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精神障害者が語る恋愛と結婚とセックス YPS横浜ピアスタッフ協会(編著) - 明石書店
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精神障害者が語る恋愛と結婚とセックス 当事者・家族・支援者のお悩みQ&A

発行:明石書店
A5判
256ページ
並製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-7503-5053-0
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年8月10日
書店発売日
登録日
2020年7月17日
最終更新日
2020年8月25日
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紹介

恋愛と治療、結婚と回復……。症状に苦しみながら、当事者たちはどうリカバリーし、そしてパートナーと出会ったのか。恋愛や結婚に不安をもつ当事者の方、周囲で支える家族や支援者の方向けに、当事者と専門家がチームを組み、時に優しく時に真剣にアドバイスを贈る。

目次

 まえがき[根本俊史、蔭山正子]
 編集チームメンバー紹介[堀合研二郎]

第Ⅰ部 精神障害とは

第1章 統合失調症と私たち[根本俊史・響子]
 1 統合失調症と治療
 2 統合失調症のリハビリテーション・回復

第2章 双極性障害と私[野間慎太郎]
 1 双極性障害の診断と治療
 2 躁状態とトラブル
 3 うつ状態は躁状態でのツケを背負う苦しい時間
 4 私がたどり着いた答え

第Ⅱ部 精神障害者の恋愛に関するお悩みにお答えします

 はじめに[山田悠平]

STEP0 具体的に行動していない段階
 ○付き合うってなんですか?
 ○当事者が思っている「恋愛」「付き合う」とは?

STEP1 相手を見つけるまで
 ○みなさんはどんなところで出会いましたか?
 [体験談]オフ会[吉川礼子]
 [体験談]婚活パーティー[根本響子]

STEP2 意中の相手を見つけて、お付き合いするまで
 ○どうしたら好きな人と付き合えますか?
 [体験談]恋愛、結婚までの道のり[根本俊史]
 [体験談]支援者に協力してもらい結婚へ[根本響子]
 ○恋愛での距離感とはなんでしょう?
 [体験談]片想いを繰り返して女性との距離感をつかんだ[吉川進]
 [体験談]支援者のアドバイスで距離感の問題に気づいた[根本響子]
 ○付き合うときに当事者か健常者かを考えますか?
 [体験談]決め手は人間力[吉川進の妻]
 [体験談]好きになった人が健常者だったり障害者だったりするのでは[猫柳ゆーぎ]
 [体験談]健常者だった頃の自分として[中村俊輔]
 ○相手に病気のことを伝えたほうがいいのでしょうか?
 [体験談]病気のことを伝えてもなにも変わらなかった[野間慎太郎]

STEP3 付き合ってから
 ○お金に余裕がないですがデートできますか?
 [体験談]お金がないときのデート[野間慎太郎]
 ○失恋すると病状が悪化しませんか?
 [体験談]失恋したとき支援者にサポートしてもらった[根本響子]
 [体験談]失恋がきっかけで発病[おげんさん]
 ○当事者である子どもが恋愛すると、病状が悪化するのではないかと心配です《親のお悩み》
 [体験談]恋愛を応援できる人間に成長[岡田久実子]
 ○常に誰かと恋愛しないと不安です
 [体験談]自称“恋愛依存”[松田優二]
 ○恋愛トラブルが多くて困っています《スタッフのお悩み》
 [体験談]当事者の恋愛を応援してほしい[田村千秋]
 [体験談]ピアスタッフから見た利用者同士の恋愛[野間慎太郎]
 [体験談]当世作業所恋愛事情[小堀真吾]
 ○性交渉して、妊娠したらどうしようかと不安です
 [体験談]望まない妊娠と性感染症を避ける[野間慎太郎]

状況別
 ○性的マイノリティですが恋愛できるでしょうか?
 [体験談]恋愛、結婚は、人生そのもの[広瀬玄武]

第Ⅲ部 精神障害者の結婚に関するお悩みにお答えします

 はじめに 精神障害と結婚[野間慎太郎]

STEP0 具体的に結婚に向けて行動していない段階
 ○結婚ってなんですか?
 ○精神疾患を患っているので結婚することに不安があります

STEP1 結婚を具体的に考える段階
 ○相手の親に病気のことを理解してもらえるでしょうか?
 [体験談]障害について無理に伝えない[野間慎太郎]
 [体験談]相手の親に「私は精神障害があります」宣言[猫柳ゆーぎ]
 ○結婚のメリット・デメリットはなんですか?
 [体験談]非当事者の妻目線から見た結婚[野間里美]
 [体験談]当事者として、夫として[野間慎太郎]
 ○経済的な面で結婚に不安があります
 [体験談]家事を分担することで互いの負担を軽減[野間慎太郎]
 [体験談]生活保護を受給して二人で生活[広瀬玄武]
 [体験談]生活保護をサポートとして受け、親子で暮らす[猫柳ゆーぎ]
 ○挙式した方がいいでしょうか?
 [体験談]必ず幸せにしようと固く決意[野間慎太郎]
 ○当事者である息子・娘が結婚したいと言うのですが大丈夫でしょうか?《親のお悩み》
 [体験談]リカバリーという考えに後押しされた[岡田久実子]
 [体験談]結婚前に相手に病気のことを詳しく伝えた[加藤玲]

STEP2 結婚してからの段階
 ○一緒に生活を始めるとどのようなことが起きるのでしょうか?
 [体験談]二人の夫婦の形が見えるまで[吉川進]
 [体験談]自分の時間も大切に[野間慎太郎]
 ○実家に同居するか、二人で暮らすか迷っています
 [体験談]同居から二人暮らし[根本俊史・響子]
 [体験談]マスオ生活[松田優二]
 ○パートナーが病状不安定になったらどう対応すればよいでしょうか?《パートナーのお悩み》
 [体験談]元気なときに話すことが一番大切[野間里美]
 ○結婚生活がうまくいかなかったらと思うと不安です
 [体験談]嫉妬妄想で破局へ[松田優二]/生きてても仕方ない[広瀬玄武]

STEP3 子どもをつくるか決める
 ○育児は大変ですか
 [体験談]生きることの尊さを感じる日々[山田悠平]
 [体験談]可愛い息子[猫柳ゆーぎ]
 [体験談]周囲の人と子ども自身に助けられて[吉川進]
 [体験談]障害のある子を育てて[吉川礼子]
 ○当事者である息子・娘が子どもをほしいと言うのですが自分で育てられるでしょうか?《親のお悩み》
 [体験談]大変な病気をしても産み育ててくれたママを誇りに[岡田久実子]
 ○子どもをつくらない選択をしてもいいですか?
 [体験談]子どもをつくらない選択をした[根本響子]
 [体験談]二人で選んだ道[野間慎太郎]
 [体験談]子どもを育てる自信がなかった[広瀬玄武]

STEP4 子どもをつくると決めて
 ○妊娠中に精神科の薬は飲んでもよいのでしょうか?
 [体験談]信頼できる人に巡り合えず、不安のまま断薬[水月琉凪]
 ○妊娠した後に受けられる支援はありますか?
 [体験談]カウンセリングを受けて不安を軽減[崎千晶]
 ○中絶したくありません
 [体験談]精神科で中絶を勧められ……[水月琉凪]
 [体験談]生活保護と中絶[猫柳ゆーぎ]

第Ⅳ部 精神障害とセックス

 はじめに[横山恵子]
 「性についての座談会」について[野間慎太郎]

性についての座談会
 双極性障害、もし躁転すると……
 社会と接する機会が少ない私たち
 薬の副作用で……
 性について、支援はないの?
 なんか変だぞ、支援者たち
 人と人のつながりってなに?
 結局、大切なのはなんだろう
 話し合って見えてきた私たちとセックス

 あとがき[山田悠平、横山恵子]

 おわりに[野間慎太郎]

前書きなど

まえがき

 本書は、精神障害のある当事者が編集チームを結成し、当事者が編集長になって企画から話し合い、つくり上げました。私は、2018年にYPS横浜ピアスタッフ協会の当事者の方と一緒に『当事者が語る精神障がいとリカバリー』という本を執筆し、当事者が書いた本として注目されました。今回は、当事者が編集長となり、より一層当事者主体でつくり上げています。このつくり方こそ、挑戦であり、革新的であり、また、本書の価値を生み出す鍵なのです。
 恋愛や結婚は、当事者の人生を支援する際に、避けては通れないほど重要な課題ですが、答えのない課題でもあります。そして、専門的な知識をもって学者が解説する類のことではありません。だからこそ、当事者の見方や体験が重要になります。これまでも、有能な当事者が一人で執筆した本や、予め割り振られた一部を当事者が執筆した雑誌等は出版されています。それらの本と本書の大きな違いは、体験的知識を記述しているということです。同じ苦境にある者が集まり、話し合いながら導いた見方や考えは、単に個人のものとは異なります。直の体験から得た知恵は、仲間との会話において意味が見出され、「体験的知識」と言われる知識になります。それは「専門的知識」と対比して、価値ある知識として学術的に位置づけられています。精神障害者が人を愛するということ、その支援の在り方に示唆を得るために、私は体験的知識に期待したのです。何度も当事者の編集メンバーが話し合うことで、また、出版社との間で生じた意見の対立を通して、体験的知識の輪郭が明瞭になっていきました。本書は、精神障害者が人を愛するということについて、当事者の視点で、初めて一定の見解を出した本だと言えると思います。

 (……)

 本書を読まれると、精神障害があっても、健常者と変わりないと思われる部分もあると思います。それも重要な気づきです。私は保健師という支援者ですが、専門職教育では、精神疾患の病理や精神障害者の障害特性といった、障害者の異質性を学びます。そして、実践現場では「障害者」という枠でつくられた法・制度の下で支援を展開します。しかし、本書をつくる中で私が学んだことは、障害者と健常者の異質性というよりはむしろ、障害者と健常者の同質性でした。人を愛するという人間として本質的なことを通して、障害者を違った側面から知る機会になるのだと思います。
 同じ障害者でも、身体障害者は自らが声をあげ、知的障害者は親が声をあげ、制度を変えてきたと言われています。本書では、執筆者のほとんどが実名を出し、精神障害者だって恋愛したい、結婚したい、子どもを育てたい、と声をあげました。私は、当事者が声をあげることが、世の中を正しい方向に変える出発点になると思っています。当事者が声をあげること、そのこと自体に大きな価値があると考えています。
 本書は、恋愛や結婚に不安をもつ当事者の方、周囲で不安を感じている家族や支援者の方が、気軽に手にとって読みたくなるようなスタイルをとっています。しかし、内容は底なしに深い。私など到底体験したことがない、波乱万丈な人生を送っている彼らが命をかけた愛の物語です。

著者プロフィール

YPS横浜ピアスタッフ協会  (ワイピーエスヨコハマピアスタッフキョウカイ)  (編著

2015年11月、神奈川県横浜市で結成。拠点は磯子区にある就労継続支援B型事業所「シャロームの家」。参加メンバーは、精神障害当事者、家族、支援者等、約300名。ピアスタッフ(精神障害当事者スタッフ)の普及をめざし、2か月に1回の定例会の他、ピアマスター(ピアスタッフ養成講座)、大学や研修での講演、一芸披露・音楽などのアート活動(イソット)や恋愛など多岐にわたる活動を展開。活動のモットーは「楽しさ」。その集大成が一年に一度の「神奈川ピアまつり」である。当事者に限らず興味や関心がある方なら誰でもいつでも参加できる開放路線を進めている。メールマガジンでも活動案内を配信中。精神障害者が恋愛を求めて集まる出会いの場「めんちゃれ」の運営も行っている。

精神障害当事者会ポルケ  (セイシンショウガイトウジシャカイポルケ)  (編著

精神障害当事者会ポルケは、2016年に発足した精神障害当事者によって運営する障害者・当事者団体です。団体名にある精神障害当事者会ポルケは、スペイン語でなんでだろう、疑問という意味です。精神障害があることでの苦い経験や日々の楽しみも含めて、言葉にしていこうというコンセプトで活動をしています。精神障害をもつ人が集う月例の当事者交流「お話会」や学習会など参加型のイベントも行っています。学習活動では、当事者以外の支援職や家族など様々な立場の人が参加いただいています。ホームページ等でも活動報告を発信していますので、よろしければご覧ください。

蔭山 正子  (カゲヤマ マサコ)  (編著

大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生看護学教室/准教授/保健師
大阪大学医療技術短期大学部看護学科、大阪府立公衆衛生専門学校を卒業。病院看護師を経験した後、東京大学医学部健康科学・看護学科3年次編入学。同大学大学院地域看護学分野で修士課程と博士課程を修了。保健所・保健センターでの勤務(保健師)、東京大学大学院地域看護学分野助教などを経て現職。保健所勤務の際、精神障害者の受診援助や通報対応などの危機介入を経験。主な研究テーマは、精神障害者の家族支援・育児支援、保健師の支援技術。最近は当事者のピア活動にも関心あり。趣味は研究活動と有酸素運動、暇があれば映画鑑賞や海外旅行。当事者会や家族会の人との飲み会が好き。

横山 恵子  (ヨコヤマ ケイコ)  (編著

埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科・保健医療福祉研究科看護学専修/教授/看護師
埼玉県立衛生短期大学第一看護科卒業。埼玉県立がんセンター、埼玉県立北高等看護学院、埼玉県立精神保健総合センター(現、県立精神医療センター)準備室を経て、看護師長として勤務。急性期病棟にて精神科看護を経験。その後、埼玉県立大学短期大学部看護学科講師、埼玉県立大学准教授から現職。その間、日本社会事業大学社会福祉学研究科博士前期課程、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。主な研究テーマは、精神障害者の家族支援・家族会活動・アウトリーチサービス・看護師のキャリア支援。

上記内容は本書刊行時のものです。