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談論風発 琉球独立を考える 前川 喜平(編著) - 明石書店
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談論風発 琉球独立を考える (ダンロンフウハツリュウキュウドクリツヲカンガエル) 歴史・教育・法・アイデンティティ (レキシキョウイクホウアイデンティティ)

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発行:明石書店
四六判
240ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-7503-5059-2   COPY
ISBN 13
9784750350592   COPY
ISBN 10h
4-7503-5059-1   COPY
ISBN 10
4750350591   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年8月30日
書店発売日
登録日
2020年8月6日
最終更新日
2021年4月16日
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紹介

日本政府は、琉球に米軍基地を押しつけ、民意を無視して辺野古新基地建設を強行している。それは植民地政策ではないのか。かつて「居酒屋独立論」と呼ばれたこともある琉球独立論を、改めて歴史・教育・法・アイデンティティの視点からとらえ直す4つの対談・鼎談。

目次

まえがき――「居酒屋独立論」から「科学的独立論」へ[松島泰勝]

Ⅰ 琉球独立論にいたる道――沖縄・日本・教育[前川喜平×松島泰勝]
 独立論を唱える動機になった原体験
 EUのような地域共同体は可能か
 アメリカ従属から独立する
 琉球独立のモデルは
 1972年の方言札
 元祖「忖度」の教科書検定
 八重山の教科書問題
 もっとも成功した面従腹背
 竹富町は独立の拠点になりうる

Ⅱ 歴史・法・植民地責任――ニューカレドニアから琉球を見る[佐藤幸男×前川喜平×松島泰勝]
 独立をめぐる国際法
 第二の沖縄戦への不安
 「ごさまる科」とはなにか
 「郷土を愛する」を援用する
 歴史総合の課題
 ニューカレドニア住民投票を解読する
 「独立」というコードを再構築する
 「植民地」の経済効果
 琉球アイデンティティの行方

Ⅲ 近代の学問が生んだ差別――アイヌ・琉球の遺骨問題と国際法[上村英明×前川喜平×松島泰勝]
 琉球人は先住民族
 国連はアイヌを先住民族と認めた
 押しつけはいつも日本政府から
 民族自決権の衝撃
 アイヌ語の継承をどうするか
 「国語」の問題
 盗まれた遺骨
 遺骨をなにに使おうとしていたか
 皇民化教育がもたらしたもの
 学問の反省はどこまで進んだか
 「集めること」が目的化している

Ⅳ 独立琉球共和国の憲法問題――国籍・公用語をめぐって[遠藤正敬×前川喜平×松島泰勝]
 満洲国の国籍問題
 日本モデルの国籍制度はなじまない
 ルーツはいろいろあっていい
 出会えばきょうだい
 島々の伝統をつなぐ独立のかたち
 自民族中心主義からの離脱
 「島のなかの海」がイメージするもの
 公用語をどうするか

 資料 琉球共和社会憲法私(試)案[川満信一]

前書きなど

まえがき――「居酒屋独立論」から「科学的独立論」へ

 なぜ琉球(沖縄)で日本からの独立が活発に議論されるようになったのだろうか。「沖縄から日本がよく見える」、「沖縄は日本を写す鏡である」とよくいわれる。新型コロナウイルス問題発生後、日本政府の独裁体制化、軍国主義化が露になったが、辺野古新基地問題のように、それは琉球に対しては先行した形で発動されていた。琉球独立論は日本政府への抵抗として提示されてきた議論であり、琉球独立の根拠は日本政府の琉球に対する植民地支配と脱植民地化運動にある。本書は日本政府批判の書であり、戦前であったら、発禁処分を受けていたかもしれない。日本が戦前のような社会にならないようにとの願いを込めて、敢えて本書を世に問うことにした。
 独立運動には、政治経済的、社会的、思想・文化的な側面がある。独立が実現する上で土台になるのが社会的、思想・文化的な側面である。たとえ政治経済的に宗主国に大きく従属し、独立後、経済的な困難が予測されていても、独立運動が大きく盛り上がり、独立が実現する場合が多い。それは植民地支配による「人間否定」の状態から脱したいという、人の存立に関わる根源的な欲求が独立運動を推し進めてきたからである。独立運動において、社会的、思想・文化的な活動や表現が先行的に現れてくると考えていい。本書は、琉球独立の軸になる部分に特に焦点をあてて検討を行なった。
 本書は、これまでにない多様な視点から論じた、極めて、具体的で、斬新な琉球独立論である。文部科学省事務次官をつとめ、現在は自主夜間中学で教えられている前川喜平さん、太平洋島嶼と琉球の平和や独立を研究されてきた佐藤幸男さん、アイヌや琉球人を中心にして先住民族の権利回復の研究や社会運動の第一人者である上村英明さん、日本や日帝植民地における国籍・戸籍問題や日本国のあり方を研究されてきた遠藤正敬さんと対談、鼎談を行なった。これまでの琉球独立論では掘り下げられることが少なかった論点を明らかにした。その結果、琉球独立を、琉球の将来における有効な政治的選択肢として提示することができたと考える。琉球独立論は、これまで「居酒屋独立論」といわれることもあったが、独立を客観的、具体的、国際的に研究する「科学的独立論」という近年の研究動向のなかにおいても、本書は一石を投じることになるだろう。

 (…後略…)

著者プロフィール

前川 喜平  (マエカワ キヘイ)  (編著

元・文部科学事務次官。現代教育行政研究会代表。1955年、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業。79年、文部省(現・文部科学省)入省。94年、文部大臣秘書官。2010年、大臣官房総括審議官。12年、大臣官房長。13年、初等中等教育局長。14年、文部科学審議官、16年、文部科学事務次官。17年、退官。現在、自主夜間中学のスタッフとして活動しながら、講演や執筆を行なっている。
主な著書:『面従腹背』(毎日新聞出版、2018年)。以下いずれも共著、『これからの日本、これからの教育』(ちくま新書、2017年)、『前川喜平 教育のなかのマイノリティを語る――高校中退・夜間中学・外国につながる子ども・LGBT・沖縄の歴史教育』(明石書店、2018年)、『ハッキリ言わせていただきます! 黙って見過ごすわけにはいかない日本の問題』(集英社、2019年)、『生きづらさに立ち向かう』(岩波書店、2019年)。

松島 泰勝  (マツシマ ヤスカツ)  (編著

1963年石垣島生まれ。龍谷大学経済学部教授。専門は島嶼経済論。学知の植民地主義を克服し、近代日本によって奪われた琉球の独立をめざす研究と運動の両輪で活動中。
主な著書:『帝国の島――琉球・尖閣に対する植民地主義と闘う』(明石書店、2020年)、『琉球 奪われた骨――遺骨に刻まれた植民地主義』(岩波書店、2018年)、『琉球独立宣言――実現可能な五つの方法』(講談社文庫、2015年)、『琉球独立への道――植民地主義に抗う琉球ナショナリズム』(法律文化社、2012年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。