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イスラーム/ムスリムをどう教えるか 荒井 正剛(編著) - 明石書店
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イスラーム/ムスリムをどう教えるか ステレオタイプからの脱却を目指す異文化理解

発行:明石書店
A5判
208ページ
並製
価格 2,300円+税
ISBN
978-4-7503-5045-5
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年8月15日
書店発売日
登録日
2020年7月17日
最終更新日
2020年8月25日
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紹介

イスラームをどう教えるのかに戸惑う教師は多い。小・中・高校生のイスラーム知識と意識の実態、教科書記述の分析を踏まえ、教材開発、授業実践の具体例から、イスラーム=異質、怖いなどの偏見や思い込みを超えて多面的・対話的な理解を促す授業を提案する。

目次

 はじめに

第Ⅰ部 現状と課題

第1章 社会科の授業における課題――生徒・学生のイスラーム認識・イメージ調査と教科書記述から
 1.中学生・高校生のイスラームについての知識と意識
 2.中学生のムスリムの生活についての写真に関するイメージ
 3.ムスリムの分布に関する知識の貧困
 4.小中高のイスラームや宗教についての教科書記述
 5.社会科教育,異文化理解教育の課題

第2章 社会における課題――イスラーム意識調査を踏まえての提言
 1.問題の位相
 2.ムスリムたちのイスラーム認識
 3.結びにかえて――イスラームについて語ること
 コラム1 ラマダーンは楽しい?――ブルネイでの経験から
 コラム2 ムスリム訪日観光の隆盛と多文化理解

第Ⅱ部 授業実践と生徒の反応

第3章 新学習指導要領におけるイスラームの学習内容と本書掲載の各実践
 1.中学校
 2.高等学校の必履修科目
 3.高等学校の選択科目
 4.高等学校における科目間連携,カリキュラム・マネジメント

第4章 ムスリムの思いを通して寛容的な態度を育む授業――中学校地理的分野「世界各地の人々の生活と環境」
 1.本授業実践の趣旨・ねらい
 2.授業の実際
 3.生徒の学び
 4.授業実践を振り返って

第5章 移民・難民問題の視点からイスラームの理解をめざす授業――中学校地理的分野「統合を強めるヨーロッパの国々」
 1.本授業実践の趣旨・ねらい
 2.授業の実際
 3.生徒の学び
 4.授業実践を振り返って

第6章 イスラーム文化の奥深さと,生徒の生活とのつながりを実感させる授業――中学校歴史的分野「イスラーム文化の国際的役割」
 1.本授業実践の趣旨・ねらい
 2.授業の実際
 3.生徒の学び
 4.授業実践を振り返って

第7章 マス・メディアの情報を批判的に考察する歴史授業――中学校歴史的分野「アラビアンナイトの世界」
 1.本授業実践の趣旨・ねらい
 2.授業の実際
 3.生徒の学び
 4.授業実践を振り返って

第8章 生徒が共感し,共通性を知ることから,ムスリムとの共生を考える授業――中学校公民的分野(+総合)「私たちの暮らしと現代社会」
 1.本授業実践の趣旨・ねらい
 2.授業の実際
 3.生徒の学び
 4.授業実践を振り返って

第9章 アジアの多様なムスリムを理解する地理授業――高校地理「東南アジアのイスラーム」
 1.本授業実践の趣旨・ねらい――教材として取りあげる地域の選択
 2.授業の実際
 3.生徒の学び
 4.授業実践を振り返って――地理総合の授業に向けて
 コラム3 中国のイスラーム探訪
 コラム4 インドのムスリム――歴史と現在

第10章 多文化共生の状況とその変化を史料から読み取る世界史授業――高校世界史「イスラーム世界とヨーロッパ中世世界の関わり」
 1.本授業実践の趣旨・ねらい
 2.授業の実際
 3.生徒の学び
 4.授業実践を振り返って

第11章 科目間連携からムスリムと共に生きる知を探る授業――高校「イスラーム検定をつくり,ムスリムと対話してみよう」
 1.本実践の趣旨・ねらい
 2.単元の概要
 3.各授業の実践と生徒の反応
 4.授業実践を振り返って
 〈トピック〉高校生たちのイスラームへの関心――生徒のイスラーム研究実践を例に

第Ⅲ部 異文化理解・多文化共生を目指す教育へのヒント

第12章 偏見に向き合う世界史把握の方法――知ることによって自らの偏見に気づき打破するような学習を目指すために
 1.はじめに
 2.知識が偏見を強化する問題を,世界史教育はどう考えてきたか
 3.イスラーム偏見は世界史教育においてどう取り組まれてきたか
 4.本書の諸実践は,イスラーム偏見にどう向き合ったのか
 5.おわりに

第13章 人々・地域をどう取り上げるか――異文化理解の視点から
 1.異文化理解における語りの意義
 2.地域的多様性の重要性
 3.人々や地域の「描写」,「事例」の取り扱いにおいて留意すべきこと
 4.ムスリム理解のためのヒント
 5.地理授業においてイスラームやムスリムをどう取り上げるか
 コラム5 ムスリム留学生の語りから
 コラム6 教材研究に役立つ書籍

 おわりに

前書きなど

はじめに

 (…前略…)

 本書は3部で構成される。第Ⅰ部では,社会科授業におけるイスラームに関する学習の課題について,生徒のイスラームについての知識と意識の実態,知識と意識の関係,教科書記述の特色と課題を整理した。さらに,エジプト人学生に対するアンケート調査を通して,ムスリムたちのイスラーム認識をとらえ,今日の社会における課題を整理した。
 第Ⅱ部では実践した授業について考察している。最初に新学習指導要領におけるイスラームに関する学習を総覧し,各実践を位置付けている。以下,各実践について,授業実践の内容と生徒の反応を通した考察を述べている。高等学校については,現代社会の時間に地理,世界史,倫理と連携したコラボレーションという,複数科目の教員による実践も行っている。科目ごとに専門的な授業を行っている高等学校で,専門的な科目間連携によって生徒の学習の深化をねらっている。
 それらの実践を踏まえて,第Ⅲ部では,社会科教育学の立場から,イスラームやムスリムの理解はもちろん,異文化理解や多文化共生を目指す教育に必要なことなどについて述べている。
 このほか,イスラーム世界各地の訪問から学んだこと,さらにムスリム観光やムスリム留学生の語り,イスラーム理解のための書籍等を,それぞれコラムとして掲載している。なお,プロジェクト・メンバーに加えて,編者の荒井が参加したボルネオ巡検の報告書に執筆された佐々木氏にも投稿していただいた。さらに,メンバーの一人である日髙を通して,イスラーム史を専攻された世界史の教員である廣川氏に,指導された高校生の研究レポートを取り上げていただき,トピックとして掲載した。高校生がイスラーム研究者の講演を聞いたり,様々なムスリムと出会ったりしたフィールド研究は,授業構想の上でも示唆に富む。
 本書は中学校・高等学校での授業実践を集めたものであるが,学校教育に限らず社会教育の場などにおいても,イスラーム,ムスリムの人々の理解や共生を促すにはどうしたらよいか,その学びの在り方について参考になるところがあるのではないかと思っている。学校の社会科教師はもちろん,国際理解教育や異文化理解教育の関係者,各地の国際交流団体などの国際交流に関わっておられる方々にも,ぜひお読みいただきたい。
本書が,イスラーム/ムスリム理解,広く異文化理解のために資すれば幸甚である。

 (…後略…)

著者プロフィール

荒井 正剛  (アライ マサタカ)  (編著

東京学芸大学特任教授。専門は地理教育,社会科教育。
東京都公立中学校に6年,東京学芸大学の附属中学校で31年勤務後,東京学芸大学教授。
主著:『地理授業づくり入門――中学校社会科での実践を基に』(単著,古今書院,2019年),『景観写真で読み解く地理』(共編著,古今書院,2018年)
中学校社会科教科書編集委員(東京書籍),日本地理教育学会副会長,日本社会科教育学会ダイバーシティ委員会委員長などを歴任。

小林 春夫  (コバヤシ ハルオ)  (編著

東京学芸大学教授。専門はイスラーム思想史。
教育学部人文科学講座哲学・倫理学分野,教育支援系多文化共生教育教室に所属。
主な業績:イブン・スィーナー著『治癒』形而上学訳註(共訳著,『イスラーム地域研究ジャーナル』Vols. 2, 3, 5, 7, 8, 2010-2016),「イブン・スィーナーの思想世界――知的自伝を読む」(堀川徹編『知の継承と展開――イスラームの東と西』知のユーラシア2,明治書院,2014年)
日本学術振興会カイロ研究連絡センター長,日本オリエント学会常務理事を歴任。

上記内容は本書刊行時のものです。