社。

松谷曄介(まつたに ようすけ)[第5章]
金城学院大学准教授/日本キリスト教団牧師 中国近現代史,特に中国キリスト教史。
主要著書:松谷曄介(2020)『日本の中国占領統治と宗教政策――日中キリスト者の協力と抵抗』明石書店。松谷曄介(2015)「福音は日本と中国のはざ間の波濤を越えられるか?――日中キリスト教関係の回顧と展望」東京神学大学『神学』77号,教文館。松谷曄介(2018)「名誉回復,未だ成らず――反革命罪のキリスト教伝道者・王明道」(愛知大学『中国21』48号,東方書店。“Crossing the Bamboo Curtain: The Japanese Christian Delegation to the Chinese Church in 1957” (Wickeri, Philip L., ed., Unfinished History: Christianity and the Cold War in East Asia, Evangelische Verlagsanstalt, 2016)。松谷曄介(2016)『はじめての中国キリスト教史』(共著)かんよう出版社。訳書/佐藤千歳(2012)王艾明『王道――21世紀中国の教会と市民社会のための神学』新教出版社。

伍嘉誠(ご かせい)[第6章]
北海道大学大学院文学研究院准教授 文化・宗教社会学,社会運動論。
主要著書:山根英輔,伍嘉誠(2020)「香港における『逃亡犯条例改正案』をめぐる抗議活動の背景と発展についての一考察」『多文化社会研究』第6号,131-140。伍嘉誠(2018)「返還後の香港における「本土運動」とキリスト教」『日中社会学研究』第26号,1-22。Ng, Ka Shing (2018) ‘Localism and Christianity after Umbrella Movement: Growth of ‘Localist’ Churches in Hong Kong’. In Globalizations and Religious Cultures in East Asia. Tokyo: Institute for Japanese Culture and Classics, Kokugakuin University, 17-28.伍嘉誠(2017)「香港におけるキリスト教と社会福祉――その過去,現在,未来」櫻井義秀編著『現代中国の宗教変動とアジアのキリスト教』北海道大学出版社,199-229。櫻井義秀,伍嘉誠(2017)「アジアのキリスト教会――日本,韓国,中国,タイ,モンゴルの比較調査」櫻井義秀編著『現代中国の宗教変動とアジアのキリスト教』北海道大学出版社,73-100。Ng, Ka Shing (2017) ‘Rethinking the Political Participation of Hong Kong Christians’, Social Transformations in Chinese Societies. Vol. 13 Issue: 1, 37-55. (Emerald Literati Awards 2018 Highly Commended Paper)

齊偉先(さい えいせん)[第7章]
中央研究院社会学研究所副研究員 宗教社会学,文化社会学。
主要著書:齊偉先(2018)「台灣民間宗教儀式實踐中的「品味動員」――陣頭,品味社群與宗教治理」『人文及社會科學集刊』第30卷第1期,119-161。齊偉先(2016)「宗教與慈善的合與分――現代宗教慈善實踐的挑戰」『思想』第30卷,211-228。齊偉先(2013)「藝術的社會學啟蒙――以身體技藝為建構基礎的社會美學」『台灣社會學』第25卷,1-44。

范綱華(はん もうか)[第7章]
東呉大学社会学系副教授 社会心理学,社会指標・計量研究。
主要著書:范綱華(2020)「被掩蓋的宗教正向心理功能――心理困擾對年輕成人快樂感和宗教參與之間關聯的影響」『《中華心理衛生學刊』第33 卷,第2 期,119-142。Fan, Gang-Hua and Chin-Chun Yi (2016) “Taiwanese Adolescents’ Developmental Trajectory of Self-Esteem: Effects of Family and School Context”『台灣社會學刊』60:55-98。范綱華主編(2014)『本土理論再想像――葉啟政思想的共感與對話』台北:群學出版有限公司。

翁康健(おう こうけん)[第7章(翻訳)]
北海道大学大学院文学院博士後期課程 宗教社会学,華僑華人研究。
主要論文:「中国宗族組織と民間信仰―祖先崇拝と神祇祭祀の相補的機能を中心に」『現代社会学研究』31,1-18,北海道社会学会(2018)。「福建省出身の老華僑と新華僑の協力による神戸普度勝会の継承」『北海道大学大学院文学院研究論集』第19号,北海道大学大学院文学院(2020)。

玉置充子(たまき みつこ)[第8章]
拓殖大学日本語教育研究所准教授 東アジア近現代史。
主要著書:玉置充子(2020)「台湾と東南アジア――「南向」をめぐる現状と展望」『中華世界を読む』東方書店。玉置充子(2018)「タイ現代史の中の潮州系善堂――華僑報徳善堂の発展と適応」『潮州人――華人移民のエスニシティと文化をめぐる歴史人類学』風響社。中野亜里・遠藤聡・小高泰・玉置充子・増原綾子共著(2016)『入門東南アジア現代政治史 改訂版』福村出版。玉置充子(2016)「タイで「華人性」を考える――ある「華人廟」からの問い」『華人という描線――行為実践の場からの人類学的アプローチ』風響社。玉置充子(2019)「台湾人の東南アジア進出の歴史的展開――1930~40年代のタイを中心に」『拓殖大学台湾研究』第3号。玉置充子(2016)「台北州檔案――日治時期鶯歌庄行政文書之概要與史料價值」『台湾史研究』第23巻第1期。

赤江達也(あかえ たつや)[第9章]
関西学院大学社会学部教授 社会学,思想史,宗教学。
主要著書:赤江達也(2013)『「紙上の教会」と日本近代―無教会キリスト教の歴史社会学』岩波書店。赤江達也(2017)『矢内原忠雄―戦争と知識人の使命』岩波新書。大谷栄一・菊地暁・永岡崇編(2018)『日本宗教史のキーワード―近代主義を超えて』慶應義塾大学出版会。内田隆三編(2015)『現代社会と人間への問い―いかにして現在を流動化するのか?』せりか書房。副田義也編(2010)『内務省の歴史社会学』東京大学出版会。北田暁大・野上元・水溜真由美編(2005)『カルチュラル・ポリティクス1960/1070』せりか書房。

上記内容は本書刊行時のものです。