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マルクス 古き神々と新しき謎 マイク・デイヴィス(著) - 明石書店
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マルクス 古き神々と新しき謎 (マルクスフルキカミガミトアタラシキナゾ) 失われた革命の理論を求めて (ウシナワレタカクメイノリロンヲモトメテ)

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発行:明石書店
四六判
392ページ
上製
価格 3,200円+税
ISBN
978-4-7503-5040-0   COPY
ISBN 13
9784750350400   COPY
ISBN 10h
4-7503-5040-0   COPY
ISBN 10
4750350400   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年7月10日
書店発売日
登録日
2020年6月22日
最終更新日
2022年4月27日
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紹介

感染症やスラムの問題など、グローバリズム下での社会矛盾を鋭く論じてきた著者が、マルクス、エンゲルスの思想に立ち戻って読み直し、彼らの時代の階級闘争とは異なる様相を呈し、また地球環境危機の進む現代における新たな変革の可能性を追究する。

目次

序――〈チキン・シャック〉のマルクス
 マルクスを読め!
 全集サーフィンをおこなう
 章立て

第一章 古き神々、新しき謎――革命的主体についての覚え書き
 普遍的階級
 階級戦争の時代
 命題

第二章 マルクスの失われた理論――一八四八年のナショナリズムの政治
 国民なきナショナリズム
 マルクスに反するマルクス
 階級とナショナリズム
 利害の計算

第三章 来るべき砂漠――クロポトキン、火星、そしてアジアの鼓動
 シベリアの探査
 アジアと火星の乾燥
 病的科学

第四章 誰が箱舟を作るのか?
 Ⅰ 知識人の悲観論
 Ⅱ 想像力の楽観論

訳者あとがき

解説(宇波彰)
 一 はじめに
 二 労働運動の意義、階級の問題
 三 国家の問題
 四 気象変動の問題
 五 地球温暖化の問題
 六 おわりに

 注
 索引

前書きなど

解説

一 はじめに

 本書の著者マイク・デイヴィスは、すでに始まりつつある二一世紀の状況について、次のような認識を示している。「歴史は二一世紀初頭に、人口の増加と歩調を合わせて職を生み出せず、食料の安定も保証できず、破局的な気候変動に人間の生活環境を適応させることもできない世界経済の中で、完全にひと巡りした」(二一一頁)。この数行に、著者が本書で取り組もうとした問題の所在がはっきりと表現されている。世界の人口は急激に増えつつあるのに、人工知能の発達なども加わって、人間が行なえる仕事が少なくなり、失業者が増え、さまざまな要因から食料が不足している上に、自然的な気候変動と人為的理由による地球温暖化の進行などが重なっている。そのため人類はいまや「黙示録的」というほかはないような、異常なほどの危機に直面しつつある。こうした多様で、しかもきわめて大きな危機こそ、本書において著者がその解決を考えようとした今日的問題にほかならない。このような状況にある現代世界において、つまり非常な危機に直面している今日において、われわれはどうすればいいのか? 著者が試みるのは、基本的には「マルクス、エンゲルスの読み直し」であり、その作業を通じて「彼らの失われてしまった理論」を回復し、定式化することであり、それによって「二一世紀におけるマルクス主義の意義」を確認することである。
 そのために本書の第一章は、革命運動の主体としての労働者の問題を扱う。具体的には、マルクス、エンゲルスの理論と一九、二〇世紀における欧米の労働運動の歴史とを同時的に検討し、彼らの理論がどのように「失われて」きたのか、それを「理論」として定式化し、再生するためにはどうすればいいのかということが、この章のテーマになる。第二章は、国家、ナショナリズムの問題をマルクス、エンゲルスの思想を彼らが活躍した時代の状況と重ね合わせて考え直そうとする。その際、著者が特に注目し、高く評価しているのは、イギリスの政治学者エリカ・ベナーのマルクス、エンゲルス論である。第三章は地球上の自然的な気候変動、特に乾燥の問題を人間の「移動」の状況と重ねて論じようとする。そこでは思いがけないことに、ロシアのアナーキストとして知られているピョートル・クロポトキンの地理学、気候論が再検討される。第四章は、最近になって特に論じられることが多くなった、文明化の負の所産である「温室ガス効果」を考察している。これが全四章からなる本書のおおよその骨格である。つまり、今日の緊急の諸問題を多角的・総合的に考えようとするのが、本書のテーマである。

 (…後略…)

著者プロフィール

マイク・デイヴィス  (マイク デイヴィス)  (

1946年カリフォルニア州フォンタナ生まれ。精肉工場の工員やトラック運転手、SDSの活動家といった経歴の持ち主。リード大学で歴史学を学んだあとUCLAに進むが学位をとっていなかったために教職につかない時代を長く過ごした。南カリフォルニア大学建築学部とカリフォルニア大学アーヴァイン校歴史学部を経て現在はカリフォルニア大学リバーサイド校クリエイティブ・ライティング学部の名誉教授。『ニューレフト・リビュー』誌の編集委員でもある。日本語に訳されている著作としては『要塞都市LA』(青土社、2001年、増補新版2008年)、『感染爆発』(紀伊国屋書店、2006年)、『自動車爆弾の歴史』(河出書房新社、2007年)、『スラムの惑星』(明石書店、2010年)がある。最近になってもニューオーリンズの災害や金融危機、コロナウィルスといった時事的なトピックについてのエッセイを精力的に発表するなど、アカデミズムの枠にとらわれることのない斬新なスタイルを依然として堅持している。

佐復 秀樹  (サマタ ヒデキ)  (

1952年群馬県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。イギリス演劇専攻。主な訳書にM・ガーバー『シェイクスピア:あるいはポストモダンの幽霊』(平凡社)、M・シルババーグ『中野重治とモダンマルクス主義』(平凡社、共訳)、スチュアート・ホール編『カルチュラル・アイデンティティの諸問題』(大村書店、共訳)、A・ウェイリー『ウェイリー版 源氏物語』(平凡社)、G・ガリー『宮澤賢治とディープエコロジー』(平凡社)、他。

宇波 彰  (ウナミ アキラ)  (解説

1933年静岡県浜松市生まれ。東京大学大学院修士課程修了(哲学専攻)。明治学院大学、札幌大学などで講じ、現在、明治学院大学名誉教授。主な著書に『引用の想像力』(冬樹社)、『同時代の建築』(青土社)、『デザインのエートス』(紀伊国屋書店)、『記号論の思想』(講談社学術文庫)、『記号的理性批判』(御茶の水書房)、『ラカン的思考』(作品社)、他多数。

上記内容は本書刊行時のものです。