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世界神学をめざして ウィルフレッド・キャントウェル・スミス(著) - 明石書店
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世界神学をめざして 信仰と宗教学の対話
原書: Towards a World Theology: Faith and the Comparative History of Religion

発行:明石書店
四六判
352ページ
上製
価格 4,200円+税
ISBN
978-4-7503-5020-2
Cコード
C0014
一般 単行本 宗教
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年6月10日
書店発売日
登録日
2020年6月3日
最終更新日
2020年6月12日
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紹介

世界的な宗教学者キャントウェル・スミスが宗教紛争の絶えない世界にあって、異なる宗教の共存と相互理解のために比較宗教学の新たな理論的な枠組み提示し、諸宗教が共有しうる「世界神学」を提唱。中村廣治郎氏による待望の日本語翻訳。

目次

 謝辞

第一部 宗教学──歴史的

第一章 単数形の宗教学
第二章 プロセスへの参加としての宗教生活

第二部 宗教学──学術的・理性的

第三章 序説――宗教と人間の概念化
第四章 人間的知の形式としての自己意識(一)
 (一)一般的――客観性と人間的科学
第五章 人間的知の形式としての自己意識(二)
 (二)宗教の場

第三部 宗教学──神学的

第六章 比較宗教の「キリスト教」神学?
第七章 イスラーム? ヒンドゥー教? ユダヤ教? 仏教?――特にキリスト教以外の共同体との関連における比較宗教の神学
第八章 われわれの中のキリスト教徒にとっての比較宗教の神学
第九章 中間的結論

 原註
 訳註

 訳者あとがき

前書きなど

第一章 単数形の宗教学

 本章で提示しようとしていることは、人類の宗教史の一体性、ないしは一貫性についてである。ある視点からすれば、この一体性は経験的観察の問題であり、一つの歴史的事実である。別の視点からは、それは神学的真理の問題でもある。われわれ一人ひとりにとって、個人的にも(「宗教的」であるか否かは別にして)、また事実ないしは人間状況の解釈理論としても、それは究極的な意義をもつものである。しかし、歴史的一体性であれ、神学的一体性であれ、こうした問題は過去において明確に認識され、議論され、証明されることはなかった。だからこそ、議論され証明されなければならない。本研究はその試みである。本研究に意義があるとすれば、それはこれら二つの真実とそれらの結びつきを明確にすることに成功したか否かにある。
 歴史的問題から始めることで、私は自分自身の立場を明らかにしたい。人は私を、まず歴史家であり次に神学者である、と言うかもしれない。それは重要かもしれないが、やはり単純化しすぎである。私は自分の立場を、神学者の視点、つまり究極的意味への関心からだけでなく、歴史家の視点も兼ねそなえることによっても示すことができる。歴史は人間的であるがゆえに超越的(形而上学的というべきか)意味がそこにはある。より帰納的にいえば、私はこのことを、歴史研究の過程の中で見てきたし、いまも見続けているのである。何世紀にもわたって世界中で生きられた人間生活の中に、形而上学的真実の経験的基盤がある。同様の研究がますます私に明らかにしてくれたことは、真実には歴史的次元がある、ということである。それは、究極的真理(あるいは超越神と言うべきか)を含め、歴史の場に積極的に関与している。確かに、キリスト教の神学者が、歴史を真剣に取り上げるべきだと言うことは正しいし、そこからまず始めるべきだと言っても不当ではない。近代の学問的理論家や研究者がそうすべきだということも等しく正しい。宗教史(それを私は、人間男女の宗教生活、特に彼らの信仰の歴史と理解している)は本来、地上的なものと超越的なものの両者が結び合う場なのである。
 したがって、本書の後の章で私は、人類の宗教史の中で私が見出すその一体性、相互関係について理論的に語ることにしよう。他方、ここでは私はより具体的に、そしてたぶんより明白に、その一体性のものを示したいと思う。それは、私の読者もまた、少なくともその歴史的次元を理解し、感じられるような形でそれを明らかにしたいからである。

 (…後略…)

著者プロフィール

ウィルフレッド・キャントウェル・スミス  (ウィルフレッド キャントウェル スミス)  (

(Wilfred Cantwell Smith 1916-2000)
1916年カナダ生まれイスラーム学者、比較宗教学者。カナダのマックギル大学のイスラーム研究所初代所長をへて、米国ハーバード大学の世界宗教研究所所長などを務め、経験科学としての宗教学の自立性と独自性の確立に貢献した。主な著書に、Islam in Modern History( 1957:邦訳『現代におけるイスラム』), The Meaning of End of Religion(1963), Questions of Religious Truth(1967:邦訳『宗教の真理』), Belief and History(1977), Faith and Belief(1979), Towards a World Theology(1981:本書)などがある。

中村 廣治郎  (ナカムラ コウジロウ)  (

1936年福岡県生まれのイスラーム学者・宗教学者。東京大学名誉教授・桜美林大学名誉教授(Ph. D. ハーバード大学)。主な著書に『イスラム:思想と歴史』(1977、東京大学出版会)、『イスラームと近代』(1997)、『イスラム教入門』(1998)、『イスラムの宗教思想:ガザーリーとその周辺』(2002、以上、岩波書店)など。訳書に、ガザーリー『中庸の神学:中世イスラームの神学・哲学・神秘主義』(2013)、ガザーリー『哲学者の自己矛盾:イスラームの哲学批判』(2015、以上、平凡社)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。