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子どもの貧困と「ケアする学校」づくり
カリキュラム・学習環境・地域との連携から考える
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年2月20日
- 書店発売日
- 2020年2月20日
- 登録日
- 2020年1月29日
- 最終更新日
- 2020年2月25日
紹介
学校および教師がとりうる貧困対策とは何か。これまでの子どもの貧困対策に関する議論では中心的に取り上げられてこなかった「教師がいかに取り組むのか」「学習活動という本業において何をすべきなのか」といった重要論点について具体的な方策を提示する。
目次
はじめに:本書のねらい
第Ⅰ部 理論編
第1章 子どもの貧困の理論と実態
第1節 貧困とは何か
第2節 子どもの貧困の実態と帰結
第3節 子どもの貧困とその対策
第2章 問題の所在と本書の目的
第1節 子どもの貧困への対応を滞らせた自己責任論
第2節 日本の学校文化の諸相――何が問題か
第3節 貧困状態にある子どもに対応する教師
第4節 子どもの排除を生み出す学校文化と教師の抱える難問
第5節 学校文化変容に関する調査研究の必要性
第3章 「ケアする学校」の理論的視座
第1節 学校文化の変容のための平等観の転換
第2節 共通認識の必要性
第3節 「ケアする学校」の理論的検討
第4節 作業課題の設定
第Ⅱ部 事例編
第4章 調査の概要
第1節 調査方法
第2節 事例調査の記述
第3節 調査日時等の表記について
第4節 子どもの貧困の基準
第5節 調査対象校選定の基準
第5章 桜小学校におけるケアの取り組み:貧困に抗するカリキュラム
第1節 本章・次章のねらいと調査対象校の概要
第2節 201X年度桜小学校の地域学習――子どもたちの抱える問題と学習の目標
第3節 3年生:「考えよう、わたしたちのまちⅠ」――地域の施設見学を通して
第4節 4年生:「考えよう、わたしたちのまちⅡ」――地域の施設見学を通して
第5節 5年生:「こんなにいいまちやったんね」――地域のよさを発見し、伝える活動を通して、自分も友だちもまちも大好きになろう
第6節 貧困問題をテーマとするカリキュラム
第6章 桜小学校におけるケアの取り組み:貧困に抗する学習環境づくり
第1節 物質的な学習環境づくり
第2節 文化的な学習環境づくり
第3節 関係的な学習環境づくり
第4節 子どもの落ち着き
第5節 保護者への支援
第6節 ケアする教師の育成と苦悩への相互支援
第7節 校長のマネジメント
第8節 桜小学校におけるケアの取り組みの総合的考察
第7章 海小学校におけるケアの取り組み
第1節 本章のねらいと調査対象校の概要
第2節 海小学校の教育方針と学習環境づくり
第3節 教師の子どもへのかかわり
第4節 貧困に抗する「まちづくり学習」の目標と指導計画
第5節 「まちづくり学習」の記述と分析
第6節 子どもの地域認識の実態とケアの取り組みの総合的考察
第8章 光中学校におけるケアの取り組み:ケアする教師へのケア
第1節 本章の目的と問題意識
第2節 調査の方法
第3節 事例研究
第4節 ケアする教師へのケアのための組織的要件
第Ⅲ部 結論編
第9章 「ケアする学校」の諸要件
第1節 貧困に抗するための三つの要件
第2節 「ケアする学校」に必要なカリキュラム
第3節 「ケアする学校」で重視される教育の方法
第4節 「ケアする学校」の組織的要件と行政支援
第10章 「ケアする学校」の普及に向けての提案
第1節 ケアする教師の放課後
第2節 学校の組織体制への提案
おわりに
参考文献
前書きなど
はじめに:本書のねらい
(…前略…)
本書の構成は、以下の通りである。子どもの貧困に関する理論の検討を第1~3章で、事例調査の詳述を第4~8章で、それらの総合的な考察と今後に向けての提案を第9~10章で行う。
第1章では、子どもの貧困の理論と実態について検討を加える。まずは、貧困とは何か、貧困を捉えるための視点を提示する。次に、子どもの貧困の実態を概観し、それがなぜ大きな社会問題へと発展するのかについて、子どもの抱える困難に焦点をあてて説明する。
第2章では、日本の学校がなぜ子どもの貧困にうまく向き合えなかったのか、その原因を探り、本書の目的を提示する。まずは、日本の学校文化の特徴をあぶりだし、次に、貧困状態にある子どもに対するこれまでの教師の対応を先行研究から検討する。
第3章では、子どもの貧困に立ち向かうために求められる教育の構想について理論的に検討する。それを踏まえ、本書のタイトルにある「ケアする学校」の意味づけを行う。その上で、第4章以降の事例分析における着眼点を見出す。
第4章では、調査の概要について説明する。
第5章と第6章では、貧困状態にある子どもを対象とした調査から得られたデータをもとに、「ケアする学校」づくりについて述べる。これらの章では、教師が貧困状態にある子どもへのケアをいかに行っているのかが明らかにされる。「ケアする学校」づくりの中でも、第5章では貧困に抗するカリキュラムに、第6章では貧困に抗する学習環境に焦点をあてて述べる。
続いて、第7章では、貧困状態にない子どもを主な対象とした調査から得られたデータをもとに、「ケアする学校」づくりについて述べる。本章では、多様な社会階層の子どもが在籍する学校において、教師が子どもへのケアをいかに行っているのかが明らかにされる。ここでも、貧困に抗するカリキュラムと学習環境に焦点をあてる。
第8章では、ケアする教師へのケアのための組織的要件について述べる。子どもの貧困に取り組むケアする教師の苦悩について明らかにし、ケアする教師の育成のための学校の組織的要件を解明する。
第9章では、これまでの議論を整理し、ケアする学校の諸要件について、貧困に抗するカリキュラムと学習環境および学校の組織体制の3つの観点から検討する。
第10章では、「ケアする学校」の普及に向けての提案を、学校の組織体制に焦点をあてて述べる。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。