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介護人類学事始め
生老病死をめぐる考現学
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年5月31日
- 書店発売日
- 2020年5月31日
- 登録日
- 2020年3月26日
- 最終更新日
- 2021年4月16日
紹介
高齢社会を迎え、高齢者介護に関わることが他人事ではなくなりつつある現在。これまで医療・看護の面からしか扱われてこなかった介護における様々な項目や課題を、文化人類学の比較文化論的視点や全体論的アプローチを駆使して解題することに挑む初の試み。
目次
Introduction 医療と介護の人類学
Ⅰ 介護人類学事始め
1 この根から芽吹くもの
2 海に漕ぎ出す
Ⅱ 文化人類学の基礎
3 文化相対的視点を学ぶ
4 健康の相対的視点①――spiritualityについて
5 健康の相対的視点②――dynamicについて
6 フィールドワーク、異文化との出会い
7 フィールドワーク、ラポールの確立について
8 介護――「全き人間となるための冒険の旅」
9 何を還元するのか
10 文化の「力」
Ⅲ 介護する身体、介護される身体
11 ありのままを生きる
12 身体技法
13 性的交渉、子育て、そして介護
14 境界を越境する、介護という提案
15 他人と共に、他人のためにいること
16 身体による衣・食・住 「グループ」と「グリッド」
Ⅳ 生老病死観
17 預けられた死
18 死の臨床に登場したシャーマン
19 誰も死を学んでいない
20 死の質
21 家族による看取りの風景①
22 家族による看取りの風景②
23 死の介護化・死の施設化①
24 死の介護化・死の施設化②
25 最期のとき
26 その人らしい死、自分らしく逝く
27 技としての看取り
28 病むことの文化
29 病いの社会・文化的役割
30 病い語り、癒やしを求めて
31 病いの看護
32 新たなプラシーボ効果を求めて
33 老いの再定義
34 寿命の量と質
35 失われる健康な「老後」
36 新たな高齢期の命名に向けて
Ⅴ 介護の困難
37 「介護」の誕生
38 BPWのイコール・ペイ・デイで計算すると
39 家族介護の値段
40 介護における男性という困難
Ⅵ 介護の世紀
41 コロンブスの卵から感無量へ
42 地域について
43 北海道地域の特性
44 北海道命名150年、その先の道
45 夢の大地
46 文化的集合を創ろう
47 新たな地縁を求めて
48 人材の掘り起こし
49 地域共生社会の心得
50 「地域のこし」と関係人口
Ⅶ 何を介護するのか
51 性的存在への介護①
52 性的存在への介護②
53 強者・弱者論
54 介護の本質
55 癒やしへのばね
あとがき
参考文献
前書きなど
本書のもとになった原稿は2017年5月から翌年にかけて『週刊介護新聞』(株式会社北海道医療新聞社、毎週木曜日発刊)に55回にわたって連載した『介護人類学』です。それに先立ち、その年の1月1日号に本書の「Introduction」となった原稿を、まずは掲載させていただきました。(……)
(…中略…)
文化人類学は考現学なので、手元の調査資料や蔵書、その時アクセスできるHPや公表済みの統計的数値などをブリコラージュして、時々の原稿が成り立っています。共時態は今を理解することが得意ですが、先行研究に緻密にあたる、既存の一般理論を丁寧に説明するということが苦手です。目の前に漂う素材を使って、いきなり調理をして食す、という趣の文章が綴られています。つまりは「今」に常にからめとられているような内容です。そのため、紙面の原稿のままではわずか2年のタイムラグであっても情報の色褪せが散見されたため、そうした箇所を中心に内容のアップデイトに務めてみました。もちろんこのような小手先の情報更新は、結局は徒労でしかないとわかっています。これを読んでくださった読者の皆様が生きている時間は、数カ月後、あるいは数年後の未来ですから。どうか、気になる数値や状況は、読者の皆様が生きている時間に即して更新し、読み替えを試みてください。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。